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かち<価値>ってなんだろう

「かちがある」ってなんだろう。

お父さんに聞いてみた。

「貴重なもの、特別なものを言うんじゃないかな」

お父さんはたくさんの数字や「¥」が映ってるパソコンを見ながら教えてくれた。

ぼくにとって「かちあるもの」。
ぼくにとって貴重なもの、特別なものってなんだろう。


日曜日。
お父さんとお母さんと、神社のフリーマーケットに行ってきた。

たくさんの人が地面に大きな布を広げて、いろんなものを置いていた。

そのなかでぼくは、ミニカーを見つけた。
ぼくは車がだいすきで、
とくに青色の車を見たときは「かっこいい!」とワクワクする。

ミニカーはたくさん持っているけれど、
救急車や消防車とか、白とか黒とか。
青色は持っていない。

ぼくはお父さんに「これを買ってほしい」とお願いした。
おばさんが「100円です」と言うと、
お父さんは「安いな」と言って、買ってくれた。

青いミニカーが手に入ってうれしかった。
ぼくは毎日、青いミニカ―で遊んだ。
埃がかぶったときは、ティッシュできれいに吹いた。
他のミニカーと並べるときは、必ず青いミニカ―を先頭に置いている。

青色のミニカーはぼくの宝物だ。
そうだ。宝物って貴重で特別なものだ。
そっか。これが「かちあるもの」なんだ。


昨日、お父さんがパソコンとにらめっこしていた。
画面に人が映っていて、
お金がどうのこうのと難しい話をしていた。

急にお父さんが、
「安いものには、かちがない」
って、大声で言った。

そういえば、
こないだお父さんは100円の青いミニカーを「安い」と言った。

100円は安くて、
安い物はかちがない。

ぼくの青いミニカーは「かちがない」ってことなのかな。


かちってなんだろう。
お金の「高い」ものが「かちあるもの」ってこと?

もしぼくが布の上に座っていて、
誰かがぼくをくださいって言って、
100円でぼくが買われたら、
ぼくは貴重でも、特別でもない「かちがない」ってことになるのかな。

かちってなんだろう。

文・アイキャッチ:アヤトレイ

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