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ファンと共に辿り着いたステージ。QOOLAND『COME TOGETHER』リリースツアーファイナル

初夏へ向かう風が青葉を揺らす4月16日(土)、QOOLANDの『COME TOGETHER』リリースを記念したツアーが新宿MARSにてファイナルを迎えた。

クラウドファンディングで作り上げたアルバムのリリースツアーファイナルということもあり、ライブハウスは後ろまできっちりと人の頭で埋まっている。観客は各々がQOOLANDのグッズを見につけ、今か今かとヒーローの登場を待ちわびていた。

SEと共に幕が上がると、10分押しでライブはスタート。温かい拍手に包まれながら、4人は姿を現した。

スポットライトが拓郎(Gt.&Vo.)に降り注ぎ、『Come Together』を弾き語りで披露、観客を一気に惹きこむ。「新宿に帰ってきました!QOOLANDってバンドです!」そう拓郎がコールし『Shining Sherry』へと導く。すでにライブハウスは熱く、フロアからはおのずと手が上がり、クラップが沸いた。「一緒に歌ってくれますかー?!」という菅(Ba.)の問いに応え、序盤から大合唱。祭リズムの『叫んでよ新宿』では拓郎が中指を立てて「こーいっ!」と挑発し、『部屋とアイドル』では、息のぴたりとあったギター2本のタッピングソロを魅せ付けた。「今この会場を選んでくれたみんなにセレクトという曲を!」という菅のコールにより『セレクト(うーっはーっ!!)』がスタート。曲の途中では、拓郎と菅により不思議な英語のやりとりにより、会場の笑いを誘った。『一つの法則』のリレーソロ、『隣人』の変拍子もかっちりと決め、その技術力の高さを存分に示す。「体操の時間だ!」という菅の掛け声で始まったのは『熊とフナムシ』。観客はリズム変化に決して乗り遅れることなく、“体操”という名の振り付けも完璧。『ブギーサウンド』ではタカギ(Dr.)のタム回しが冴えわたり、純(Gt.)のタッピングが響き渡る。ベースから音が重なっていく間奏はテクニカルすぎて、曲として成り立たせている彼らをただただ尊敬した。ノンストップのまま、あっという間の前半戦が過ぎ去る。

MCで菅は「さすが新宿としか言いようがない!あなたたちのことですよ!」と話し、嬉しそうにフロアを見渡す。4人の後ろに掲げられているバックドロップの思い出を語り、ツアー2か月を振り返った。

ハードな曲を演奏しているはずなのに、後半戦に入ってもメンバーの勢いは落ちることない。当然、観客の勢いも落ちることなく『白夜行』では当たり前のように手が上がる。続く『ループは止まった』では拓郎が優しく歌いかけ、観客が真っ直ぐな眼差しで応えていた。メンバーとファンの結びつきの強さが垣間見え、胸がぎゅっとなる。「自分を救う為に作った曲を歌います。」という拓郎の紹介で始まったのは『言えない人が言えてたら』。拓郎自身の決意を歌ったような優しくも強いその曲は、人々の涙腺にダイレクトにしかける。しかし、QOOLANDは感傷に浸る暇など与えてはくれない。『さよならNEVADA』で瞬時に空気を覆し、『ある事無い事』を意気揚揚とパフォーマンス。さらには、ギターのカッティングがかっこいい『ラストセンサー』を演奏し、しんみりとした雰囲気はどこかへ飛んでいった。「この曲を、もっとも濃密な3分30秒にする」という宣言により始まったのは『ゆとり教育概論』。その言葉に恥じないパフォーマンスは、まさに一分一秒一瞬に命をかけている彼らそのものだった。命がけのワンナイトは、徐々に終わりへと近づく。

ライブのラストを飾ったのは今回のアルバムのリード曲である『Come Together』。この日で一番熱い演奏をする4人の姿と、それに呼応するファンの姿。バンドとファンが一緒に歩いてきたことを確認するかのような特別な空間がそこにはあった。「この曲が流れている時だけは繋がっていたい。」という思いは、この日集まったすべての人に届いていたことだろう。拓郎の「ありがとう!」の声と共にライブは終了し、歓声と拍手にあふれた。

4人がステージを去った後も拍手は鳴りやむことなく、自然とアンコールに転じる。彼らの登場を待ちきれず、どんどんスピードを増していく拍手。最初に現れたのは純(Gt.)とタカギ(Dr.)だ。マイクの前に立ち思いのたけを話す2人の顔は、とても清々しかった。続いて拓郎(Gt.&Vo.)と菅(Ba.)が、コールにより登場。再び4人がステージに揃った。

「健康な体があって、聞いてくれる人がいるって幸せだ」その前置きで始まったのは、この日だけの特別な曲『ロストデイ』。「大事なことはそばにある」と真摯に歌う姿は、幾度の「バンドをやめる理由」を乗り越えてきた彼らだからこそ、より力強く伝わるものがあった。アンコールを終え丁寧に頭をさげて、再びステージを去る。しかし、観客はまだまだ欲しがり、アンコールが再度巻き起こった。メンバーはそれに応えて、ステージに舞い戻る。「Wアンコール用意してねえんだ!でも、うれしいもん!」と菅が語り、『ドグラマグラ』を披露。曲名がコールされた瞬間に、フロアから大きな歓声が上がった。リハーサルでやっていないと話していたが、完成度は他の曲に全くひけをとらない。残りのすべてを吐き出すようなステージングは、すべての人を魅了し、拓郎の「新宿から来ました。QOOLANDってバンドです。」という締めくくりと共にライブは大成功を収めた。

会社からの脱退、クラウドファンディングによるアルバム発売、2か月に及ぶリリースツアー。約1年の間に多くのことを乗り越えてきたQOOLAND。以前より一段と彼らが輝いているのは、1つ1つのことから逃げずに向き合ってきた結果に他ならないだろう。そして、この日ステージから彼らが見た景色はファンと共に歩んできた事実そのものなのだ。QOOLANDは、今年の10月14日に結成5年目を迎える。加速し続け、衰えることのない彼らから今後も目が離せない。

QOOLANDホームページ
http://qooland.com/

QOOLAND Twitter
https://mobile.twitter.com/qooland_info

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