見出し画像

『帝都探偵奇譚 東京少年D団 明智小五郎ノ帰還』を読んで #読書感想文の呪いを解く

 子どものころから少年探偵団が好きでした。それまでルパンやホームズのような推理小説が好きだったぼくに、司書さんが「日本人の推理小説もあるよ」と言って教えてくれたのが江戸川乱歩の少年探偵団シリーズでした。始めはおどろおどろしい表紙に戸惑いましたが、怪事件を引き起こす怪人の正体を次々と暴く少年探偵団と明智探偵にすっかり夢中になりました。あれから20年近くたったある日、少年探偵団のリメイク作を知ったので、この本の感想を書こうと思います。『帝都探偵奇譚 東京少年D団 明智小五郎ノ帰還』という本です。

 大まかな話は原作と一緒ですが、この本の日本は蒸気機関の技術が発展した世界というのが違う点です。また、二十面相と明智探偵が推理で勝負しているときに頭のう指数の数値によって勝ち負けが決まるのが面白かったです。二十面相と明智探偵は頭のう指数が最高で300を超えることがありますが、頭を使い続けると120まで減ってしまいます。小林少年は最高でも200台ですが、そこから下がることもなく安定しているのが特長です。普通の人たちはショックを受けると頭のう指数は大きく減ってしまい、「ファック野郎」のような品のないことしか話せなくなってしまいます。

 ほかにも、貧富の格差やコミュニストの暴動のせいで社会が不安定になっていて、貧しい人たちにとってはお金持ちから宝石を盗む二十面相がヒーローのように見えているところが印象的でした。ぼくもテレビやSNSであまり好きではない芸能人が非難されているのを見るとどこか嬉しく思ってしまう時があります。でもそれは自分だけが不幸になるのは不公平だという、自分の不安やうっぷんを晴らしたいがために他人の不幸を喜んだり攻撃的になってしまう心理があるのだと頭のう指数の下がった人々を見て感じました。これからはショックなことがあっても頭のう指数を下げないように小林少年を見習いたいと思います。




この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

ここは記事下のサポートエリア!わたしをサポートしたいと思ったそんなあなたに、わたしのamazonほしいものリスト! https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/1XCLS13WI5P8R?ref_=wl_share