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冬のしごと(キムチを漬ける)

私の家では毎年キムチを漬けます。

キムチを漬けるのは14歳の息子が主役の仕事です

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息子は知的遅れを伴う自閉症。

そして色々な食べ物にアレルギー反応が出る体質です。

私が最初にキムチを作ろうと思ったのは、彼が壮絶な偏食を克服して辛いものの美味しさに目覚めた時。※一番偏食が酷かったときは米とポテトしか食べられなかった。

冬の北海道で簡単に美味しく酵素をとることのできる漬物で、なおかつ息子の好きそうなもの…と考えた時に真っ先に思い浮かんだのがキムチでした。

ただ、市販品の中には「エビ」「イカ」が含まれていることが多いし、ビーガン対応の原材料にこだわった市販品は非常に高価だったので、「それならば自分で作ろう!」と思い立ったのが始まりです。

今では我が家の定番になり、毎年白菜の出回る季節になると息子と一緒にキムチを漬けるのが恒例の行事になりました。

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キムチの季節になると毎年子どもたちが熱心に読む絵本

この絵本の主人公「ソンミ」の家では、ご家族・ご近所総出で一冬分のキムチを漬けます。種類も量もとっても豊富!

彼女の家と比べると、我が家はとっても控えめな量。

今年は10キロの白菜を漬けます。

それでも、材料も工程も多いキムチを漬けるのは体力仕事。「やるぞー!」と腰を上げるには相当な気力が必要です(私は)。

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季節ものの仕事をする時。

私は息子が分担する作業に毎年新しいものを一つずつ増やすことを心がけています。

いつか一人で漬けられたらいいな…と。

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【一日目】

キムチ1

大きな白菜を「割る」仕事を新しくお願いしました。

白菜の根元から途中まで包丁で切れ目を入れて、あとは手でバリバリ…っと割ります。

「お兄ちゃん、かっこいい!」

「ね。男の料理って感じ。」

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絵本の中では縦に割った状態で漬けるのですが、我が家では食べやすいサイズに切ってから漬けます。

パパっと食べられて楽です。

下漬けの水のあがりも良いです。

キムチ2

包丁を持つ姿も随分サマなりました。

息子「キムチだねー!」

ホント、楽しそう。

息子は漬物を漬ける日はキラキラ輝きます。

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最後の方は、だいぶ疲れが見えましたが無事に10キロの白菜を切り終えました。

キムチ3

初日の作業はここまで。

あとは塩をまぶして、重石をして。

一晩寝かせて水が上がってから、次の日の作業です。

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【二日目】

前日に塩漬けにしていた白菜を本漬けにします。

まずは本日の大仕事。

ヤンニョム(キムチの素)作り。

きむち2

息子「りんご、ニンニク。」

「それから?」

「ジンジャー!」

ひたすら擦りおろします。

量が量だから、なかなかの体力勝負。

頑張れ、息子!!

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息子がすりおろしている間に、私は唐辛子のたっぷり入った本体?を作ります。

きむち3

韓国唐辛子500g。

真っ赤で辛そうに見えますが、色ほどじゃないんですよね。

日本の唐辛子とは違った方向性の美味しさ。

唐辛子をこよなく愛する息子が、唐辛子投入作業だけは自分でやりたい!と主張するのでやってもらっているところ。

息子「キムチだねー。」

「匂いがキムチだ!」

この唐辛子の匂いを嗅ぐと「キムチ作ってる」って強く感じます。

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ヤンニョムを冷ましている間に、白菜を水洗いしてしぼります。

きむち8

ギューッと力をいれて。

こういう作業も上手になりました。

水は冷たいけれど、頑張ります。

「お母さん、今この仕事?」

きむち4

娘は絵本と仕事を照らし合わせながら、作業の内容を確認していきます。

知識と体験の結びつけ

一見手伝いもせずに遊んでいるようにも見えますが、娘もちゃんと参加・学習しています。

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「私もお手伝いしたいわ。」

…ということで、ゴマをするのを手伝ってもらいました。

きむち7

「とってもいい匂い~!大好き。」

途中で飽きて息子にバトンタッチ。

食べ物のためなら、いくらでも働ける息子の無尽蔵な体力っぷりよ。

若いっていいね。

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数年前までは「ぐちゃぐちゃ」の感触がダメでできなかった(感覚過敏の症状の一つです。)ヤンニョムと白菜を混ぜる最後の作業も、すっかりお手のもの。

両手を真っ赤にしながら丁寧に混ぜます。

きむち5

息子「食べてもいい?」

「全部混ぜたら一口だけね。」

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…と、言うことで。

きむち6

今年も無事に、キムチができました!

これで2月くらいまでは足りるんじゃないかな…?と思いたい。

思春期男子の胃袋をどうぞ満たしてやってください、キムチさん。

息子、よく頑張った!

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学びはいつも遊びの先に

息子は食べ物に関する活動が大好き。

彼にとっては自分で作った美味しいものを、家族みんなで食べる事が最高の幸せなんじゃないかな…。

レシピを読んで、白菜の重量を基準に他の材料の必要量を求めるのは、今年もプロンプトなしでは厳しかったけれど、作業の部分は注意散漫になりそうな時に少し声をかければほとんど自分の力でできるようになっていたな…というのが今年の感想です。

手順もかなり頭に入っていて、作業の途中で「〇〇もってくるね!」と次を見通して自分から提案してくれる事も多々ありました。

晩御飯に漬けたばかりのキムチを茹でた豚肉と一緒にいただきましたが、息子の愛と情熱パワーで(?)とっても美味しく仕上がっていました。

手間暇かかる保存食作り。

色々ゆっくりな息子のペースに合わせ、時間を気にせず、季節を感じながらじっくり取り組めるのもホームスクーリングの醍醐味かな?と思います。

あとは程よく発酵が進むのを待つのみ。

楽しみです。

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