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読書について語りたい|嫌われる勇気を読んで気付いたこと|

私は読書が好きだ。
ジャンルは特にこだわりなく、小説・雑誌・漫画・エッセイ等なんでも読む。


子どもの頃から割とひとりで過ごすことが好きだったけれど、静かに読書を楽しむというよりは、近所を探検して自分だけの秘密基地を作ったり、川でザリガニを釣って親を驚かせたりするような、やんちゃな子供だった。


そんな私が読書をするようになったきっかけは、父に小説をプレゼントされたこと。

私の父は所謂“本の虫”で、寝室にはいつも本棚に収まりきらない小説やら漫画やらが山積みになっていた。本をもらったその日は、私の誕生日でも何でもない普通の日だったから「急にどうしたのだろう」と不思議に思ったことを覚えている。当時の父が何を思って本をプレゼントしてくれたのかは分からないけれど、私はあの日の父に心から感謝している。


もしあの日、父に本をプレゼントされていなかったら、今の私はまったくの別人になっていたと思う。それくらい読書という行為は、私の人格形成に大きな影響を与えている。


読書はいい。
私は中学生くらいまで、“いつか死ぬ時がくるなら直前まで本を読んで読み終えた本の山に埋もれて死にたい”と本気で思っていた。(じつを言うと、大人になった今もその夢を捨てきれていない)
今は“いつか自分の家を建てるなら、どれか一部屋を図書室にできたら最高!”と思っている。
週末はその図書室で読みたい本を選び、縁側の日当たりの良い場所に置いたリクライニングチェアに座って、ゆったりのんびりと読書を楽しみたい。


どうしてそこまで読書が好きなのかと聞かれると、なかなかひと言で伝えることは難しいのだけれど、先日「嫌われる勇気」という本を読んだときに感じたことが、私が読書を好きな理由のひとつかもしれないなぁと思ったのでここに書き留めておく。

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以下、「嫌われる勇気」の一節。

哲人 
カウンセリングを受けた結果、相談者がどのような決断を下すのか。
ライフスタイルを変えるのか、それとも変えないのか。これは相談者本人の課題であり、カウンセラーはそこに介入できないのです。

青年
いやいや、そんな無責任な態度が許されますか!

哲人
無論、精いっぱいの援助はします。しかし、その先にまでは踏み込めない。ある国に、「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を呑ませることはできない」ということわざがあります。アドラー心理学におけるカウンセリング、また他者への援助全般も、そういうスタンスだと考えてください。本人の意向を無視して「変わること」を強要したところで、あとで強烈な反動がやってくるだけです。

青年
カウンセラーは、相談者の人生を変えてくれないのですか?

哲人
自分を変えることができるのは、自分しかいません。
嫌われる勇気より


この文章を読んで、私はふと祖母がうつ病だったとき精神科医に言われた言葉を思い出した。

「私は貴方に斧を与えることしかできない。その斧を振るって、この暗い森を切り開いていけるかどうかは貴方次第です。」


表現は違えど、哲人と全く同じことを言っていると思った。
もしかしたらその精神科医も、アドラーの思想に共感していたのかもしれない……。
そこまで思い至ったとき、はじめて、彼が言っていた言葉の意味を心から理解できた気がした。
あわせて、彼がその言葉を通じて祖母に何を伝えたかったのか、その意図さえも。



私は読書のそんな瞬間が好きだ。

これまで文字通りの意味しか持たなかった彼の言葉が、一冊の本に出会い、新たな思想に触れることで、まったく新しい言葉として私の中に響く。
日本語なのに、英語を翻訳したときのような納得感と発見がある。

たった数時間、たった数分だけだったとしても、私はその精神科医と同じものを見て、触れて、学んだ。
だからこそ、彼と同じ目線に立ち、同じ言葉で話すことができるようになったのだと思う。



「知識は人を豊かにする」という言葉があるけれど、それはまさしく、この瞬間を指して使われる言葉ではないだろうか。
今までは身長が足りなくてまったく見ることができなかった窓の向こう側の景色を、知識という階段に登ることで徐々に見られるようになるような感覚がある。
そんな感覚の虜になって、私は本を読むのかもしれない。



“初対面のはずなのに、どこか懐かしさを感じてしまう人に出会うのは、その相手が自分と同じ本を読み、同じ言葉に触れてきたから”という話も先ほどの経験を通して実感できたこと。
読んだ本の数だけ、人と共有できる言葉を持つというのは素敵だ。その言葉の数だけ世界は広がり、見える景色も変わるということだから。


気付いた時には、大好きで欠かせないものになっていた読書。その理由のひとつが言語化できて嬉しい。(上手く表現できているかは置いておく)
もっともっと他にも好きな理由はあるけれど、それはまた別の機会に。


今日もまた、読み進めるのが困難なほど素敵な本に出会ってしまった。
これだから読書はやめられない。

もっとたくさん本を読みたい。
昨日の自分には見えなかった世界を知るために。

ここまで読んでくれて、ありがとう。

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