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「漁師とバレリーナ」
緑色の点滅。
アタシは跳ね起きる。
あの人からだ。
時計を見ると2時14分。
あの人からのLINEはいつも真夜中に来る。
緑色の点滅。
99%あの人からだ。
スマホを開くのが怖い。
ううん、やめなさい、瑠璃。悪い想像をするのは。
最後に会ったのは4ヶ月前だったか。
港まで迎えに行って、高速のインターを降り最初のラブホに入った。
「このあいだ舞台袖で、すごく怖くなった」
「どうして?」
「まだ
「プログラムの写真」
「佳代さん、写真は?」
お教室に着くなり麻子先生に言われて気づいた。
まずい、今日が締切りだった。うっかりしていたわ。
おばあちゃんの入院やら何やらあって、忘れてしまっていた。
3カ月後、通っているバレエ教室の発表会がある。そのプログラムに載せる写真のことだ。
バレエの発表会というものはお金がかかる。出演料、衣装代の他に、チケットを何十枚も買わなければならなかったり。
でも麻子先生は、