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超短編スタンダード曲小説

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スタンダード曲からお題を借りて小説にします。
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2016年9月の記事一覧

ユー・ガット・ア・フレンド(君の友達)

#小説 #超短編小説

SNSで「友達じゃないですか?」と薦められた人達の中に20歳の頃の自分がいた。

名前も経歴も遊んでいる友人も何もかも20年前の自分だ。投稿している記事も、最近買った本やレコードについての青臭い評論文みたいなことを書いている。これはどう考えても20年前の自分だ。

僕はおもいきって「20年後の自分です。これも何かの縁です。友達になって下さい」と友達申請をした。

翌日、20

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イン・マイ・ソリテュード

#私小説 #超短編小説

20歳を少し過ぎた頃、お金を貯めるために、昼はレコード屋で働きながら、深夜は電報局で働いたことがある。

深夜は本来の一般的な電報を受ける115番は営業を終えていて、僕が担当していたのは船舶からの電報を受け付ける番号だった。

大手町のNTTの大きいビルの地下の小さな部屋にオペレーター用の机が20個くらいあり、そこに常時10人くらいの男性が座って、世界中の海上にいる船から

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シー・ラブズ・ユー

#小説 #超短編小説

街を歩いていると「魔法使い養成講座。素人大歓迎」という看板をみつけた。

なんだか怪しそうだけど、もし魔法使いになれたら夢がかなえられると思った僕は扉をノックした。

「こんにちは。入り口の看板をみたんですけど…」

「いらっしゃい」

「あの、魔法使いになりたいんですけど…」

「では、まず最初に魔法使いになりたい動機を聞かせてもらおうかな。大金持ちとか世界征服とか…」

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アイル・ネヴァー・フォール・イン・ラヴ・アゲイン

#小説 #超短編小説

ああ、また失恋しちゃった。

もう絶対に恋なんてしないって決めたんだ。

私の方から好きになりすぎちゃいけないっていうのは、わかっていたのに。

ママの遺言の意味が本当にわかってきたなあ。もう一回ちゃんと読んでおこう。

1.女の子の方から先に好きになってはいけない。

2.相手に奥様か恋人がいるかどうか確認してから好きになること。

3.最初からすごく慣れている誘い方やデ

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