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型があるから型破り、型がなければただの”形無し”

中村勘三郎さんが大好きで、中村座の公演は本当に良く通いました。破天荒でチャーミングで、古典芸能にアドリブを効かせて歌舞伎をよく知らない人も魅了する勘三郎さんの芸能に対する向き合い方が大好きでした。

型があるから型破り、型がなければだたの"形無し"だよ

これは中村勘三郎さんの名言としてあまりにも有名ですが、実際は勘三郎さんがラジオ番組で聞いた僧侶で教育者の無着成恭先生の言葉で、それに影響を受けて勘三郎さんがよくおっしゃっていた言葉だそうです。

節目節目でこの言葉が頭をよぎります。

言葉通りのことなんですが、王道とか、セオリーとか、仕事でいったらフレームワークとか、そういう「型」を知っておくとアレンジが効くんですよね。ただ「型」ばかりにとらわれてしまうとマニュアル通りの行動になってしまうし、ある程度経験を積んだ人が「型」の話ばかりしていると、古い人が色々うるさいなー、みたいに思われてしまうこともあり、難しいんですが。

ただ、すごくこの「型」というのは大事だと思うんです。

「型」ってなんのためにあるんだろう?と考えると、きっとそれは「大多数の場合、その方法でやれば失敗がない」とか「基本のうちの基本」とか、いろいろ解釈があると思うんです。私の場合、「しなくて良い大怪我をしないためのもの」だと思ってます。

「型」って長い時間をかけて作り上げられたきたものなんですよね。そこにはいろんな無駄な動きだったり、良かれと思って入れたけど他を邪魔してしまったり、いろんな要素があったと思うんです。過去の積み重ねでそれを削いで削いで、一番成功確率が高い結果としてあるのが「型」だと思うので、知っておいて損はないと思うんです。知っておいて、やってみて、その上でアドリブを効かせるのが「型破り」。それを知らないで自己流でやると「ただの形無し」。「形無し」は、結果的に自分のやりたいことに対して結構遠回りになるというか。

高坏。先代から継承した型破り。

コクーン歌舞伎。


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