目の前に人が跳んでいる。それも振りかぶってボールを投げてきそうな勢いだ。

僕は向かってくるボールを後ろには通さまいと体を大きく見せて向かっていく…

振りかぶって飛んできたボールは僕の右足当たり、ボールはコード外に消えていく…。

相手からしたら絶好の決定期となるシュートを止めた。

自然と右手でガッツポーズを作り、吠えていた。応援してくれる後輩達も興奮して声援を送っていた…。

これは、ハンドボールというスポーツの一場面だ。7年前の高校生の時、僕は今思い出しても震えるような試合をした。

競技レベル的には、全国大会にもいけなければ県大会にもいけなかった弱小高校の話だ。試合のレベル自体もそんなに高くなかっただろう。ただ今思えば、あの試合は僕がハンドボールにハマる瞬間だった。

7年経った今でも当時の友人に会った際は、その試合の話を良くする。それだけあの試合が脳裏に焼きついている。その日の行われた全試合で一番盛り上がった事。僕自身、なかなか調子が上がらなかったが、何かやれる感じがしていた事。部活に夢中で取り組んでいた事。そして今はあんな風に純粋に夢中になって取り組む事ができない事。

青春は去ってから気づく物だとよく聞くが、僕の青春はまさしくそこにあったのだと後から気づいた。

周知の通り、今年はコロナの影響で部活などの大会や催し事が軒並み中止になっている。

この記事を読んでいる人の中に、何かを通して今思い出しても心臓の脈が早くなって興奮するような経験をした事がある人もいるだろう。

その経験を得られたかもしれない場所が無くなってしまったと思うと本当に虚しい。自分が3年間かけてきた青春を最後の最後に奪われてしまったと虚無感でいっぱいの人もいるだろう。

でも、きっと何年後かにその青春は返ってくる。お酒を飲んで懐かしめる時がくると思う。あの思い出すと少し虚しくなる感じ。

あんな事があった。こんな馬鹿をやった。大学で地元を出たあいつは元気にしてるかな。とか色んな話を懐かしみながら笑える時が。

その時が貴方の青春が返ってくる時だと思う。

今はとても悔しいと思う。けれども、今やるべき事、やれるべき事を頑張ってほしい。

大丈夫、貴方の青春は奪われていないよ。大丈夫だよ。

どんな方がこの記事を読んでるかは分からない。でも、もし貴方が高校生や中学生の学生であれば僕は貴方を応援してる。