地球の大きさ 宇宙の大きさ


私にはそのことを考えるとなんともいえない不思議さに包まれる事象がある。地球もその小さな一部であろう宇宙が無限で果てが存在しないということだ。アインシュタインはこの世で無限なものは、宇宙と人間の愚かさだと言ったが
私は宇宙に比べたら人間の愚かさなど限界があるような気がしてならない。
どんなに高速の宇宙船を作って宇宙の外側に旅しても、決して壁のような到着点は存在しないのだ。何だか恐ろしく怖い。何にでも限界があるから追求したり挑戦したりできる。でも、どんなに科学が発達しても、宇宙の果てまでの冒険旅行をしようとは、まず思わないだろう。
無限の宇宙に対して、地球は何と程よい大きさの惑星なのだろうか。宇宙の不気味さとの対比で私は地球人として生まれたことに安堵する。
私はこれまで数多くの海外旅行を実行してきた。最初は学生時代の約1ヶ月のヨーロッパ旅行だ。それからは思いついては気軽に海外に飛び立った。どこかに行きたいと思った時、わずかに例外を除けば、ほぼ丸1日費やせば世界で行けない場所はほとんどないのではないだろうか。この距離感が私の旅行三昧を可能にしてくれたように思う。
もし、地球がこの10倍のサイズで目的地まで行くのに片道1週間もかかったら、どんなに憧れても行かない行けない場所はたくさん出てくるだろう。行きたいけど行けない。それはちょっと欲求不満になるだろう。超高速旅客機が発明されてやっと可能になるのだ。でも現在、普通の飛行機に乗れば明日には望む風景に出会える。地球がそんなサイズであることに私は喜びそして感謝したい。
その後、私はひとりでそして友人、知人、家族と海外旅行を楽しんだ。私の海外旅行履歴に、ちょっとお付き合いいただこう。
当時の彼氏と行ったアメリカ西海岸とハワイ。ほぼ新婚か若いカップルのツアー。アナハイムのディズニーランド、チャイニーズシアターのスター達の手型足型、ラスベガスでのカジノ体験、そしてハワイの心地よい風に吹かれる夕暮れ。今の何倍もの憧れで見つめたアメリカがそこには存在していた。
友達と行ったシンガポール、香港。初アジアに欧米とは違う魅力を感じる。中華料理ベースの舌に合う食べ物。人種の近さを実感する安心感。先進国にはない発展途上のエネルギー。私のアジアLOVEの原点。
このころから毎年夏冬の海外が続いていく。家族と行ったオーストラリア、ニュージーランド。
両国を何度か往復出来る周遊航空券。ヨーロッパのちょっと田舎という感じのオーストラリア。フィッシュアンドチップスは日本で食べたほうが格段美味しかった。初めての南半球で日本の夏に冬を体験。コアラの爪は痛かった。オールブラックスの国、ニュージーランド。親戚のラグビー好きにラガーシャツを買う。
台湾と韓国にひとり旅。美味しいもの、タイプのイケメンがいっぱいでお気に入りの両国となる。韓国焼酎にもはまり、毎晩上機嫌。ソウルは2時間、台北は3時間の近さもお手軽。
そして、2度目のハワイ。コンドミニアムで住むような滞在体験。物価は高いけど気候やおしゃれな街並みは最高。ちょっと定住欲求がわいた。ホテルのバルコニーでバドワイザー片手にひとくちステーキ。やっぱ、楽園や〜!
段々、海外ひとり旅にも慣れ、UAの周遊券でニューヨーク、オーランドへ。同時テロ前のニューヨーク。世界貿易センターのツインタワーも懐かしい。国連、エンパイアステートビル、自由の女神。定番観光コースを堪能。でも、地下鉄の黒人がなんか怖くて、大通りのみをテクテク街歩き。オーランドではディズニーワールドへ。ディズニーランドをはじめ5個のテーマパークの集合施設。3日かけて見て回ったが、とにかく広すぎて疲れた疲れた!近くのケネディ宇宙センターにも行ったはず。しかし、よく覚えていない。アメリカの大きすぎる大味のデザートケーキ。それだけが妙にアメリカっぽいと思えた。
アメリカ繋がり、確かグアムにも行ったはずだ。
紀鉄グアムビラというホテルに泊まったことだけ妙に覚えているのはなぜ。小屋のようなコテージに泊まったが、シャワーのお湯がすぐ水のように冷たくなりびっくり!でも朝方、聴いたことのないような綺麗な鳥の鳴き声で目が覚める。自慢するようにボリュームをあげて鳴き続けるその声に聴き惚れながら、ここが南の島であることを感じ、何かとてもリラックスした。
グアムでは海辺のリゾートパークのようなところで丸一日を過ごした覚えがある。どうして記憶に残っているかと言うと、2つの思い出が鮮烈だからだ。まず、一つ目は海だ。遠浅の小石を敷き詰めたようなビーチ沿いは、南国のカラフルな小魚が泳ぎ回り、そこに水がないかのような透明感で本当に感動した。その後アジアの海辺のリゾートなど数々訪れたが、この海は忘れることができない。二つ目はビギナーズラック。パークの中にはゴルフのグリーンを使ったゲートボールのような施設があって、初挑戦してみた。欧米人のカップルと私と友人に説明役を兼ねてパークの従業員が参加した。
スタートすると何か調子がいい。ゴルフもゲートボールも本当に初めてなのに、狙ったところにボールが転がる。従業員が上手ですね!などとお世辞を言うもので、ますます調子に乗った。かなりのロングパットも決まって、終わってみれば2位をかなり離しての優勝。従業員が真顔で本当に初めてですか?と聞いてきた。これがビギナーズラックというものかと自分でも驚く体験だった。
約10年の時を経て、ひとり旅で再訪したヨーロッパ。ローマのコロッセオの壮大さに感動し、グラディエーターと猛獣の戦いに熱狂し歓声をあげて興奮する民衆の姿に想いを馳せた。パリのノートルダム寺院も雄大だがエレガントさもあり魅了された。ロンドンのビックベン、バックガム宮殿の衛兵交代式など、名所を回り、ヨーロッパにいる自分に酔いながら過ごした。
ローマやウイーンでは憧れの古城ホテルに。気分はもうお姫様。時を超えてこの城を舞台とした様々なストーリーを夢想しながらロマンチックな数日を過ごした。
何百年と同じ街並みを保つヨーロッパの都市。それを支える人々の価値観と努力。歴史の重さにどっぷりはまるヨーロッパひとり旅。充実感を味わいながら、私を襲う疎外感。次第に私の足はヨーロッパから遠ざかるようになる。欧米人とアジア人との間にある大きな溝。私の海外志向の転機が気づかぬうちに忍びよっていた。


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