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男の育児には限界がある


 ああ、おっぱい。
 いいなぁ、欲しいなぁ。

……と言っても、中学生が性的に叫ぶような意味ではない。
 そりゃあったらあったで嬉しいけど(←ひとこと多い)。

 というのも、育児におけるおっぱいは「最強」すぎるのだ。
 そうですこの文章は育児です。おとなの性教育ではござんせんのでアシカ・ラーズ・ウルリッヒ(←悪しからずと言いたかったらしい)。
 男性(父親)の育児が女性(母親)の育児に絶対的に敵わない唯一の理由。それは「母性」などという努力すればどうにかなるものじゃない。確実に「おっぱい」なのだ。
「え、ミルクで充分っしょ。おれ母親いなくても育てられるぜ」
 とおっしゃるオトーサン。それはたしかに可能だろうけど、RPGで言ったら「最強の武器を持っていないのに魔王に立ち向かう」ようなものだ。可能じゃあるけどかなりキツい。ドラクエでも「はがねのつるぎ」で竜王やシドーやゾーマに立ち向かうのは、本人のレベルが最高でもないと無理だ。

 ということで。
 育児に「積極的に」参加している(していた)父親であれば、おっぱいの破壊力はよーく知っているはずだ。
 赤ちゃんがどれだけあやしても泣きやまず、抱いて揺らしてもトントンしても歌っても無力で、ミルク与えても拒否され、自我崩壊寸前に追い詰められたところに、母親の登場。ヒョイと片乳をめくって出し、吸い付かせたら瞬時に「ピタッ」。しかもそのまま、気持ちよさそうに眠っちゃったりする……何この必殺技!? と思った人は多いことだろう。
 でも男は授乳サイクルとかをあらかじめ学ばないもんだから、また子供が泣き出して「おっぱいじゃないの?」と言ったら「まだそんな時間じゃない」と拒否られたこともあるでしょう。そうして泣きたいのはこっちだよ気分をどうにか抑え、あやして寝かしつける……そんな経験が、育児に「積極的に」参加した男性なら経験しているはずだ。してるよねきっと。
 そんなおっぱいが、自分にもあれば戦えるのに。そんな悔しい思いをした人もいるでしょう。その悔しさは向上心だ向上心!
 僕は9ヶ月の子がいて、だいぶ子育ても落ち着いてきているものの、やはり「うらやましい」と思ってしまうのだ。
 おっぱいという必殺技が。

 そもそも赤ちゃんは、味覚だけでおっぱいを味わっているわけではない。その抱かれている感触、体温がつたわる温度、母親の匂いを感じる嗅覚、そして「やわらかさ」を感じて安心し、授乳行為を受け入れている。
 だから母乳育ちのところ哺乳瓶を与えられたら嫌がる赤ちゃんは多いと聞くし、父親の硬い肌と母親のやわらかい肌の感触も違う。
 そして何より、おっぱいの弾力と存在感に代えられるものはない。勝てないのだよ。無敵なのだよ。
 そもそも、戦いを挑むのが間違っている。
 クリフトひとりでは、強い敵とは戦えないのだよ。アリーナがいないと(←今度はドラクエ4)。

 赤ちゃん自身による父親と母親への接し方の違いは、日々接していると強く感じる。家庭や環境や人によると思うけど、傾向的に母親には甘えたがって、父親には遊んでほしがるように。
 その決定的な差がきっと「この人にはおっぱいがある」「この人にはおっぱいがない」ではないかとさえ、思うのだ。赤ちゃん自身がそう思って、接し方を変えているように。
 実際3ヶ月そこいらまでは、赤ちゃんにとって父親も母親も「そこまで大差なし」だったように感じる。いやもちろん差はあるけどね、その後ほどじゃなかったように感じるのです。
 赤ちゃんに「いわゆる自我」ができてきてから、こちらの時間や立ち位置を何となく把握し、男女親の役割を使い分けているように感じる。これは赤ちゃんが混乱しないよう、親ふたりが役割分担しているのもあると思うけど、赤ちゃんはそれを受けて理解している。確実に。
 だから母親の寝かしつけがうまくいかなくて交代すると「わーい遊んでくれる人だぁ!(びょんびょん)」と飛んで跳ねて喜んで起きてしまう。だから「50%眠い」だったのが「まったく眠くない」になって母親の寝かしつけ努力がリセットされてしまったりする。うむむ。

 話が逸れた。
 つまるところ、おっぱいがついていない男性は「育児の限界がある」と感じてしまう。他のことすべてがうまくできても、おっぱいだけは「絶対的要素」。育児の半分以上重要な部分を占めていると言っても過言ではないだろう。
 これは決して母乳だけではなく、赤ちゃんはミルクも前述のように「五感すべてで感じて味わう」ので、父親と母親というだけで違う。だから母親がミルクを与えると「おっぱいになる」のだけど、父親は至って「ミルクのまま」なのだ。
 だから男は決して、女には敵わない。
 最初から、そういうふうになっているんだね。なんて感じる。父親になって。
 ドラクエ5だってビアンカやフローラがいないと、主人公なんてただのパパスの息子じゃないか(←また出たな)。

 でも、くじけないぞ。
 幸いウチは「パパ見知り」されず、帰ればいつでも喜んでくれる。お風呂も得意で、母親みたいに泣かせない。というかお風呂は父親と入るものだと子供が認識している。妻が僕にお風呂役を与えてくれたおかげで。
 だから「自分にできることを100%」がやっぱり夫婦揃っての育児の基本だと思うし、シングルの方は大変だなぁ、と思う。想像も追いつかないぐらいに。ましてシングル・ファザーなんかできる自信ゼロですよ実際。

 そんな親の背中を見て、子供は育つ。
 だから僕は、母親にできない父親の役割を、すすんでやってやろうと思う。
 おっぱいがなくても負けないんだ!
 同じ思いをしているパパさんたち、くじけないでいこう。

 ああ、でも。
 やっぱりあるといいなぁ、おっぱい(←まだ言ってる)。

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