見出し画像

CITY POP

もうすでにみなさんご存じだと思いますが、「City Pop」と呼ばれる80~90年代の日本の曲が世界で再発見されています。
まず初めに、City Popのアンセムとでも言うべき代表曲のいくつかをご紹介します。


竹内まりや|Plastic love


松原みき|真夜中のドア Stay with me


八神純子|黄昏のBay city


秋元薫|Dress down


泰葉|Friday Chinatown


City Popにつながるムーブメント


これらの曲が海外で10年ほど前から、日本で昔聴かれていた時とはまったく違う捉えられ方で発見されました。

サウンドとジャケットデザインのみでDJにピックアップされ、一度も聴いたことがない新しい音楽が突然80年代の日本から来たと海外のオーディエンスが感じました。

私も数年前に、Soundcloudというアーティストが個人で音楽を公開できるサービスで日本の80年代サウンドがリミックスされ、異様な数の再生数を稼いでいるのを見てはじめて知りました。

Vapor Wave、Future Funkといった、過去の日本の音楽、特に70~80年代のニューミュージックなどを音ネタとして使ったムーブメントがあり、そこから日本の80年代サウンド再発見へと繋がっていったようです。


「発見」された日本の音楽


日本では昭和の後半にはまだ洋楽的なテイストは一般的ではなく、王道はやはりCMかドラマ主題歌になり紅白歌合戦で歌われるような歌謡曲でした。

でもその陰に隠れて、お茶の間にはあまり届かないけれど洋楽に匹敵するクオリティの音楽を作っているアーティストがいました。
山下達郎、杏里、八神純子、角松敏生などです。(もっといますが代表的なということで)

彼らの曲は個性的で知的な印象があり、さらにビジュアルデザインにも凝っていましたが、今海外の人から再発見されているのは、音だけでなくデザインやその時代のイメージの部分で、いいものは時代や場所を問わないという証拠だと思います。


サンプリングとサブスクによる広がり


1990年代以降、PCで音楽を制作するDTMという手法が普及し始め、2000~10年代にはアマチュアを含め完全に一般的な音楽制作手法となりました。

特に、ある曲の一部分をそのままPCに取り込んで加工し別の曲にするサンプリングという手法が一般的になり、サンプリングする音ネタとして、海外のDJが聴いたことがなかった日本の80年代サウンドが注目されました。

それらの新しい音楽は、YoutubeやSoundcloudのようなネットサービス上にアーカイブされ、2010年代に一部の人に人気となりました。
ただそれらは違法なものが多く、一般層へはあまり波及しませんでした。

しかしその後、サブスク系の音楽サービスが主流となり、日本の80年代サウンドが合法的に世界中で聴けるようになりました。
それによりメジャーな音楽シーンにシティポップが取り上げられるようになり、多くのレコード会社が参入して今の状況となっています。

このように、元は日本の80年代サウンドが良質であったことが発端ですが、個人が自然発生的に日本のその時代の曲をサンプリングして広め聴かれるようになり、そこから火がついたと思われます。


流行に国や時代は関係ない


つい先日、藤井風の「死ぬのがいいわ」という曲が、2020年の発売にもかかわらず、このCity Popと同じパターンの売れ方をし始めているという記事を読みました。

昭和テイストの詞と曲にトラップという新しいリズムを組み合わせたサウンドで、シングルではなくMVもないアルバムの一曲ですが、タイやインドネシアで発見されバイラルメディアで勝手に加工され広がり、それを発端にアジアで藤井風がヒットしています。

藤井風というアーティストの音楽や声が素晴らしいので、とりあえずサンプリングして広めよう、と思った人たちから火がついたようで、藤井風ファンとしてはうれしい限りです。

本当にいい音楽ならいつどこで誰が作ったかなど関係なく支持され、国や言語を超えてすぐに広まるというこの状況は、ネット経由の理想的なコミュニケーションの形と言えるかもしれません。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?