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Slackコミュニケーションは現代の飲み会。文章力で出世せよ。

書く仕事はAIに奪われるのか。議論され尽くしたテーマだが考えてみたい。

テクノロジーの進化は目を見張るものがあり、文字起こし程度ならすでに高度なレベルでできてしまう。量産型SEO記事も、プロンプト合戦で対処が可能なようだ。

書くことの重要性は上がり続けている

しかしながら、書くことの重要性は非常にあがっていると感じる。過去よりもさらに。大きな要因がリモートワークだ。Slackやチャットワーク、teamsやメールで仕事のほとんどが簡潔してしまう。つまり、テキストが仕事においてメインのコミュニケーションツールとなっているのだ。

実際に、矢野経済研究所の調査によると、国内のビジネスチャットツール市場は2019年の120億円から年々伸び続け、2024年には395億円になる見込みだという。

チャットの重要性は、あらゆる職種で高まってしまうところも恐ろしい。オフィスであればボソッといった発言の面白さや、持ち物のオシャレさ、エレベーターの開けるボタンをずっと押してくれる優しさなどで存在感を発揮できていた異才が、もう見つからなくなってしまっている。

zoomがあるじゃないかと思うだろう。しかし、自分の業務に関わらない人とオンラインミーティングをする機会はほぼない。例えMTGをしたとして、遠縁の人の良さを引き出すまでに至る会話は施行されないだろう。また、良さが波及する口コミの場も封じられている。

つまり、「書くこと」が、社内に存在感を示す大きな手段となっているのだ。

自らの所属部署以外の全体チャンネルや、雑談チャンネル。そこで存在感を出さないと、逆にいうと空気になってしまう。

ときにユーモアを交え、気の利いた発言をテキストで繰り広げ続けてみよう。不思議なことに「あの人、仕事頑張ってる」「優しいコメントくれた」「記事拡散してくれる」「あの件くわしそうだから聞いてみよう」一気に存在感と評価を獲得できるだろう。しかもチャットツール上にテキストは残り続け、その効果は複利で効き続けるのだ。

実行力はテキスト力。文章で出世せよ

同じ業務に邁進するチームメンバーであれば、Slackに現れない努力の機微も見てくれるかもしれない。しかし、こと全社単位になったらどうか。誰かの発言に積極的にスタンプやコメントを返す人の方が、ずっと活躍しているように見えてしまうことは自明だ。加えて他部署との連携も、主にテキストコミュニケーションで推進される。主要なことを対面で決めたとしても「残りはSlackベースでやっていきましょう、お疲れ様でーす。」となる。初回MTG後の実行力はテキスト力だ。出世したいなら文章力を磨かなければならない。

AIに書く仕事を奪われるとかいってるそばから、テキストの比重が非常に大きくなっている。5流ライターが駆逐されつつあるとしても、仕事における書くことの重要性は上がってはいないだろうか。

もちろんSlack上の発言は人の評価の全てではなく、ほんの一部にしか過ぎない。しかし、発信で盤面がガラリと塗り替わるシーンを何度見てきたことか。考えていても、発信しないと、無と同義の世の中だ。

夜な夜な上司と飲みに付き合った人が、実際の実力よりも評価をされるねじれがあった。
飲みの効力の減少と交代するように浮上したのが、文章力の効能なのだ。

飲み会の参加が自由なように、アホらしいと思ってスタンプすら押さないのも自由だし、Slack上で存在感を出せるよう、文章を磨くのもまた自由。令和の処世術のひとつにすぎない。

だが、Slack上の文章がイケてるやつが、実際の実力よりも評価をされる令和ねじれが産まれてしまった今、持ってて損なし文章力なのである。ウコンの力のような感覚で、文章を鍛える錠剤が、いつか販売されるかもしれない。飲みたい。

悲しき真実。まともな人の文章だけがまとも

万が一、万が一にでもチャット上で頓珍漢な文章を乱発してしまったらどうだろうか。悲しいことに、人の知能はテキストに現れてしまう。書くことを仕事にしていなくても、どんな業種、職種の人でも、学歴とかも問わず、まともな人の文章はまともだ。断言してもいい。字が汚くても賢い人はたくさんいるが、賢いのに文章が支離滅裂な人はまずいない。駄文を書いたら同僚からの低評価獲得は避けられない。

配慮、ユーモア、機転、交渉力。あらゆる所作が現れるのがテキストだ。一億総テキスト社会。無破綻の圧倒的まともな文章を書き、有能なチンパンジーであることを誇示しよう。

ほら。書くことは、ぜんぜんAIに奪われない。

人類が覇権を取れたのは、二足歩行を始め、手で道具を使い始めたからとも言われる。

ペンを持つ右手から、キーボードを打つ両手に。進化の礎となる手を2本とも使うことからもわかるように、やはり書く重要性はどんどん上がっている。


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