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サザエさん 2023 秋(AERA増刊)

■ 感想

「サザエさん 2023 秋(AERA増刊)」長谷川町子(朝日新聞出版)P124

年4回テーマに沿ったサザエさんがよりぬきで掲載されて¥480と感動の超特価・季刊誌。アニメで知ったサザエさんを原点である四コマ漫画で読む新鮮さと、現代に寄せたサザエさん一家とは性格の違いがあるところも楽しい。

より庶民的な磯野さん一家で、マスオさんはチラホラと昭和の旦那さん風味が漂っているけれど、ノリスケさんは全く変わりなく飄々とぶれることのない適当さでなんだかうれしい。

マスオさんといえば、家で寛いでいる時に着物姿のことが多く、手紙を書く時に文机に正座して万年筆なので文豪の風情が。現在のアニメサザエさんのマスオさんと違いが多くて「手紙と電話」のテーマは吹き飛び、私にとってはマスオ無双状態。昭和初期辺りの大らかさや、不便ながらも人の温かさをより感じる原作サザエさんが愛おしかった。

読んだことのなかった「エプロンおばさん」には長谷川町子さんもご本人役で特別出演されていて、下宿屋さんという設定も素敵なのでまた是非掲載してほしい。巻末には長谷川町子さん直筆の書簡もカラーで収録されていて、当たり前ながら本当に実在されていたんだと感動。

「世相やニュースと振り返る長谷川町子の歩み」は、ニュースと長谷川町子さんのトピックが時系列で紹介されていて、関東大震災や普通選挙法成立以前に生まれてらしたんだと歴史と並べることで衝撃や驚きが大きく、最初から最後まで釘付けになった。そして漫画家デビューされたのが15歳!天才少女すぎる。

アニメ化されたのが49歳。サザエさんのアニメが開始された後で三島の割腹自殺や浅間山荘事件、沖縄返還などがあり、サザエさんの歴史の長さを驚きと共に体感した気がした。今後もとても楽しみ。

■ 漂流図書

■昭和恋々|久世光彦:山本夏彦

久世氏の「汽車にあって電車にないのは<未練>である。このまま行こうか、戻ろうか。発車のベルが鳴っても、まだ間に合うのが汽車だった」

エモいという言葉に置き換えられない情緒が美しい。

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