さよならおさる君。またね、
私のクラスにまさる君という男の子が転校してきたのは
小学校3年か4年に上がりたての、春の頃だった。
他の男の子より頭1つ分は高いであろう背。恥ずかしそうに少し丸めた広い肩幅。焼きたてのパンみたいにつやつやの赤い頬。上級生並の図体にやや圧倒されたが、彼の照れくさそうにはにかんだ自己紹介に、みんながみんな、すぐに優しい子だと分かった。
まさる君と仲良くなろうと、私たちが最初に起こしたアクションはあだ名をつけること。
坊主頭で、きれいに開いた扇のように大きな耳が真っすぐとこち