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超音波解剖追記③

今回描いた記事はこちら↓の記事に追記をしているものです。
再度皆さんに追意をお知らせするのに新しい記事を記載する方針でお願いいたします。

本日のお題(肩関節の前方組織)


・肩前方の組織(肩甲下筋腱と上腕二頭筋長頭腱)

今回は、肩の前方の支持性を高めてくれている前面組織について解説をしていこうと思います。

・上腕二頭筋長頭腱(Long head of humeral biceps)


関節の運動には必ず『転がり』と『滑り』運動と骨運動が伴います。
肩の屈曲や外転時には骨頭は下方ないし、後方などに滑ります。
これは、骨頭自体が肩峰に衝突するのを防ぐようになっているからです。
ここで動的(静的でもあるのかな)な構造の一つとして上腕二頭筋長頭腱が重要になってきます。
起始停止だけを見るのではなく、上腕二頭筋がちょうど骨頭の真上を通るの点に着目してください。
この走行から、骨頭が上に上がろうとした時に、上腕二頭筋長頭腱に負荷がかかりそうですよね?
骨頭が持ち上がりすぎないように押し下げる『デプレッサー作用』を持っているのです。

・LHBを抑え込むのは!?

デプレッサー機能の話をしましたが、肝心なLHBが安定してなくては機能が発揮されません。
このLHBを構造的に安定させてくれているのは『横靭帯』です。

『横靭帯=Transverse hemeral ligament)』と言います。
この横靭帯は、肩甲下筋腱から延長してできている組織と言われています。
つまり、LHBの安定性には肩甲下筋腱(以下:SSC)との連続性が重要なポイントとなってくることが予想できます!

・肩甲下筋腱断裂とLHBの所見との関連性

ではここで肩甲下筋腱断裂がLHBに対してどの程度の関連性があるかを紐解いていきましょう。

これはある論文の内容をちょー簡単にまとめています。
いわゆる腱板断裂の診断を受けて手術(鏡視下腱板修復術=ARCR)を行なった患者を、SSC断裂を合併しているケースとそうでないケースに分けて
さらに術中のLHBの超音波の所見結果を考察した研究です。
結果は、、、
基本的に腱板断裂例の患側(術側)のLHBは、健側と比較して平均断面積が大きかったことに加えて、SSC断裂を合併している群では、有意に非合併例に比較して平均断面積が大きかったと報告されています。

この結果から、LHBの断面積の増大には肩甲下筋の断裂が関わってくると言えますね。
臨床でもLHB由来の痛みなどをよく経験するかと思いますが、腱の状態を把握し、その裏に他の病態が合併していないかを深く考えることも重要だと思います😊


・本題のエコーでのLHBの映し方

では、本題のエコーでのLHBの映し方を簡単に説明します。
①骨のランドマークを設定すること(小・大結節)

②小結節(LT)と大結節(GT)に対してプローブを平行に当てる。
 これはLHBを輪切りに映すようにプローブを置くので短軸像を描出。

③あとは、プローブを操作し、LHBをはっきり写すこと。

ポジションはちょっと外旋位の方が映しやすい。

触診をしっかりできている方であれば大体すぐに映せます!!

・LHBの超音波所見

短軸像の時に正常に対する異常な所見として覚えておきたいものをまとめました。

この所見をまずはしっかりと確認できるように健常のLHBの描出をたくさん練習し、いざ疾患を有していそうな人に超音波検査を実施してもらえたらと思います。


LT(小結節)側に脱臼するケースはまずますありません。


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