「ルーブル美術館展 愛を描く」はルーブルへ行くより良いと思う。
ルーブル美術館は広大です。
最初は熱心に見ていても、だんだん疲れてきて
「どれも同じような絵に見えてきた…もういい…うっぷ」と
疲労がmyアート愛を軽く凌駕する情けなさ…
パリまで来て、好きなものを食べすぎて嫌いになってしまうような哀しさ…。
行きは浮かれて「お~シャンゼリゼー」とか歌いながら通ったガラスのピラミッドの横を
帰りはうなだれながら通り過ぎました。
おそらくそんな経験は私だけじゃないはずです。
ルーブル美術館って広すぎるんですよ。
だからこそ私はこういう展覧会が好きです。
3/1から国立新美術館で開催の「ルーブル美術館展 愛を描く」
厳選された展示73点。午前中に見てお昼を食べて帰ってもグッタリしない。ルーブルなのに。
日本語で詳細な解説がある。満島ひかりがオーディオガイドしてくれる。知らなかった画家も覚えたよ。
テーマが「愛」にしぼられているので、じっくり比較鑑賞できる。
パリのルーブル美術館へ行くよりも
時折開催される国立新美術館のルーブル展に毎回行く方が
ルーブル所蔵作品のコンプリート率(これ見たな、うんうん。率)が高まるような気がします。
フランソワ・ブーシェ《アモルの標的》
これはですね、愛がどうとか以前に私は思いました。
「ウチに飾りたい」
このキューピッドがわちゃわちゃしてるのんびり平和感といい色合いといい
無性にウチに飾りたくなりました。
で、解説によると、これはタペストリーの原画だそうで
当時、こういう絵を貴族は城に飾るのを好んでいたそうです。
おぉ!フランス貴族と私、気が合うわ!
これ本当に家の壁に飾りたくなるよね。
あなたのとこは城で、うちは狭小住宅だけれども。
アモル君、雲の上でドキドキの初お披露目
愛を司る神はローマ神話でキューピッドまたは愛を意味するアモル(Amor)の名で呼ばれました。
アモルをメインに描いた絵画もたくさんありますし
恋人たちを結びつける脇役としてもたくさん登場します。
見ているうちになんともいえない親近感がアモル君にわいてきます。
アモル君を見守るこの視線、他人なのに一方的な親戚のおばさん視線。
この感覚はどこかで覚えがあるな…と思ってピンときました。
歌舞伎名門一家の男の子成長ドキュメントを見ているときの感覚です。
「生まれたときから知っているわ!大きくなってぇ~ウフフ」です。
最終的にはアモル君が素敵なお嫁さんを迎えて
「あら~アモル君おめでとう~」というめでたい感情に包まれました。
こんな私でも楽しめる、キモペロ。
私はこのように「純愛」や「崇高な愛」を揶揄するような斜に構えた性格なので、この「愛を描く」展がステキきらきら愛で埋め尽くされていたら
耐えられないかも?と思ってましたが心配無用でした。
ごらんください、このシャルル・メラン《キモンとペロ》。
うわ~!!最高にキモい~!!
しかもタイトルが「キモンとペロ」って、偶然にしてはできすぎてる!
こんなトンデモ愛の絵画に出会えて、とても良かったです。
キモンとペロは別名「ローマの慈愛」と呼ばれるそうで
ルーベンスもこれを主題に描いているそうですが
多分、私はパリのルーブルで見ても、意味わかってなかったでしょう。
しっかり解説があって良かったです。
こんな私でも2
ギヨーム・ボディニエ《イタリアの婚姻契約》
裕福な農民一家の婚姻契約が執り行われている場面です。
これ、登場人物の表情がみんな秀逸すぎます。
恥じらう花嫁と、デヘヘ顔の花婿。
あれこれ考えている現実主義そうな花嫁の母。
その後ろの召使の「あ~だっっる」って表情が良いです。顔に出すぎてます。
その召使を見る花嫁の父の顔が、スケベジジイ感が強すぎて笑えます。
これが愛よねぇ~
という皮肉のひとつも言いたくなりますね。
グッズ
こんなひねくれ者の私でも楽しめる作品を入れてくれたキューレーターさん、ありがとう!
という感謝の気持ちをこめつつ水筒を買いました。
色も形も可愛いくて、サイズもちょうどよく
早速愛用しています。
帰りは東京ミッドタウンで
ランチタイムのキラキラOLやサラリーマンに囲まれながら
TACO RICOでブリトー食べました。
ルーヴル美術館展、とても楽しかったです。
まだまだ会期もありますので、是非どうぞ~。
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