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40.先延ばしにしてきたこと

 退職して4日目。

 食欲があまりないので、食べることも省略しがちです。なにしてるかって、文章を書き溜めているか、今日は雨なので雨の音を聞いてぼーっとするか。雨の音を聞く、なんてとても情緒的ですが、実際は口開けっぱなしでボケーッとしてるだけです。
 締まりが悪いのでたまによだれ垂れます。大人なのに。

 ですが今日、不安薬を飲まなくても大丈夫だったんです。
 これ、わたしの中では結構な出来事です。久しぶりなんです、薬を飲まなくても大丈夫だった1日が。落ち込むことがなかった1日が。
 やったぜ!やってやったぜ!!

 話変わりますが、今日はマンガも読みました。
「ミステリーという勿れ」知ってます?面白いですよね。その中に出てくる言葉。

「思い返せ、君はどれほど前からこれらのことを延期しているか、」
「しかし今こそ自覚しなくてはならない、」
「君には一定の時の制限が加えられており、その時を用いて心に光明をとり入れないなら、」
「時は過ぎ去り、君も過ぎ去り、機会は二度と再び君のものとならないであろう事を。」

 マンガの中のコマなので、ところどころ中略しているみたいです。引用は、マルクス・アウレーリウス『自省録』。
「君はどれほど前からこれらのことを延期しているか」わたしに言ってるんだろうなこれはって思いました。

 わたしは学歴がありません。高校中退です。
 家庭の事情もありましたが、100%それが理由です、とは正直言えないんですよね。
 心の中では家庭の事情ってことを使って、この馴染めない場所から居なくなろうって思っていたのも正直な気持ちです。

 集団生活に意味を見出せず、すでにバイトをしていたのでそこにわたしの天秤が偏っていたんです。今まで欲しくても手が届かなかったお金というものを、自分の手で掴むことができた。まだ覚えています、人生で初めてもらったお給料、8万円。郵便局の前で、通帳に印字されたページを見て、しばらくの間突っ立ってました。
 そのあとしばらくしてから、人の優しさに気付けなかった自分を恥じることになります。

 在学中、少しの期間だけサッカー部のマネージャーをしていました。
 バイト先が学校の近くだったこともあり、高校を辞めてすぐの頃、サッカー部の先輩やら同級生が来てくれたんですよね。

 そして先輩に、
「お前、学校辞めんなよ。なんだよ急に、相談とかしないでさ」
 と言われました。
 本当に青春ドラマのような経験ですよね。今考えると涙が出そうな話ですが、当時はなにも感じませんでした。どんだけ人の優しさを受け取れないんだ、お前は!昔からそうだな!!
 しかもその先輩はイケメンでした。佐藤健の目を細くして、少し鼻を低くして、短髪にすれば出来上がりです。もはや佐藤健に似ているかと言われれば似ていません。

 唯一仲の良かった友達と会う機会がありました。
「Iくんが、高校辞めたこと、気にしてたよ。お前らちゃんと仲良くしてやってたのかよって少し怒られた」
 Iくんとはそんなに親しくなかったのに、そんなことを言っていたなんて、びっくりしました。辞めたのは友達のせいではなかったので、友達は怒られ損ですが、ニヤニヤしてました。

 そんな優しさをたくさんもらっていたのに、気づかなかった自分。本当に馴染めていなかったのか、あの頃のあの気持ちは本当だったのか。どちらにしろ、ただ毎日無理していたことは確かです。

 そして高校を中退してから、次は学歴がないということを理由に、自分の世界を狭くしていきました。いや実際に狭くなるんですけどね。でも自ら自分ができることのハードルを下げてきた感覚。

 先ほどの言葉のように「君はどれほど前からこれらのことを延期しているか」。
 その通りです。わたしはいろんなことを先延ばしにしていました。
「しかし今こそ自覚しなければいけない」

 わたしは躁鬱と言われたことを、また理由にしようとしているのかな。でもできないことはどんどん増えていく矛盾。
 だからこそ今のうちに、出来る限り自分の内面を整えたい。
 そうしないと「機会は再び君のものとならないであろうことを」。

 本に限らず、マンガもいろんなことを教えてくれます。
 このタイミングで、読めて良かった。
 ちなみに読みながらグーグー寝てしまい、やっぱりよだれ垂れてました。大人なのに。