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【毎日エッセイ137】音無の滝

駐車料金500円を支払うだけでふたつの滝が楽しめる、それが静岡県富士宮市にある「音止の滝」と「白糸の滝」

駐車場から少し歩くと吊り橋があり、底を転がる石まで見えるような透明度の高い川を見下ろせる。

数十メートル下流がいきなり落差25メートルの崖になり、川から水が流れ込んで滝になっている。

滝を川の上から眺めて、それから坂道を降って行き、真正面から滝の水が落ちていくところを眺められる。川から流れ込む水以外にも、地層から湧き出す水が小さな細い滝となって流れ込むのも見える。

整備された展望台のような場所はなくて、川沿いの道に設置された木で組まれた台座から滝を眺めたり、空き地の隅から覗き込むと木々の隙間から滝の流れ落ちるところを見る。

様々な角度からスケールの大きな滝が楽しめる、それが「音止の滝」

別名を「音無の滝」というくらいだから、もしかしたら何か自然の働きで滝の音が聞こえないとか、聞こえにくいとか、そういう場所を勝手に想像していた。実際に行ってみると、滝つぼに水の流れ込むドドドという大きな音が普通に聞こえる。

名前の由来を調べると、『赤穂浪士の仇討ち』『伊賀越えの仇討ち』と並んで日本三大仇討ちと呼ばれる『曽我兄弟の仇討ち』にちなんだ地名だとか。

鎌倉時代、親を殺された曽我兄弟が滝の近くで仇を狙い潜んでいた時に、滝の近くだったので音がうるさくて仇討ちの打ち合わせができなかった。

兄弟が「心無しの滝だなぁ」と溜め息を吐いたところ、不思議と滝の音が止んで打ち合わせが無事に済み、仇討ちを達成できた。

そういった伝承があり「音止の滝」や「音無の滝」と言われるようになったのだとか。

昔は仇討ちが美徳、武士の手本のように言われていたから、きっと仇討ちをしようとする曽我兄弟に天が味方したとか、そういう話なんだと思うけれど。何とも不思議な伝承だ。

名前の逸話はさておき、様々な角度から景色を楽しめる「音止の滝」は、夏のオススメスポットのひとつ。

しかも台地を挟んで西側には「白糸の滝」と名付けられた別の滝がある。ふたつの滝が同時に楽しめて、しかも歩く距離もそれほどでもない。子供連れや足腰の悪い人が一緒でも楽しめるのもうれしい。

今日の写真は、そんな「音止の滝」を正面から撮った一枚。
明日は「白糸の滝」の写真を載せようと思う。


また新しい山に登ります。