ノンフィクション大賞作家が語る英国のおっさん事情(4-50)

今朝は、大雨注意報が出るほどの雨音で目が覚めました。皆さんのお住まいの地域は大丈夫でしょうか?

さて昨夜は寝付けず、借りていた、2019年「ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー」でノンフィクションの賞を総なめにした著者ブレディみかこ氏の2020年ノンフィクション大賞候補作を読みました。

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EU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。(「BOOK」データベースより)

第一章はEU離脱の是非を問う投票で離脱票を入れたばっかりに、残留派の妻と息子に叱られ、喧嘩が絶えないので仲直りしようと漢字で「平和」とタトゥーを入れたつもりが、「中和」と彫られていたおっさんの話、
本を読むことを生きがいにしていたのに緊縮財政で図書館が子ども遊戯室の一角に縮小され、それでも諦めずに幼児たちに囲まれながら本を読むうち、いつしか母子たちに信頼されていくこわもてのおっさんの話など、笑って泣ける21篇のエッセイです。

まさに恋と離婚、失業と抵抗に直面しても絶望している暇はなく、「みんなみんな生きているんだ、友だちなんだ」と著者が歌う、現代社会を生きるベビーブームに生まれた世代を、著者らしい切り口と語りに思わず笑ったり、一緒に落ち込んだりといったエッセイが並んでいます。

反対に第2章解説篇では現代英国の世代、階級、お酒事情は、英国の現状を簡潔かつわかりやすくまとめてあり、第1章で語られたおっさんたちの事情の背景がよくわかります。

パートナーがベビーブーム時代のおっさんである著者が、EU離脱で、これまでにない目標の定まらぬ旅へと出てしまった英国のおっさんたちへのエールとして書いたエッセイであると私も受け止めました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

週末の金曜日、今日という日があなたにとってかけがえのない1日でありますように。






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