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イシモチ塩太郎

新潟にてイシモチを購入。
恐らく帰り着く頃には疲れているので、捌くのは大変ということで、その場で三枚におろしてもらった。
プロの手でしっかりと捌いてもらったイシモチを料理しながら、オタクの神様の一人を妄想した記録。


材料。

イシモチ 2尾
塩麹   適量
梅干し  2個

三大特撮シリーズと呼ばれるジャンル。
ウルトラシリーズ、仮面ライダー、戦隊モノ。
この内、二つに関わっているのが石ノ森章太郎。
昭和十三年(1938)宮城県石森町に生まれた小野寺章太郎が後の石ノ森章太郎。
デビュー時は石森章太郎と表記。この頃は「イシモリ」と呼ばれることが多かったのですが、本人は「イシノモリ」と読んで欲しかったようで、はっきりとそう読めるようにと、デビュー30周年に当たる昭和六十年(1985)に「石ノ森」に表記変更。


イシモチに塩麹を塗す。

病弱な姉に外や学校での出来事を絵にして見せていたのが漫画の原点。
中学生の頃、手塚治虫にファンレターや仲間内で作った同人誌を送ったりしていた所、注目されるようになり、高校二年生の頃に手塚から仕事を手伝って欲しいと電報を受けて、鉄腕アトムのアシスタントを務める。
早熟な天才?
昭和二十九年(1954)二級天使で漫画家デビュー。
厳格な公務員だった父は漫画家などとんでもないと反対。それを説得してくれたのが姉。
その姉と共に上京。多くの有名漫画家が暮らしたことから伝説となったアパート、トキワ荘に入居。


梅干しの種を除いて、叩く。

手塚治虫を始め、藤子不二雄、赤塚不二夫等々、今でも語り継がれる有名漫画家が集っていたトキワ荘で石ノ森は最年少だったが、早い内に頭角を現す。
意外な気もしますが、この頃のトキワ荘の漫画家はよく少女漫画を描いていました。これは当時、トキワ荘に頻繁に出入りしていた「少女クラブ」の編集者、丸山昭がいたから。
石ノ森の「さるとびエッチャン」や赤塚の「秘密のアッコちゃん」手塚の「リボンの騎士」等。


梅肉を乗せて、冷蔵庫で30分以上寝かせる。

昭和三十三年(1959)に姉が急死。最大の理解者を失った。
翌年、手塚の代わりに東映動画のアニメ「西遊記」の製作に加わったことから東映と大きな繋がりが出来る。
昭和三十六年(1961)に70日間の世界旅行。これは少女クラブの廃刊や姉の死を忘れたいという気持ちもあった。この旅行が大きなヒントとなったのが、石ノ森の代表作となる「サイボーグ009」
様々な国や人種を見た経験が9人のサイボーグ戦士達に投影。
009島村ジョーは日本人、ヒロイン003フランソワーズ・アルヌールはフランス人、他にも米国、英国、中国、ロシア人、黒人、ネイティブアメリカン。


魚焼きグリルで焼く。

仮面ライダー、イナズマン、ロボット刑事K、秘密戦隊ゴレンジャー等、多くの特撮モノに関わっていますが、これらは石ノ森原作を映像化したとは言えない。
石ノ森がキャラクターデザインとプロットを東映に提出し、それを基に映像化。漫画を石ノ森が描くという形態。
そのため、映像化作品と漫画では内容に違いあり。例えば漫画版「仮面ライダー」では本郷猛は、、ネタバレになるので止めておきます。


裏返して焼く。梅肉は掬って乗せ換える。

新たに生まれた青年漫画にも進出。「佐武と市捕物帖」や「HOTEL」等。
無類の映画好きでもあり、まだ個人で所有するのが珍しかった時代に松本零士が映写機を購入すると、手塚と共に三人で様々な映画のフィルムを見て研究していたら、映画の無断上映をしていると疑われ、警察に取り調べを受けたことがあったとか。映画の研究から漫画のヒントを得ていたのでしょう。三人とも忙しいのに研究熱心。
物凄い仕事量であり、漫画だけではなく「仮面ライダー」では一部、監督も務めています。肝心の漫画は赤塚不二夫と共に書いていた頃には月産650枚。年を取ってからも月に300枚は描いていた。


焼き上がり。

塩麹に漬けたことでしっかりと柔らかな塩味が身に沁みています。思い付きで加えた梅の酸味がよいアクセント。

晩年には漫画家ではなく「萬画家」を称する。これは漫画は萬(よろず)のことを表現出来るという思想を示した言葉。
それを実践するかのように、「日本経済入門」や「日本の歴史」も萬画で執筆。

すべては食べきれなかったので、残りを一晩、置いてから翌朝に焼きました。

イシモチ塩太郎


一晩置いたことで、より味がしっかりと入った。
塩味と酸味のバランスが絶妙。
イシモチは白身なので低カロリーで高タンパク、ビタミンDやカルシウムも頂けます。

石ノ森章太郎の二大代表作と言える「サイボーグ009」と「仮面ライダー」ですが、共通するテーマとして人類の起源に関わることが盛り込まれています。
強大な力を得た者が、それを与えた者に戦いを挑む。
サイボーグ009ではブラックゴースト、仮面ライダーではショッカーという主人公達を改造した組織へと、島村ジョーや本郷猛達は戦いを挑むことになる。
組織から見れば裏切者だが、主人公達は自分達の正義を信じて戦う。
そうした構図は石ノ森のアシスタントを務めた永井豪の「デビルマン」にも通じる。

人類は惑星ニビルから来たアヌンナキにより、彼等の遺伝子と地球上の生物、恐らく猿とを掛け合わせて作られた、金の採掘用のバイオロボ。ダーウィンが人類のみが進化論に当てはまらないと言っていることからも、作為的に作られた存在であることは明らか。
そのことに気付かず、支配層に言われるままに頭を使わずに動く人間はショッカーの戦闘員みたいな者で、頭を使い、おかしいと思うことには抗う者は仮面ライダーやサイボーグ戦士みたいな者か。石ノ森の死により未完に終わった「サイボーグ009」ですが、最終章では人類の創造主たる宇宙人との戦いが描かれていました。
そう考えると、人類の歴史の縮図?
参考までに、こちらもどうぞ。↓

昔、バラエティー番組「とんねるずのみなさんのおかげです」で「仮面ノリダー」というパロディが放送。
無断で製作したことから東映はカンカン。存命だった石ノ森は笑って容認していたといいます。石ノ森はともかく、版権を持っている東映の怒りが解けないので、未だにDVD化等はされず。面白かったので残念。

日本の漫画史に残るというだけではなく、仮面ライダーという愛され続けるヒーローの生みの親として語り継がれるであろう石ノ森章太郎、彼は人類の起源を知っていた或いは本能的に悟っていたのかと妄想しながら、イシモチ塩太郎をご馳走様でした。

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