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5. マーゴ作り


マーゴ・カッティングの現実

G : 三上さんはそん時はどこに行ってたんですか?

[草の茎をブラシにしてペイントをするこのエリアの伝統]北東アーネム・ランドでは人毛を使ったブラシを作るのが一般的ですが、このエリアでは草の茎の繊維を使ってペイントされます。三上さんはこのブラシ作りの過程もつぶさに見てきました。

M : トム・ケリーの方にやっぱりメインのプログラムがあって。ワイルド・ハニー・ビーの巣を見つけるとか。オーカを取りに行くとか。マーゴのカットもしたけどなぁ。全然少なかったで。

G : そうですかぁ!?

M : で、ヒデちゃんに会うて。「わぁ、3本ある!」って。ぼくら1本見つけるのに必死になってさ。

H : あっそうなの?でも最後みんな一人一本くらい持って帰ってきてたよね?

M : あれはもう事前になぁ、用意してあったやつやねん。カットしてるやつを主催者側が用意しててん。あん時新しくカットできたんは4本だけやねん。

H : あっ、じゃぁブラナシの3本とトム・ケリーの1本?

G : それやったら、ブラナシの3本カットってなかなかすごいんちゃいます?

M : すごいよ。だからびっくりしてん。

H : 確立的にはすごいんやな、じゃぁ。


なんか見えてんじゃないかっていうくらいのカッティング

G : トム・ケリーは「あっコレ」っていうズバーンっていう1本なのか、それとも何本か切ってウーンっていう中の1本なのか、どっちやったんですか?

M : ウーンはあったなぁ。やっぱコンコンコンってはするんやけど。やっぱり下見るとパラパラパラパラ落ちてるねんな。それを見てやるけど、そんな細っそいのんないねん。ヒデちゃんの持ってるの見て、えらい細っそいの見つけて来たなぁって思って。

G : じゃぁ、細くてしっかりシロアリが喰ってるやつっていうのはあんまない?

M : これくらいやったわ。ヒデちゃん、こんなんやったなぁ。

H : そうそう。細くて完璧に喰ってるっていうか、竹みたいにあいてた。

M : 今思うとめちゃくちゃすばらしいなって。

G : ほんまですねぇ

H : ほとんど手入れる所ないくらいあいてて、両方カットするだけ

G : そういうエピソードを聞くと、ブラナシが数作ってきたっていう感じが伝わりますよね

H : なんか見えてんじゃないかっていうくらいの感じだったよね


野生の勘

M : ぼくらの知らん時間をヒデちゃんがすごしてるから、そっちに行ったらよかったよなって思う。

H : おれもそんなつもりはなく、ただマークしてたら周りに誰もいなかったっていう世界で。イダキ・マスターの時もそんなんあって。Garma Festivalのイダキ・マスタークラスで、イダキ・マスターと、ラリーと、Yothu Yindiのエムさんのワークショップやりますって言って、みんなラリーとエムさんの方行っちゃって、イダキ・マスターのとこ残ったのオレとおじさん二人だけみたいになって(笑

[初めての北東アーネム・ランド訪問]左から鈴木エージ、セバスチャン、Hide190、三上賢治、ラリー、GORI、そして失念してしまいましたがカップルで現地を訪れていた白人の方。2001年にWalkabout Lodgeにて。とにかく全員若い!

M : (ヒデちゃんは)野性の勘すごい強いなって思うわ

H : いや、オレでもラリーとエムさんのワークショップ逃してるもん。エムさんは個人的に会ったけど。うーん、あれで結構あのワークショップ出ると出ないとで大分違うとは思うけど。

G : ぼくそん時エムさんのやつ行きました

H : そやろ。良かったねぇ~。

G : その時にトム・ケリーがカットした1本はどうなったんですか?

H : わからん。たぶんアートセンターに持っていったか、保管してるか、ラーズが持ってるか。

G : そのトム・ケリーがカットした1本が作られる過程は見てない?

M : みんなで一緒に作ったから混ざってしまった。みんなで作ってたやつは乾燥してるので硬かったりするんやんか。ブラナシが取って来たやつはもうシャーカシャカ、シャーカシャカ取れんのよね、皮が。

でも先に取って来てくれてるやつは、「そっから選べ」言うて、みんなそこから抜いてすんねんけど、カチカチのやつもあってな。

ヒデちゃん2本作ったよな?ぼくも2本作った。

H : そうそう2本作って。ブラナシのともう1本作った。

M : すばらしいよ、ヒデちゃんのフットワークは。

G : 笑

H : でもね、自分でもすごいと思った、その時。なんかね、うれしくてしょうがなかったとにかく。

G : 一緒にいれるっていうことが?

H : マスターと一緒にすごせるって、その時間とか.....。あそこの現地に行ったっていうか、まぁ憧れの地だからさ、はっきり言って、アーネム・ランドは。

で、「これやりたかったー!」っていうことばっかり、やってくれるんで。もう帰りたくないってくらいの感じ?

一同笑

G : いいですねぇ

H : そう。ぼくの原住民マニアな心をすごくゆさぶってくれるツアーだった。

M : すごい良かった


 このインタビューに使われている写真は全て三上賢治によって撮影されました。無断転用はお控えください。All photos were taken by Mikami Kenji. Unauthorized use is prohibited.


>> 6. Wugularrのマーゴ奏者たち


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