見出し画像

やっぱりおかしいふるさと納税

ふるさと納税は現在9000億円規模の非常に大規模な施策となっています。
以前から賛否の分かれる政策でしたが、私は以下の理由をもってやっぱりおかしいと言わざるを得ないと考えています。

それは、「自分の住んでいる場所に税金を払わない」という問題です。

都市部に出て来る若者が、育ててもらった地域に還元せず都市部で納税するのはよくないとして、そのマイナス分を税で補填するというのは理にかなっています。

でもその人は都市部に住みその地域の住民サービスを受けているのに、住んでいる自治体に税金を払わないのは、おかしいですよね?
理屈で言えば、住んでいる地域へ税金を払わないならその地域の行政サービスは受けられないはずです。

いくら地方が過疎だから、子供が巣立って税金を払う人がいないから、地方の経済が壊滅的だから、といった理由があるにしても、それによって税の原則(公平・中立・簡素)をゆがめてしまうのはおかしいです。


地域を支えられるのは住民だけ


この政策は、衰退する地方の人々の「都市部は圧倒的にお金を持っているんだから地方に移転させろ」という願いを、政治家が公平性に目を瞑って応えた妥協の産物です。

確実にやってくる地方の衰退と消滅に対し、税金で無理やり延命することで地方人の苦しい気持ちを一時的に緩和しているだけです。

おそらく現在の地方自治体の半分くらいはふるさと納税の収入があろうとなかろうとそのうち限界を迎え、その時に初めて「あれはただの無駄な延命策だった」と気づくでしょう。


また、「都会の金持ちがそんなけちけちしたことを言うな」という気持ちが地方の人にあるとしたら、そんな決めつけはすぐにやめたほうがいいと思います。
都市部だっていろんな人がいて、それぞれが必要な税金を払っています。

そして公共サービスもすべてお金がかかることであり、しかも絶対必要なものです。

豊かな都市部の税金を苦しい地方に還流せよと平然と主張する人々は、公共サービスを空気のようなものと勘違いし、対価を払わなくても大丈夫と誤解しているだけだと思います。


またふるさと納税を代行する各企業も、そういった事実を気づかせないよう細心の注意を払って良い面しか見えないようにしていますが、今後その矛盾が露呈すると思います。

ふるさと納税は業者が取る中間マージン(手数料)が高すぎ、彼らは公共事業に依存する存在で、昔失敗した「地方創生」事業で潤ったコンサル企業等と同じ構図と言えます。

さらにアマゾンがふるさと納税事業に参入するという話を聞きましたが、手数料を国外の企業に一部でも流出させてしまうのは本当に無意味で、その分国内の富が減ってしまうだけの愚策だと早く気づいたほうがいいです。


正しい姿を考えてみる


① ふるさと納税は、税金の移動ではなく自分が育った地域への寄付とする
② 過疎地域への補助は国が必要な地域を選定して行う
③ 住んでいる地域に税金を払わない人への公共サービスは止めていい

まず大前提として、これは寄付ですという大元の話に立ち返るのが必要だと思います。
もちろんただの寄付では誰もしないので、例えば寄付をしたら国から補助や優遇が得られるが、住んでいる自治体への税金は変わらない、とすればいいだけの話です。

それなら返礼品のコストや中間業者へのマージンもいらないので無駄がありませんし、魅力的な優遇をつければやる人は増えると思います。


次に過疎地域への補助ですが、ふるさと納税が現状地方の脱法的な勝ち組自治体と業者にお金が集まるようになっていて、本来支援しないといけない困っている地域にお金が行っていません。

また人口数千人しかいないところに何十億も寄付しても有効に使われない恐れがあり、地方交付税の無駄遣いと同じ道をたどる恐れがあります。
本当に支援すべきなのは、過疎地域の貴重な資源・農作物・環境の保全、領土・国境の防衛といった、儲からなくてもやらないといけない部分です。


最後にこれは極論かもしれませんが、自治体が税金をちゃんと払った人にしかサービスしない、という公平の原則を徹底すればいいと思います。
利用者側は自由意志で税金の支払い先を選んでいるので、自治体側も税金を支払った人にだけサービスを提供すればいいんです。

私は、赤字自治体が本当に切羽詰まったらこの究極の一手を必ず打ってくると思っています。
実はもう、ふるさと納税の多い層への補助をなくすなど、どこかで密かに始めているかもしれません。


ただ乗りへの批判が必ず起きる


現在はふるさと納税をやれば必ず得をするのでやらない理由がありませんが、やればやるほど自分の住んでいる場所の公共サービスが低下するデメリットと引き換えであると認識する必要があります。

気づいたときには、地元のごみ焼却炉、役所、施設が古いまま放置され新しい設備が導入されない、または医療、介護、教育の補助等が打ち切られるといった問題が、ふるさと納税のおいしい肉やお米などと引き換えにあなたの生活を襲うかもしれません。

今後都市部の住民の中から、ふるさと納税により地元に税金を払っていないのに公共サービスだけただ乗りしようとする「フリーライダー」へのバッシングがいつか必ず起こる、と予想しておきます。



[この記事と同系統のおすすめ記事をご紹介] ぜひご覧ください!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?