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【寄稿者:渡辺直樹】場が発酵する要素としてのわたし。大きな文脈と時間軸の中で場を醸すことについて。(寄稿記事 Vol.4)

場の発酵研究所、運営のお手伝いをしている渡辺です。
普段はおもに、コミュニティデザインをテーマとした活動をしています。

「場って、醸されるものだと思う。場の発酵について研究する場をつくりたい」、そんな感じのお誘いを発起人の藤本遼さんからいただいて、「ああ、そうか、発酵かぁ」と深くうなずいた自分がいました。

藤本遼さんと、同じく発起人であり僕の同郷の先輩でもある坂本大祐さんは、こんなことを言っています。「『場づくり』という言葉や表現に違和感のようなものを抱いてもいました。どこかしっくりこない、そんな感じを持っていたのです。」ああ、うん。なんといいますか、自分もまた、自分の取り組みを手っ取り早く伝えるために「場づくり」って言っている節がありました。

「発酵」と聞いて、皆さん、どんな映像が思い起こされますか?

お酒が好きな僕はまず、奈良県吉野町にある美吉野醸造を訪問させていただいた記憶が呼び覚まされました。吉野町といえば、坂本さんが住む東吉野村の隣です。もう5年ほど前になりますが、冬の酒蔵、洗練された空気の中で佇む大きな木桶の存在感は今でも忘れません。代表の橋本さんが酒蔵の手仕事について実演しながら丁寧に教えてくれました。

このページをぜひ見ていただきたいのですが、「千本桜で知られる奈良吉野で豊かな自然の恩恵を受け、手造りだからこそできる『米の旨味が伝わる酒』を醸しております」という言葉の通り、この酒蔵は世界遺産である吉野山という大きな文脈の中で、ある種の必然性をもって立地しながらも、杜氏による多大な努力によって日本酒が醸されています。

自然の摂理に向き合いながら日本酒を醸すこと、それは厳しい営みでもあることは一目瞭然でした。数多くの要素が絶妙な関係性を持ちながら発酵に向かっていく。それらがうまくいくこともあれば、うまくいかないこともある。そんな試行錯誤の連続が、酒蔵という場、ひいては”うまい酒”をつくっているのだろうと思いました。(このような文章で整理してしまうことも、畏れ多いのですが)

「発酵」と聞いて、そんな酒蔵の記憶の上に、僕がおもな仕事として取り組んでいるコミュニティデザインの現場の記憶もまた呼び覚まされ、重なりました。

それは必ずしも、講演用のスライドに並ぶような笑顔のシーンばかりではなかったです。


僕はコミュニティデザイン事務所のstudio-Lのメンバーとして、あるいは個人として、この8年ほど、いろんな地域で様々な現場を経験させていただきました。コミュニティとともに何か(公共施設、公園、地域計画、etc)をデザインしていくこと、を総称してコミュニティデザインとしています。

発酵という観点でいうと、僕たちのように地域の外からやってくる存在は、その土地で長きに渡って醸成されてきた風土と人々による関係性、そこに加わる要素の一つに過ぎません。一方で少し異質な要素として、その関係性に変化を起こす可能性も持っていると思っています。それは必ずしも「みんな笑顔になる」ようなものばかりではなく、険しい表情もたくさん生んでしまうし、対立するような構図を生み出してしまうこともあります。もちろん僕の力が不足していたこともたくさんありますが、それが新しい動きや関係性、可能性につながることもあります。(その話を具体的に書き始めると長くなるので割愛します、ぜひ研究所で語りましょう)

そして、そうした刹那的な変化も要素の1つとして取り込みながら、地域、国、ひいては地球という大きな文脈と時間軸の中で、世代も交代しながら、今そこにある「場」(あるいは、生活)はつくられていくのだろうと思っています。

「場の発酵」と聞いて、研究所に集ってくださった講師や研究員、参加される皆さんは、何を語るのでしょうか。それは世間が定義する「成功談」とはまた違う気がしています。その試行錯誤から少しでも多く学び取れるように、僕も尽力したいと思います。

ぜひ一緒に、「場の発酵研究所」という場を醸しましょう。
楽しみにしています。


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