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妊娠は女性にとって損しかない

・・・という意見をTwitterで見ました。

妊娠してからの体調変化の苦しみ、出産の危険、子育ての大変さ、すべて女性側が負っていて男性には何もない、それって不公平だよね!
というつぶやきですが、その面では本当にその通りだと思います。

これだけ医学が発達した現代でも、妊娠と出産は非常に身体的な負担が大きく、また個人差がとても激しいため、一般的な対応策が当てはまらない場合が多いです。

確かにまったく問題なく妊娠から出産まで普通に過ごせる女性もいます。
しかし、つわりや体調変化、出産前の体調の変化、出産にかかる時間、その後の子育てへ移行するための体力など、本当に個人ごとに違います。

さらに妊娠や出産は病気ではないので、体調が非常に悪く、健康とは程遠い状態であったとしても想定の範囲内として扱われ、我慢すべきと思われてしまうこともあると思います。

出産のストレスを減らすことができる無痛分娩も対応している産婦人科が少なく、またこれは想像ですが、「そんな楽をしたらいけない」という無言の圧力があるのか(誰から?)、まだまだ選択できない状況であることが多いと聞いたことがあります。

このように、妊娠や出産時に実際に苦しんでいる人を助ける制度自体がまだまだ足りないのに加え、男女とも昔の妊娠出産の常識を持ち続けている人もまだ多いため、体調に不安を持つ妊娠期の女性が追い詰められてしまう恐れがあるのではないでしょうか。


子供を産むとはどんな意味があるのか


と、ここで視点を変えて、子供を産むということはどんな意味があるのか、自分なりに考えていることをお伝えしたいと思います。

我が家に子供が生まれた時のことを思い出すと、生まれたという事実は男性にとって頭で考えるもので、体験としての実感はあまりなかったことを覚えています。

もちろん本当に安心したし、子供は想像をはるかに超えてかわいいし、奥さんを心配してはいましたが、自分の体調が悪くなることも痛みに耐えることもなかったのは事実です。

ただしひとつ言えるのは、本当に子供というのはかわいいんですが他の一般的なかわいさとは違い、絶対に失ってはいけないという感情が同時にあり、その切実さは男女とも変わりないと思いました。


またもう一つ、子供によって、自分が主役の人生に初めて交代すべき相手が現れたと感じます。
とはいってもこれは後継ぎが・・・とかそういうものではなく、もっと実感に根差したもので、単純に人間は年を取ると必ず衰えるということです。

自分の精神的な年齢は大して成長していないと感じることが多く、それによって年を取ったと意識することが少ないのは、自分の良い部分だと思っています。

しかし肉体面はそういった言い訳はできず、しかも悲しいことに、鍛えるのが難しい普段は意識に上らないような部分が衰えはじめます。
そういう状態を自覚すると、元気が有り余っている子供にまかせていこう、それを支援しよう、という気持ちが徐々に強まっていきます。


世代交代という長い事業に対する保障が必要


子供は時間とともに成長し、親である自分はいつか必ず衰えていきます。
その時間軸で見れば、妊娠というのはその衰えに向かう最初の一歩です。

女性は妊娠・出産という、自分が主役ではなくなる初めての状況に男性よりかなり早く到達して戸惑い、さらに実際に苦しくてつらい気持ちになる人も多く、その理不尽さに不安や憤りを感じるのではないでしょうか。

男性はその時点では女性とまったく同じ意識になることは難しく、さらに忙しくてケアできない、または妊娠に理解度が低い男性がいたら、女性の不安をさらに増幅させてしまうと思います。


子供を育てることが世代の主役を引き継ぐために必要だと考えると、二世代、または三世代以上にまたがる長い営みの最初にある妊娠・出産を、女性個人に任せすぎているのではないかと思います。

妊娠と出産で女性は苦しむが、それによって次の世代が生かされるのであれば、その苦しみは必要なものなので、受益者である社会の人々が保障しなければなりません。

子育てを女性個人や夫婦の話にとどめるのではなく、人の一生より長い数世代に渡る事業と捉え、例えばスタートアップ企業を成長させたら創業期のメンバーにはストックオプションという特別な価値が与えられるように、世代を引き継いでいくという長い事業のスタートアップ期である妊娠・出産にも、もっと大きな見返りがあっていいと思います。

みなさんはどのように思われるでしょうか。




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