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一歩踏み出せない自分も一緒に

穏やかで生温かい風の吹く春の陽気。前までの自分にさよならをして、新しい自分になりたいと願う、この季節。

私は新しい自分を目指したいという気持ちが人一倍あると思います。それはポジティブにいろいろなことをやりたい気持ちがある一方で、昔の自分が好きではなく、早く離れたい、忘れたいという気持ちも大きいのでしょう。

桜が舞い散るその場所で、私はこれから通うことになるかもしれない場所の見学に来ていました。

見学時間より少し遅れてしまった私は、施設の中に入り、階段を昇っていきました。

遠くから小さな音が聞こえ、これから私も新しく始めることができると思いながら、いざ、中に入ろうとしました。しかし、予想だにしない展開に、とっさに足が違う方向へ歩き出してしまったのです。

「人がいる」

その場所は、奥の部屋にあって外からは中の様子が見えないようになっています。

私は、その部屋の外側から見られれば、こそーっと見たいな、もしできたら中に入って行って見学させてもらおうと思っていました。

しかし、その部屋の外のエントランスみたいなところにすでにメンバーの方々がいて、行くぞ!という勢いのタイミングを逃してしまったのです。私は、ガチガチに考えておくタイプで、予期せぬ展開に弱く、自分でも考えていない言動をしてしまいがちなのです。

考えていなかった展開に私は、あろうことか無意識のうちに無関係者を装い、その隣で行われていたバトミントンの試合を見始めてしまったのです。

なんで遅れて来たんだとか言われるかな。最後まで見て行かないといけないかな。

そんなことをとっさに考えてしまって、逃げてしまったのです。

メンバーの方がいなくなっても、私はエントランスから動くことはできません。

今度はバトミントンを見ていた人たちから、変に思われてしまうんじゃないかと思い、また、さっきのメンバーの方からはさっきバトミントン見てたじゃんみたいに思われてしまうんじゃないかと思ってしまったのです。

一回逃げてしまうと、後からどんどん行きにくくなるのは何度も経験していたはずなのに。

今までだって、遅れて行っても大丈夫だった経験はあるし、みんなそんなに気にしていないことはわかっています。

でも、どうしても足が動かなくて、すみませんと声をかけられなくて、そのまま外に出て来てしまいました。

外のグラウンドでサッカーをしている男の子たちを見ながら、「サッカーってやっぱり身長高い方が有利だよなぁ」なんて現実逃避していました。一歩踏み出せなかった自分を受け入れるのが辛い。

自分を変えたくて、いつも新しいことをしていても、やっぱりここぞと言うときに出てくるのは今までの好きになれなかった自分の姿。

新しい自分に出会うことと同じくらい、好きじゃない自分も目を反らさずに受け入れられるようになりたい。じゃないと、新しい自分も好きじゃなくなっちゃうかもしれないから。

でも、生真面目に受け入れすぎないようにもしたい。

たまには挑戦じゃない方法で、自分を見つめ直すことができたらいいな。


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