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柔道整復師も知っておきたい医療面接〜OPQRSTモデルの深掘り〜

前回の記事で、OPQRSTモデルについて紹介をしました。
今回は、OPQRSTモデル自体をさらに深ぼって行きたいと思います。
私見も交えて話をしていきたいと思います。

・O:onset(発症様式)について


私は、発症様式=受傷機転として捉えて、医療面接をしていきますが、どのようにして症状が発生したのかを聞いていきます。
明らかな外傷の場合は、患者さん自身も受傷機転を覚えていることは多いですが、難しいのは、慢性疾患(日常生活で加わるストレスから発生するものや、スポーツで起こるオーバーユース症候群)の場合で、意外とキッカケがわからないという患者さんが多いのが印象です。
こちらからの質問をOPENクエスチョン(どのようにして症状が発生しましたか?)で聞いても、患者さんは答えづらいことも多々あります。
その際には、Closedクエスチョン(限定的な質問)にして発症したキッカケを調べていきます。
慢性疾患に関しては、患者さんの既往歴や生活状況、環境などのバッググランドを把握することが非常に重要だったりします。

一つ実例を挙げます。
最近院にきた、20代の女性の患者さんが右膝を伸ばした時や、仕事で立ち座りをした時だけ痛みが出るという主訴で来院されました。
受傷機転(怪我などで捻った記憶もない)ないとのことで、現在も膝に負荷がかかるスポーツなどは全くしていないとおっしゃっていました。
身体所見などを取っていくと、右膝が左膝に比べて伸びづらい(伸展制限)がありました。
そのことを説明すると、『そういえば、、、』と思い出された様子で、高校生くらいの時に一度右膝が痛くて、整形外科に行き、『外側の半月板が大きいね。と言われたことがあり、右膝は伸ばしづらかったが、しばらくして様子をみていたら痛みが引いたので放っておきました。』とのことでした。

この方は、どのような病態だったかと考えると、外側半月板の円板状半月由来で右膝の伸展制限をずっと抱えてた状態で過ごしていたため膝のアライメントが崩れてしまい、結果的に痛みにつながっている方でした。
リハビリでアライメントの修正や伸展制限を改善させると突発的に出る症状は軽減してきています。
長々書きましたが何を言いたいかというと、『話を深掘りしていけば、患者さんから思わぬ情報を引き出せる』ということです。


・P:palliative/provocative(増悪・寛解因子)について

増悪因子については、いわゆる疼痛出現動作(痛みが出る動作)を把握し、さらにはその痛みが悪化する動作があるかを把握することが大切です。
疼痛出現動作がどのような解剖学的組織に、どのようなストレスをかけているのかを把握することで、そのストレスを避けられるように、リハビリで機能改善や、生活指導をすることが重要だと考えています。

逆に、寛解因子(行うと症状が軽くなったり、楽になったりする動作)などがないかも聞いていきます。
例えば、膝が痛いという患者さんがきた時に、症状が出る・悪化する動作を聞くと同時に、症状が楽になる動作も聞きます。

症状増悪因子→歩行や立っていると痛くなる(荷重時)
症状寛解因子→座ると楽になる(非荷重)

このように、患者さんにとって荷重のストレスが問題点ではないかと考えることができます。

・Q:quality/quantity(症状の性質と程度)


痛みの性質を把握することも、病態を把握する上で非常に重要だと考えています。
安静時痛(rest pain)やnight pain(夜間痛)があればかなり炎症が強い状態なのではないか?ということを念頭に置けますし、鋭い痛み(sharp pain)か、鈍い痛み(dull pain)かでも、神経性かそれ以外の軟部組織由来の痛みかなども判断できます。

また、痛みの程度を、患者さんに表現してもらうのも有効です。
治療効果の判定にもなるので初診時からしっかりと聞いて、記録しておくと痛みの経次的変化を観察することもできます。



長くなるため、次の記事でR・S・Tについて説明したいと思います!!

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