東アジアの女性と、アフリカ人の男性がインドを旅した
ご無沙汰しております。
前回の投稿からすっかり時間がたってしまいました。気がつけば、南アフリカのロックダウンも大幅に緩和されています。
10月からは、ビジネス以外の国境を超える移動もできるようになりました。今は春の季節。あったかくなってきたのを一緒に、外を歩く人も増えています。
来年から、(うまくいけば)新しい挑戦をしようかな、と思っているところでもあり、この2020年のうちに、昔の旅の記憶なんかを徒然と書いていけたらなあと思っています。
はじめての一人旅はインドだった
前回、ヨルダン国籍の友人と、パレスチナ問題やフムスを巡ってケンカした話を書きました。(こっそり続けていたnoteなので、たくさんの人に読んでもらえてうれしはずかし)
そう、学生時代の私は中東地域の魅力にはまっていた。魅力にはまっていたという言葉が適当かはわからないけど、うっかり足を突っ込んだら、なんだか抜け出せなくなってしまったのです。
でも、大学に入った当初は、中東に特別関心があったわけではなく、アフリカやインドにすごくあこがれていたんです。(最終的に南アフリカに住むことになるとは思っていなかったですが…)
大学4年生になった時、ふと「大学時代にやっておきたいことで、やり残したことってあったっけ」と考えました。
「そうだ、インドへいこう」
そうしてバックパックを背負ってインドに行くことにしました(軽い)。
初めて中東地域に行った時は、学生団体の仲間と一緒に一気に4つの国に行ったから、2度目3度目は1人で訪問することはあったけど、知り合いを頼ったりしていたし、初めて行くわけではないから、本当の意味での「一人旅」ではなかったように思うのです。
そうすると、この11月という中途半端なタイミングで思い立ったインド渡航こそが、本当の一人旅となったのでした。
大学生女子、インド一人旅
インドという国を訪れた人は「はまる」か「大嫌いになるか」二極化するといいますが、私は前者の方でした。
(初インド上陸を果たした後、1年経たないうちに3回行くことになります。)
約1か月にわたりインドを放浪した話はこちらに書いていますのでぜひ。
たいして準備もなしに、たくさんの人のやさしさやおせっかいに助けられながら、カルカッタ→ビハール州(カガリア→パトナ)→ムンバイ→スーラト→ムンバイというインド北部を放浪したのでした。
2019年、ふたたびインドへ
行くたびに新しい発見があり、奥深さを感じるインド。
機会が合ったらまた行こう!を様子をうかがっていたのですが、初めてインドに行った時にお世話になったインド人の友人から「12月に結婚式をするからよかったら来てほしい」とメッセージが来たのです。
初インド渡航の恩人ともいえる彼女からのお誘いに、Noという選択肢はありませんでした。
仕事もノマドスタイルだったので、インターネットがあればどこからでも働けます。
「南アフリカ人のパートナーがいるんだけど、一緒に行っていいかしら」
そんなやりとりをして、アフリカ人パートナーと一緒にインドに行くことになったのでした。
ムンバイからバスで7時間ほど。(今まで人生で経験した中で一番過酷なバスライドでした。カンボジアの10時間ワイルドバスライドの比べ物にならない過酷さ)
マハラシュトラのベジタリアンの一族の結婚式。
今まで食べたどんなベジタリアン料理よりもおいしい。
おそらく初めて東アジア人やアフリカ人を見たであろう、村の子どもたちから質問攻め、セルフィ―攻めにあった3日間でした。
東アジア人女性であること、アフリカ人男性であること
この旅で感じたことはたくさんありますが、一つ自分のアイデンティティについて考えさせられたので、書き留めておきたいと思います。
インドという地を、東アジア人女性として一人で旅したあの日々と、アフリカ人男性と旅した今回の2週間。
同じ国、ほとんど同じエリアのはずなのに、全く違った経験でした。
女性の一人旅ということで、人一倍注意をしていたし、何かあった時のことを常に想定して動いていたこれまでの旅と違い、男性と一緒にいたことは、安心感をもたらしただけでなく、実際に安全度が増したと思います。
(夜外に歩いて回ることは、一人じゃ決してしなかったけど、2人だったら問題なくできるんですね。)
でもインドでのパートナーの行動を見ていて、危ないんじゃないの?とひやひやすることもありました。
でも、南アフリカ出身の彼は、普段は私よりもずっと周りを警戒した行動をしているんです。
「南アフリカよりは、安全なんじゃないかな。携帯をもって歩いても、いきなり奪われることはないだろうし」
「私が見ていたインド」と「彼が見ているインド」が異なるものなんじゃないか。ふとそう感じました。
外国人女性であることが、危険な目にあう確率を上げている(と少なくとも私は思っている)、ターゲットになりやすい(特に日本人は騙しやすいと思われている、と思っている)のと比べ、男性、しかもアフリカ系であることはそのリスクが少ないんじゃないか。
そう思ったんです。
そのことをパートナーに話したときに、言われた言葉にハッとしました。
「たしかにアフリカ系であることはそうした軽犯罪のターゲットになりにくいけど、特に何もしていなくても"疑わしい/suspecious"と思われる性質でもあるんだよ」
実際に、なるほどな、と思った経験がムンバイの空港でありました。
明らかにわたしたちはツレだし、夫婦だと言ったのに、パートナーの身体チェックが3倍くらいかかるんです。
日本人女性である私は、パスポートを見ただけでOK。
南アフリカ人黒人男性であるパートナーは、IDチェックの後、ポケットのチェック+バックの中身チェック。
一人で旅していた時は、自分のステータスの被害者性(ターゲットになりやすさ)だけを気にしていたけれど、よく考えてみれば、「日本人女性/東アジア系女性」であるというだけで、無害だと思われる、特に努力しなくても信頼してもらいやすいのですよね。
パートナーと一緒に国外に出ると、それが普通でないことがわかるようになってきました。
確かに、ぼられたり道でハラスメントにあるリスクは、黒人男性であるパートナーにはあまりないかもしれません。しかし、時に不必要なまでに、疑いをかけられるストレスは、一緒に旅をしてみるまで、想像ができていなかったことでした。
同じ国や地域に行っても、自分が何者か(ジェンダーや人種など)によって、ひょっとしたらそこでの経験は全く違うものになるかもしれない。
そう、考えさせられた旅でした。
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