音楽留学する人へのアドバイス 小澤征爾さんのお話から・・ 備忘録

私は小学校低学年から桐朋音楽大学附属子供の為の音楽教室に通って居たのですが、桐朋出身の小澤征爾さんが学校に来て講義やレッスンするなどの話は、長い間一度も聞いたとこありませんでした。

確か私が高校在学中の時だったでしょうか、彼は突然の様に母校にやって来て講義や指揮の公開レッスンをして下さいました。
サイトウ・キネンオーケストラ結成よりも前の、大昔の話です。

齋藤秀雄先生
なんでも、敬愛する恩師の齋藤秀雄先生が突然夢の中の出てきて
「自分の事ばかりでなく、後輩の面倒も見なさい」

今まで自分の事ばかりに没頭して来た事を叱られたらしいです。
小澤征爾さん自身がこの夢に大変驚いた、と。
そしてこの夢は先生からの大切なメッセージと重じて早速母校の後輩の前に姿を現してくれた、という訳です。

小澤征爾さんは指揮を齋藤秀雄先生(チェロの先生でもあります)の元で勉強なさったのですが、指揮以外にも音楽の色々な事を教えて頂いた様で、大変素晴らしい音楽家であり人物だったと、そして 斉藤先生が居なければ今の私は居ない、と恩師を称えて居たのを良く覚えております。

アドバイス
講義でのお話は、斉藤秀雄先生のお話や当時の桐朋の学校での出来事、そして海外での音楽経験談について様々お話下さったのですが、その中で一番印象に残ったのは海外を目指す後輩へのメッセージでした。
基礎(音楽)の勉強語学の習得
語学に関しては、やり過ぎる事はないほど重要だと何度も強く言われました。自身が海外で非常に困った経験など話していたのが印象的でした。
音楽に関しては、日本の音楽大学で勉強しているのであれば基礎もしっかりしている為、心配はいらないとおっしゃってました。

当時の私はのんびりした性格であり、語学の重要性は理解していましたが、それほど強調する必要があるのかどうか、曖昧な思いを抱いていました。

実際に海外で
ウィーンで長く音楽の仕事をしていますが、小澤征爾さんのアドバイスが深く心に響きました。
ウィーンで大学も卒業したため、ドイツ語での困難はあまりありませんが、幼少期から移住したわけではないため、いくら勉強しても限界があり、わかれば分かるほど言葉の奥深さを実感します。

日常生活では何の問題もなく過ごせていますが、音楽界で外国人として生活して母国語同然に話せないことを馬鹿にされたり軽んじられたり、と悔しい経験もありました。

Wiener Schmäh ヴィエナー シュメー
ウィーンには方言も(地域や階級によっても違う)ありますが、その他にウィーン独特のユーモアや風刺を表現する口語である
「Wiener Schmäh(ヴィエナー・シュメー)」があります。
これを理解しないと、ウィーンの社会の中で「仲間」になりきることができず、隣の人と笑いや風刺を共有し楽しむことができません。
ウィーンは田舎社会なので、人とのコミュニケーションから様々なことが発展していきます。

言葉の重要性を強調する小澤征爾さんのアドバイスはまさにその通りでした。
音楽の基礎の話はまた別の機会に書きたいと思います。




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