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新生活の思い出は東京ハチミツオーケストラと共に

音楽と思い出はリンクする。

何気なく耳に飛び込んできた曲が、「これはあの時よく聞いていたやつだ」となった瞬間、心が"あの時"にタイムスリップする。

わたしが常に音楽を聞いていたのは、高校2年生~大学1年生くらいの頃。

欲しくてほしくて、親におねだりしたのかサンタさんに頼んだ(我が家はずっとサンタさんが来るお家だった)のかでやっと手に入れたウォークマンに、お気に入りのアルバムの曲をたくさん入れてよく聞いていた。通学の電車の中でも、自習室の中でも、ひとりでお昼ご飯を食べている時も。ポケットには常にウォークマンとイヤホンが入っていて、音楽はいつもすぐそばにあった。

大ファンのゆずはもちろん、宇多田ヒカル、安室奈美恵、いきものがかり、マイケルジャクソン、ファンキーモンキーベイビーズ、大塚愛、RADWIMPSなど。あまりにも繰り返し聞きすぎて、今でもあのウォークマンに入っている曲なら、全部歌えるかもしれない。

「1日の始まりはこの曲から」と、予備校に向かう電車の中で1発目にかけていた曲。お昼ご飯の後の眠くなる時間帯に目を覚まして気合いを入れるために自習室でこっそり聞いていた曲。大学の入学試験に向かう電車の中で聞いていた曲。

どれも、ひとつひとつに思い入れがある。

そんな中でも、1曲だけ、その時聞いていた状況までがありありと思い浮かぶ曲がある。

それが、チャットモンチーの「東京ハチミツオーケストラ」。

スーツケース 引きずってさ
地下鉄の地図 つっこんでさ
おろしたての スニーカー
すぐに靴ずれ 頼りないなぁ

この曲は、上京してきたばかりのまだまだひよっこの若者が、これから東京の荒波に揉まれていく様を現した曲だと、わたしは勝手に解釈している。

ハチの巣みたいだ 東京
働きバチの行列だ
私はまだ柔らかな幼虫
甘い甘い夢を見てる

上京、新生活、春。そんなキーワードが、頭に浮かぶ。

わたしがこれを聞いていたのは、大学1年生の4月。1浪して入学した大学の授業を終え、どのサークルに入ろうか悩みつつ、自分の学部のある学舎から正門に向かう坂道を下り、そのまま図書館の前を横切ろうとしていた時だった。

なぜかは分からないけれど、このチャットモンチーの東京ハチミツオーケストラを聞くと、いつもあの坂道を下っているシーンがありありと目に浮かぶ。

これからどんな大学生活が始まるのだろう。自分はどこのサークルに入ってキャンパスライフを満喫するのだろう。どんなバイトをして、誰と何を楽しむのか。とにかく、キラキラした新生活の始まりだった。全てが真新しい春だった。

あの時、坂道を下っていたわたしは、思っていた。「あ、このシーン、多分この先何年経っても思い出す光景なんだろうな」と。なんとなく直感でそう思っていた。別に何かが印象的だったわけではない。特別な誰かがいたわけでも、思い出深い出来事があったわけでもない。でも、期待に胸を膨らませた新生活の1ページとして、チャットモンチーの曲とともに、やっぱり今でもあのシーンを思い出す。

音楽は、そんな何気ない人生の1ページを、自分の記憶にとどめ置いてくれる。忘れたって問題のないようなことでも、音楽を聞くだけですぐにあの頃に戻れてしまう。

音楽の力って、すごいなぁと思う。

時が経って、わたしは1児の母になった。

音楽は、やっぱり今のわたしのそばにもある。あの時肌身離さなかったウォークマンはいつの間にか埃をかぶり、あの頃聞いていたチャットモンチーもいきものがかりも安室奈美恵も聞かなくなったけれど。

その代わりにわたしの耳に飛び込んでくるようになったのは、アンパンマンマーチ、だんご3兄弟、ぼよよん行進曲、娘ちゃんが歌うきらきら星。

今の日常だと当たり前に聞こえてくる音楽だけれど、きっとこれもまた何年も経った先に聞くと、今の生活の何かしらが、ありありと手に取るように思い出されるんだろうなぁと思う。

どんなに忙しくなっても、どんなに環境が変わっても、音楽だけは聞き続けていたいなと思う。


そんなわけで、今日もおつかれさまでした。



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