見出し画像

のり弁とやきとり弁当

今私は、立体駐車場に車を停めて
仕事が始まるまでの1時間、
のり弁を食べながら過ごしています。

真っ白の衣装をきて、
のり弁のフライの油を落とさないように
フライにつけるソースをこぼさないように
豪快にカッ喰らうはずのものを、そろりそろりと食べています。

午前中はタイヤ交換をしたため、
後部座席には取り替えられた方のタイヤがゴロゴロ4つも転がっていて、運転席を圧迫しているということを忘れていたのが盲点。

仕事までの空き時間、北大の近くを運転していたら、美味しそうな弁当屋の看板を見つけて、急にのり弁の気分になり、
車で食べればいっか!という発想になり、
ルンルン気分で440円ののり弁を買い、
いい匂いを漂わせて、仕事先の近くの立体駐車場へ。

途中北区の方で大きな火事があったのか、何台も消防車とすれ違いながら
車内は揚げたてのフライのいい匂いに包まれて

「物騒だな」

「美味しそうだな」
を繰り返しながら向かいました。

で、今、付け合わせの千切りキャベツを豪快に車内に散らかしながら
体を縮こまらせて、
汚れないようにチマチマとのり弁を食べてるのです。


のり弁を食べながら、
昔、家族でよく食べた、ハセガワストアーのやきとり弁当のことを思い出しました。

当時は、今みたいに、
“ご当地弁当といえば!”とか“函館名物!”感もなかった気がするのだけど、
それは私が小学校低学年で理解していなかっただけでしょうか?

うちの父も、母も、私も、やきとり弁当が大好きで、
それこそ当時はいまのハセガワストアーのようにラインナップが豊富ではなく
“やきとり弁当”といえば、一種類しかなかったはずだから、家族みんなで同じメニューをよく食べたのでした。

私は幼稚園の年長〜小学3年生まで函館に住んでいたのだけど
当時のことは、なぜかよく覚えています。

住んでいた借家は、ものすっごく古い家で、
まるでトトロのサツキとメイの家のような雰囲気さえありました。
裏には大きな畑があって、誰も畑仕事なんてしないから持て余していたし
庭には大きな桜の木があって、その桜の立派さが、この家の年数を物語るようでした。

古い家のお風呂って、やっぱり古くって、
あまり家の風呂に入った記憶がありません。

当時とっても仲が良かった家族だったので、
父が帰宅するとみんなで、近所にあった“花園温泉”に行くことが日課でした。

「花園温泉いく?いこっか!」
というのが、とても嬉しかったし、
何かの時の、ご褒美的な感じで
「今日はやきとり弁当にしちゃおっか!」
ということになると、子供ながらに
よっしゃー!と雄叫びをあげたくなるくらいの喜びだったような気がします。

風呂に入って、
体から湯気が出るような状態で
ハセガワストアに行って
やきとり弁当買って帰って
大人はビールを飲んだりして
みんなで一緒にやきとり弁当を食べる。

私の母は真面目な専業主婦で、
しっかりとご飯を作ってくれる人だったので、
コンビニでの買い食いとかはしたことがなかったし
当時の函館にたくさんコンビニがあったような記憶もない。少なくとも自分が住んでいた地域には。
だから、外で買う弁当=やきとり弁当なのでした。

小3の時に私たち家族は恵庭の家に戻るんだけど

引っ越しの時に、家族の中の誰かが
「やきとり弁当が食べられなくなることが寂しいなぁ!」
と言ったような気がします。
ただただ、あの手軽さと美味しさが食べられなくなる寂しさのほかに
家族3人で、真っ白なテーブルにやきとり弁当を並べて、正座しながら食べる時間がなくなる寂しさもあったのかもしれません。

寂しいと言ったのが、父だったのか。母だったのか。はたまた私だったのか。

恵庭と函館の距離が遠いことは理解していたけど、函館は私にとって友達がたくさんできた土地だったし、
気軽に、何度でも、遊びに来るものだと思っていたのだけど、
多分家族で函館に遊びに行ったのは、引っ越ししてからは一度だったと思います。

当時、あんなにたくさん、家族でやきとり弁当食べたのになー!
やっぱり永遠なんてないのだと悟るのでした。


さて。現在時刻は12:50。
仕事は13:30からなので、そろそろ、食べ散らかしたのり弁を片付けて、向かわなくては。

センチメンタルになる暇がないくらいに、
日々が充実していて嬉しいし、
今食べたのり弁は、狭い車内で1人で食べるには勿体無いほどに美味しかった!

余談ですが、今年の夏、私は今の自分の家族とやきとり弁当を食べました。
何を血迷ったか、夫は激辛味をセレクトして
「辛くて2度と食わない」
とコメントを残したけど、

そうやって、これからも新たに、思い出を書き足していくのだろうと思います。

お仕事、行ってきます! 

これこれ。私はお馴染みの味に。懐かしくて美味しかった。
家に持ち帰る時には少し汗をかく、弁当の蓋の感じも、肌で覚えています。

この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?