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少子化のすゝめ

もう何年も前から、日本は少子化でまずいことになるから対策が必要だ、と言われています。

実際に、労働力が減少し社会を支えるはずの若い人が減れば、現在の国の生産力や社会制度の維持に支障を来すのは間違いありません。

具体的には、日本は2008年(平成20)をピークに人口減少が始まりました。その後は明らかに減り始めています。


また人口は国際競争力であるという意見があります。
大国と呼ばれる国は人口が多く、また増やす努力をしていて、それは人口増加による経済成長こそが国力の源泉だからと言われています。

世界の国別人口を見てみましょう。(2019年)

1位 中華人民共和国 14.3億
2位 インド 13.7億
3位 アメリカ  3.3億
4位 インドネシア 2.7億
5位 パキスタン 2.2億
6位 ブラジル 2.1億
7位 ナイジェリア 2.0億
8位 バングラデシュ 1.6億
9位 ロシア 1.5億
10位 メキシコ 1.3億
11位 日本 1.3億

日本より上位の国はいわゆる大国か新興国ばかりで、G8のような主要国ではアメリカ・ロシアの次に日本となっています。

G8でいうと、17位がドイツ、21位がイギリス、その下にフランスで、日本は今後40年くらいそれらの国より多くの人口を維持できるそうです。

ちなみにドイツは日本と比べて人口は65%くらいしかいないのですが、GDPは日本の80%で、一人当たりのGDPは日本より2割程度多いです。同じことはイギリスにもほぼ当てはまります。

人口がドイツやイギリスに近づく頃、日本が今より一人当たり2割多く稼いでいなければ、国の豊かさが大きく見劣りすることになります。


やっぱり少子化は悪いのか?


でも人口が増えたらすべてよく、減ったらすべて悪いなんてことはないと思いませんか?
私は、乳児死亡率、可住地面積、食料自給率の3つのキーワードから、少子化の良い面を考えてみました。


① 乳児死亡率

乳児死亡率が低い国ほど出生率が低くなります。
生活環境がよく医療が整備された豊かな国は、人口を増やすモチベーションが下がってしまうようなのです。

日本の乳児死亡率と出生率との相関は正の相関にあり、乳児の死亡数が減れば減るほど出生数も下がります。日本に限らず万国共通です。

豊かで医療が発達しているので小さな子供が死ぬことが非常に少なく、子供を家の労働力として必要としておらず、親が子供に多額の教育費をかけたいという今の日本では、子供を増やす動機付けは非常に難しいと思います。

でも乳児死亡率が低いというのは多くの子供が生き延びられるという素晴らしいことで、それによって起きる人手不足はロボットや自動化でまかなうほうが合理的ではないでしょうか。


② 可住地面積

日本の面積は小さくはなく、世界で約60番目、ドイツとかなり近いです。
しかし日本は山林が多く可住地面積はそのうち25%、ドイツの半分しかありません。

結論から書くと、 日本の可住地人口密度はかなり高い。
日本の順位は総合14位、都市国家や小さい島国を除くと3位!です。

その結果、日本はドイツより人口密度が3倍となっています。
仮にドイツと同じ人口密度にするには、日本の人口は4000万人程度でないといけないことになります。

面積当たりの収穫量が多い米作の影響などにより元々アジア地域は人口密度が高いので、ドイツなどの欧米諸国と同じである必要はありませんが、それにしても高すぎると思います。

今の人口減が続いて2040年ごろになると、最も多かった約1.3億の8割程度になり、今よりもっとゆったり暮らせる生活スタイルを選べるようになると思います。


③ 食料自給率

日本の食料自給率が低いというのはよく知られていますが、探したら意外な数字を見つけました。

農林水産省の発表によれば、2020年度(令和2年度)の日本の食料自給率は37%(カロリーベースによる試算)
※2017年は38%

食べ物の価格を使って食料自給率を計算する方法では、日本の食料自給率は66%(2017年)

カロリーベースという日本といくつかの国でしか採用していない指標では、日本の食料自給率は30%台ですが、多くの国が採用している生産額ベースでは、60%台で、農業大国と言われるフランスや面積が近いドイツの80~70%と比べても遜色ありません。

農林水産省が日本の農業の危機感を高めるために、あえてカロリーベースという指標を採用しているという話で、なぜそういうことをするんでしょうね・・・。

ただいずれにせよ、自給率が100%に達していないのは事実で、もしお金があっても外国から食料を買えない世の中になった場合に備え自給率を上げるのは大事です。

人口減により、生産できる食料に見合った人口に近づいていくのは、悪いことではないと思います。


日本の人口の減少は、これから多くの高齢の方が亡くなるのと、子供の数が少なくなることの2つが影響していて、避ける方法はなさそうです。

ただ、子供を大事にして、ゆとりある住まい方ができ、いざという時に食べ物に困らない社会になるなら、それはそれでいいのではないでしょうか。


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