見出し画像

軍用飛行場でのストライキ・ロシアとウクライナの戦闘拒否(2023年仲秋)

原文:https://libcom.org/article/strike-military-airfield-and-other-refusals-fight-russia-and-ukraine-mid-autumn-2023
原文掲載日:2023年10月26日
著者:assembly.org.ua

ロシア侵攻の最中にウクライナとロシアで行われている戦闘拒否・兵役拒否の最新情報。

記事トップの風刺画は作者不詳『攻勢に出る』(1917年頃)。この風刺画は私達の目前でますます現在にふさわしいものになっている…


私達が取り組んでいるこの国際コラムやオフラインのボランティア活動への資金カンパへようこそ。この戦争以前から、あなた方の国のコーヒー2~3杯はウクライナ労働者の一日の収入に相当するのです。皆さん、宜しくお願いします!


ウクライナ国家警察によれば、ロシアの本格的侵攻が始まって以降、動員回避に関わる刑事訴訟手続きが国内で8千件ほど行われている。今月半ば時点で、その主要地域は以下のとおり:ザカルパッチャ州(936人)、ドニプロペトロウシク州(669人)、ムィコラーイフ州(583人)、リヴィウ州(528人)、ヴォルィーニ州(460人)、ヴィーンヌィツャ州(460人)、チェルニウツィー州(424人)、ハルキウ州(389人)、リウネ州(360人)、テルノーピリ州(342人)、スームィ州(336人)である。ただ、嫌疑をかけられたのはわずか2015人の男性で、大部分が同じ地方だった:ザカルパッチャ(322人)、ヴォルィーニ(193人)、リウネ(166人)、リヴィウ (156人)、ドニプロペトロウシク(146人)、ポルタヴァ(116人)、ムィコラーイウ(92人)、テルノーピリとハルキウ(それぞれ88人)、ジトーミル(81人)、イヴァーノ゠フランキーウシクとチェルニーヒウ(それぞれ70人)、ヴィーンヌィツャ(62人)。このうち1,877件の起訴状が裁判所に送られた。やはり一番多いのがザカルパッチャ(297人)で、以下上位5位も同じヴォルイーニ(171人)、リウネ(159人)、リヴィウ(141人)、ドニプロペトロウシク(138人)、ポルタヴァ(108人)だった。再び停電になれば、入隊担当官と捜査官の仕事が増えるだろう。今は自宅に隠れているお客様が「安全地点」に携帯電話を充電しに行き、すぐにその場で受信されてしまうのである。これに関する資料の全文はロシア語で読める。

ウクライナ国家裁判判決登録会議(the Assembly of the Ukrainian state register of court decisions)のモニタリングによれば、今年初めにハルキウ州において刑法第336条(動員回避)と刑法第408条(脱走)に基づく判決は稀で散発的だったが、春と夏以降、徐々に数を増やし始めた。同時に、部隊への出頭拒否に対する処罰も強化されている。私達の地域でも盛夏に初めて徴兵忌避者が現れて実刑判決を受けたが、今は定期的に起こっている。こうしたデータは国の全体的情況とさほど変わらないと思われる。部隊への出頭命令がどのように出されるのか、地元のソーシャルネットワークでよく見られる事例は次ようなものだ:一昨日、56歳の男性が警官に無理やり車に乗せられ、軍入隊事務所へ連行されて、20分で任務に適格だとされた。翌日、彼は荷物を持って現れねばならなかった。そして、こうした人達は、以前の記事で既に述べたように、ウクライナ軍の拒否者の仲間入りをするのである。

8月初め以来、刑法第336条に基づく第一審判決のリストに新たに12件追加され、第408条に基づくものが6件追加された。この時機、ハルキウのレニンスキー地方裁判所が5人の兵役拒否者を刑務所に送るという記録を打ち立てた。受刑者の一人は未成年の子供を養育しており、もう一人は慈善事業財団「ヘルプ゠セーブ゠ハルキウ」のボランティアであり、三人目は自分の行為を年老いた母親を一人で残したくなかったからだと説明したにも関わらず。私達の地方ではこの条項の下で特定期間執行猶予が付いた判例はない。全員が懲役3年に処せられるのである。

ウクライナ国会は、兵役義務者の単一電子登録簿の作成に関する2023年9月18日付け法案第10062号の採決準備を進めている。この法案によれば、国防省は全ての公式データベースから対象市民に関する情報にアクセスできるようになり、様々な官庁が登録簿に転送しなければならない情報のリストも拡大される。ロシアでは電子登記簿と共にオンラインで出頭命令を送る慣行が導入されており、この法案はロシアの経験を参考にして作られた。ロシアでは、出頭命令は登記簿に記載されてから7日以内に自動的に送られるようである。ロシア人徴兵者は、海外旅行禁止通知を受け取った後、5日以内に自らパスポートを手渡さねばならない。ウクライナでは現在はこのような技術的能力はない。障害となっているのは「動員資源」の基盤がまだデジタル化されていない点にある。いずれにせよ、全ては次の事実に向かっている。ウクライナ労働者は、井戸端で当局に不満を述べる代わりに、本当のライフスタイル゠アナキストにならざるを得ないのだ。現在のように正式雇用を避けるだけでなく、医療を受けず、車を売り飛ばし、令状への不出頭を理由に遮断された時のためにバンクカードをリセットするなど国家とのあらゆる繋がりを断ち切り、秘密生活を送るよう努めるのである。占領地と「自国」との違いがどんどん曖昧になり、ウクライナの政治的雰囲気も影響されていくだろう。戦争疲れと政府への不信感は既に、特に最前線地域で、支配的になり始めている。もちろん、ロシアで社会的爆発が起こるまでは、消極的抗議行動が主流となるだろう:可能な限り地下に潜る・資産を海外に引き上げる・まだ封鎖されていないルートで国外に逃亡するなどである。

動員増加の主な理由の一つとして、ウクライナのプロパガンダは、ロシア連邦が毎月数万人の契約兵士を軍隊に登用し、同時に、新兵を既に兵役に就いている者と組み合わせているという事実を挙げている。契約は、動員された者・解散したワグネルPMCの傭兵・契約満了後に再契約を決めた者と結ばれている。同時に、クレムリンは、イデオロギー的要素の代わりに、徐々にお金に頼るようになり、充分な契約兵士を確保できなかった場合には公開動員を再開するとほのめかしている。

しかし、徴兵・受刑者・債務者といった強制的カテゴリーの人々の隠れ動員は、軍を崩壊させる要因の一つである。2023年上半期のロシア連邦最高裁判所司法部の統計分析によれば、有罪判決を受けた軍人の総数は、2022年上半期と比較して40%増えた。1月から6月まで、2694人が有罪判決を受け、その内1270人が軍務違反の罪で、残りは殺人・窃盗・ドラッグ所持・飲酒運転といった犯罪だった(ここには、ロシア軍に入隊しなかった元ワグネル兵士による暴力行為は入っていない)。一年前の有罪判決は1918件で、内543件が軍務犯罪だった。つまり、軍務犯罪の判決数はほぼ2.5倍に増えているのである。こうした犯罪には、命令違反・脱走・無断離隊・疾患偽装・自発的降伏がある。

ロシアのリベラル平和主義テレグラム゠チャンネルASTRAは、10月24日に少なくとも173人のロシア軍人が、過去10日間にわたりウクライナの占領地域にある違法難民キャンプにいたと報じた。彼等の意見では、これは氷山の一角に過ぎない。そのチャンネルで訴えて何とか分かった数である。メッセージは主に、ハルキウとルハーンシクの国境地帯にあるクプヤンシク方面から届いた。酔っ払いの指揮官や、弾薬・偵察・砲兵支援・食料・水の不足についての同じような不満でいっぱいだ。全く戦いたくない人もいれば、虐殺だけには行きたくないと思っている人もいる。最もよく取り上げられるのが、ザイツェヴォ(Zaytsevo)村の拷問用地下室である。昨年秋に一斉収容が始まり、公になった後で分散され、現在再び稼働している。現段階で何人がそこに置かれているのかは不明である。

過去1カ月間のこうした事件の全貌はロシア語で読める。ここでは、最も明瞭な最近の出来事だけに絞ろう。ASTRAによれば、動員兵士・契約兵士約150人が、ザイツェヴォや15キロ離れたラシプノエ(Rassypnoye)の刑務所から連れ出され、クルスク州の陸軍訓練場に収容されていた。10月24日夕方、彼等はヴォロネジに連行され、ロストフ゠ナ゠ドヌに送り、そこからドネツク近郊のアウディーイウカ(2週間前からロシア軍が攻撃していた)での攻撃に向かうと脅された。別な情報提供者の話では、車列に11台のウラルトラックがあったため、拘束者の数はもっと多かった可能性がある。一人の弁護士が直接現地に向かい、50人の囚人をラシプノエから連れ出した。弁護士はASTRAに次のように語った。「当初、私はザイツェヴォに行きましたが、ザイツェヴォには誰一人おらず、ラプシノエに拘束されていると分かりました。車で敷地内に行くと、まるで学校のような建物でした。私はフェンスに直行しました。一人の軍人がフェンスの背後から顔を出しました。私は歩み寄り、ノックして、弁護士IDを見せ、次のように伝えたのです。『私のクライアントがここにいると分かっている。彼等と話したい』彼はこちらを見もせず、『待て』と言って去って行き、戻って来て、『ここには誰もいない』と言いました。私は、『だったら、何故あなたは武器をもってここにいるのですか?』と尋ねました。彼は『ここには誰もいないので、帰りなさい』と繰り返しました」一人の被収容者の妻はASTRAに次のように語った。「私の夫は動員され、マキイフカでの攻撃に行くのを拒否しました。夫達はザイツェヴォに配置されました。その後、チェックがあったようで、9時間ほど連れ回され、LPR(いわゆるルガンスク人民共和国)に戻されました。今日、夫は何とかして他人の番号から電話を掛けてきました。クルスクの近くにいて、ロストフ行きの車を待っているそうです。私の理解では、そこから飛行機でアウディーイウカに向かうと思います。夫の話では、検察庁に電話をしたものの、命令は命令だと言われたとか。地元の憲兵隊は『君達はそれでも前線に行くのだろうが、もうやられちまっているな』と機動隊を脅かしているそうです」

乗客に確実な死をもたらすヴォロネジの軍用機

複数の家族が雇ったこの弁護士は、抗議者達との面会を許されず、医療品提供も拒否された。ヴォロネジ゠ボルティモア飛行場に連行された男性グループは、その親族によれば、「立ち上がって、『誰かに電話してくれ、どこにも行きたくないんだ』と言っていた」という。もうその日の終わりだった。30人以上がロストフ行きの飛行機に乗るのを拒否し、軍検事を待っていた。「理由は分からないのですが、彼等は不適切な武器を与えられ、全てを取り上げられて、その半分は既に飛行機で送られてしまっていました。威圧されて、自分達の主張を押し通せなくなりました。何の公文書もなく、送られたのです。私の夫はまだ検事を待っていましたが、これがどのように終わるのか分かりません」と軍人の親族がASTRAに語った。この時点で、搭乗拒否者の数名は既にロストフに移送され、自分の金で買った電話や機器などの所持品は取り上げられていた。モスクワ時間で23時46分、搭乗拒否者はヴォロネジに連れ戻されたが、ロストフに向かった人達はアウディーイウカに行かねばならなかった。

最新データによれば、搭乗拒否をして飛行機に乗らなかった第488連隊・第283連隊・第254連隊の35人がヴォロネジに戻された。昨日(10月25日)時点で、彼等はポゴノヴォ演習場におり、第254連隊の指揮官2名に戦場に戻るよう脅されていた。その中の一人はASTRAに「ゼロにしてやる、つまり指揮官が私達を撃つと言っていました。私達が多くのことを知っているからです」と語った後、この基地から3人の兵士が逃亡していると付け加えた。

私達はこの情況を監視し続けていく。

最近では、許可なく出国しようとしたウクライナ人が誘拐され、動員目的で軍が行っている拷問についてこのジャーナルで報告した。

それに加え、ハリコフの宅配サービス業者が無料で人々に食事を提供したために刑事訴追された件の記事も是非ご覧いただきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?