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創業10周年を迎えたBASEが新たに「Foundation」を策定。企業ミッションを実現した先に、誰もが自分らしく生きるのがあたり前の社会を作ることこそがBASEの根底の想い。

あらゆる人が「We are All Owners」と言える社会に向けて

はじめに

BASEグループ(以下、BASE)は、2022年12月11日に創業10周年を迎えました。BASEは企業ミッションである「Payment to the People, Power to the People.」(=ペイメントを民主化し、誰もがアクセスできるようにすることで人々を強くする。)の実現に向けて、これまでの10年間、プロダクトの開発に取り組んできました。
誰もが簡単にインターネット上で経済活動が始められるように開発したネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」を中心に、「BASE」を利用するショップオーナーが生み出す価値を、リスク無くより拡大するための資金調達サービス「YELL BANK(エールバンク)」によって金融の民主化にも取り組んできました。
また、スタートアップ企業等に向けてコスト面・開発面の導入ハードルを最小限にすることを追求したオンライン決済サービス「PAY.JP(ペイドット ジェーピー)」を、そして、昨今では“売る側”だけでなく、ネットショッピングでのスムーズな決済体験と、新しい商品との出会いや好きなショップでのリピート購入を最適化する購入者向けショッピングサービス「Pay ID(ペイ アイディー)」を強化し、企業ミッションの実現に必要な、決済・金融を主軸としたプロダクトを戦略をもってリリースし続けています。

そして次の10年に足を踏み入れた2023年、引き続き決済・金融プロダクトを開発・提供し、社会により大きく貢献する企業として成長するために、ミッションの在り方にあらためて向き合い、「We are All Owners」という「Foundation(ファンデーション)」を新たに策定しました。

「Foundation」とは、“根底の想い”を意味しています。企業ミッションの実現に向けてプロダクト開発にひたすら向き合う10年を経たBASEが、今あらためて根底の想いを表した「Foundation」。その策定背景をCEOの鶴岡にインタビューしました。

ロングタームで同じ価値を作り続けていくために、企業の最終的な想いの言語化は必要不可欠。

ー BASEグループはかねてより、企業ミッションを掲げていましたが、今回なぜFoundationを新たに策定したのでしょうか?また、FoundationはBASEのミッションにおいてどのような位置付けのステートメントなのでしょうか?

BASEは2022年12月11日に創業してちょうど10年が経ちました。企業として次の10年に取りかかる最初の1年になります。そこで事業の戦略も含めて、もう一段階ブラッシュアップすることを考えたときに、ブレずに事業を作り続けるためには目的だとか社会の中でBASEという会社が担う役割だとかがより明確になっていて、ミッションにより深くコミットできる状態にすることが、今後に向けてすごくレバレッジが効くことになると思いました。例えばパーパス(存在意義)のような、ひとつのコンテキストに落とし込むことが必要なんじゃないかなと。

そこで、新しい10年が始まったこのタイミングで今回新たに「We are All Owners」というFoundationを策定・開示しました。Foundationとは、なぜBASEは企業ミッションを実現すべきなのか、なぜ僕たちはこのミッションを追いかけているのかということの根底となる考え方を定めたものです。

多くの企業がミッション、ビジョン、バリューを持っていますよね。僕自身も自社の企業ミッションにはこだわっていたりするんですけど、ではなぜ企業はそのミッションやビジョンを追いかけるのだろうかと考えたときに、他社のパーパスを見てみると、「〜する」といったWhatの表現が多いことに気づいたんです。その時に、ではなぜそれをやるのだろう、それをした先はどうなるのだろう、とそこの部分がすごく気になってしまって。なのでBASEでは、なぜミッションを実現するのか、その理由を明確にしたいと思いました。

また、個人的に長いタームでプロダクトを作るのが好きなんですけど、BASEも長いタームで作るプロダクトばかりなので、なぜミッションを実現するのかという一歩踏み込んだ前提があった方が、多くのメンバーと同じ価値観を持つことができて、それによりロングタームで同じ価値を作り続けていけるのではないかと気づいたんです。

というのも、周囲の人たちとディスカッションする中で、時々議論の時間軸が合っていないと感じることがあり、そもそもなぜBASEがこれをやってるのかという、最終目的地がずれている可能性があるなと思ったんです。だからこそ、より長くものごとを思考して多くのメンバーと一緒にチャレンジするためには、最終的な想いを言語化しないといけないなと課題意識を持ちました。

ロングタームで同じミッションを実現し続けるからこそ、実現した先にどんな社会を作りたいのか、それをきちんと言葉にしたかったんですよね。
そこで、かねてより掲げてきた企業ミッション「Payment to the People, Power to the People.」について、まずはなぜこのミッションを追うべきなのかをさらに言語化する必要があるなと考え、ミッションを実現する理由を、言語化し、Foundation(根底の想い)として新たに策定しました。なぜペイメントで人々をエンパワーメントするのか?その理由を「We are All Owners」というFoundationで表しています。

Foundation(根底の想い)

ー ミッションを策定する際に、一般的にはパーパスを用いることがトレンドだったりする中で、なぜFoundationを選んだのでしょうか。

もともと、誰もが自分らしく生きることがあたり前の社会を作ることこそが、僕らが企業ミッションを実現する理由だなと考えていて、あらゆる人がそういう価値観を持った社会を作りたいという想いがありました。当初はそれってパーパスなのかなと思い、世の中に伝えるためにも、情報の整理と言語化が必要だと思っていたので、今回のミッションにあらためて向き合うプロジェクトを始めたんですけど、取り組む過程で、一般的なパーパスの考え方というのがより手段に寄っていて、今回僕たちが言語化したい価値観をパーパスと表明してしまうと、意味合いとしてズレがあることに気がつきました。そこで無理にパーパスという名称を使うのはやめました。

そして、ミッションの根底にある価値観を僕らなりの意志で表し、ミッションや行動指針、事業などすべての根幹となるものであるという位置付けを適切に示すための名称を様々探す中で、Foundationとすることにしたんです。
社会が想像するパーパスという言葉は、よりミッションに近いんじゃないかと思います。なので、どういう世の中にしたいかをパーパスとして言語化してしまうと、抽象的だと受け止められてしまう可能性があると考えました。僕たちとしては、社会からの受け入れられ方をより我々として正しいものにしたかったんです。

ー いつからこの取り組みを開始したのでしょうか?またプロジェクト体制について教えてください。

取り組みを本格的に開始したのは2022年の秋頃からです。ここ1年くらいはずっと次の10年のことを考えているんですけど、ミッションは経営戦略上重要なテーマの一つとして念頭には常にあって、それを具体的なプロジェクトとして開始した感じです。

体制については、経営戦略室というCEO直下の部署で取り組みました。なので僕も一員としてプロジェクトチームに入っていますし、他に2名のメンバーがいてリードしてもらいました。経営戦略室は、短期的な事業戦略ではなく、どちらかというと長期的な目線でグループ全体の価値やそれに紐づく経営戦略を考える役割を持ったチームです。ミッションは、策定したからといって次の日すぐに何かが変わる訳ではないけど、ロングタームで価値を作る上で非常に重要な価値観なので、1番長い目線で責務を追っている部署である経営戦略室がオーナーシップを持ちました。

長い時間をかけて作る事業だからこそ、今考えている言葉がこの先、長く、社会との接点になり続けるので、これには結構な時間を使いましたが、そうするべきだと思っていました。

プロジェクトの初期段階では、経営戦略室のメンバーがミッション等に関する社内ヒアリングを実施しました。それでヒアリング結果をベースにプロジェクトチームのメンバーと課題やそれに対する対応方針をディスカッションする中で、そもそもなぜ「Payment to the People, Power to the People.」を実現しようとしているのか?を言語化したいという想いが僕自身の中に生まれたんです。

そこで、プロジェクトとして立ち上げ、チームメンバーとかなり多くの時間をかけて情報の整理に取り組みました。

実際の言語化のプロセスは、以前ミッションの策定をお願いした外部パートナーさんと進めました。自分たちが考えていることを言語化するお手伝いをしていただいたのですが、根底の考えを引き出す役割として非常に大切な存在でした。

次の10年に向けてこの根底の価値観をしっかり言語化することは、組織としても重要なテーマなのでプロジェクトチームのメンバーだけでなく、他の上級執行役員や執行役員にも時間をもらってディスカッションしました。ミッションを実現した先にどんな社会が待っているか、BASEグループのチームみんなが理解できる内容になっているか、腹落ちした時にはあらゆるところに一気にレバレッジが効くワードになっているかなど、最後の最後まで多様な観点から意見をもらいました。

ここまで経営陣の時間をもらったのも、ミッションは作って終わりではなく、Foundationを通じてみんなでミッションをより深く理解することが日頃のアウトプットにも影響する、非常にレバレッジの効くお仕事だからです。

Foundationの策定においては、すべてのステークホルダーを意識しています。「We are All Owners」という価値観を持った社会を作るというのは、BASEだけではできない大きなことを掲げているので、だからこそ、社内メンバーはもちろんですが、株主の皆様、取引先企業様などすべてのステークホルダーに理解していただくことが大切だと考えています。

誰もが自分らしく生きることがあたり前の社会を作ることこそが、僕らが企業ミッションを実現する理由。

ー  なぜ「We are All Owners」というタグラインにしたのでしょうか?

誰もが自分らしく生きることがあたり前の社会、あらゆる人が「We are All Owners」と言える社会を作ることこそが、僕らが企業ミッションを実現する理由だと考えたからです。

誰もが、自分の人生にオーナーシップを持って生き、自己実現する社会を作る手段として、僕らBASEグループは決済の簡易化を、インターネットで実現しようとしていて、BASEのプロダクトを使って「We(わたしたち)」は強くなる。今までできなかったことができるようになったり、自分に必要だったものにかんたんにアクセスできるようになったり、今まで出会えなかった価値に気づけたり、いつのまにか生きる環境が良くなっている。そんなことを実現した先には、誰もが自分らしく生きられる社会があると思いますし、そうしたいです。Foundationは、BASEが作りたい社会なんです。

それが根底にあるから、企業としてのミッションを持っていて、ミッションを実現すれば、作りたい社会ができている。それがFoundationとミッションの関係性です。

左:Foundation(根底の想い) 右:Mission(果たす役割)

We(わたしたち)が示すのは、社会に存在するすべての人です。私たちは、自分の人生を生きる権利があるし、自分の人生のオーナーシップを持って生きることができる。そういう社会では人々は「We are All Owners」と発することができる。企業ミッションを実現した先に、誰もが自分らしく生きることがあたり前の社会を作ることこそがBASEの根底の想いです。そこで「We are All Owners」をタグラインにしました。

もともと2018年9月に「BASE」のショップ開設数が60万ショップに達した際、”We are Owners”というメッセージを発信しているんです。当時は「BASE」を利用するショップオーナーがどういう人たちなのか、我々がエンパワーメントしたい人々はどういう人たちなのかを言語化したものとして公開しました。今回、ミッションの在り方にあらためて向き合うにあたり、“We are Owners”は、根底の価値観を言語化するプロセスの初期段階から「やっぱり良いフレーズだな」と思っていました。日本語のタグラインも様々検討したんですが、僕らが強くしたい人々を示した”We are Owners”がやはりしっくりきたんですよね。

ただ、今回は「BASE」を利用するショップオーナーだけでなく、また我々BASEグループのメンバーだけでもなく、誰もが、自分のことだと思ってもらえるようにしたかったんです。

「We」という主語については、社内から「僕らBASEのことを言ってるように捉えられるんじゃないか」といった反対意見も結構多かったけれど、これからは人々がより世界中の社会課題に着目するようになり「We」が指す範囲がどんどん広がっていくといいなという願いも込めて、意思を持って「We」という言葉を採用しました。そして改めて本当に全ての人々が人生のオーナーであるというのを強調するために「All」を足しました。

初期案は全く違うものでしたが、提案してもらう中で、YESもNOも含めてよりプロジェクトチームの意志が明確になっていき、最終的に「We are All Owners」に決定しました。

自分たちの真の役割を明確にするFoundationは経営戦略上、必要な価値観。

ー  Foundationは今後のBASEグループの経営においてどのような形で活用されていくイメージですか?

Foundationは、僕たちが企業ミッションを実現した先にある社会の姿なので、BASEの取り組みを説明するようなシーンでは、圧倒的にミッションの方が登場する機会が多いと思いますが、新たなメンバーが入社してくる中で、オンボーディング等で価値観を共有していく際に、きちんとFoundationについても浸透させていきます。

経営戦略上、Foundationは必要な価値観です。それは、自分たちの真の役割を明確にしていくことだったり、ポジショニングを明確にするためでもあります。例えば、全社の事業戦略を考える際やバリュー、タレントマネジメントのポリシー等を言語化する中で、迷った時に立ち返る価値観になるものだからです。

企業ミッションの根底の考えなので、我々がどんな社会の構築を志しているのか、なぜこのミッションができたのかに影響しているし、全ての根底にあるものだから、事業にももちろん影響するし、一人一人の日常業務にも影響するかもしれない。影響範囲としては1番広い定義になります。

ちなみに、これを定めたことによって、僕たちがアウトプットしたいものが変わったわけではないですし、正直に言うとFoundationなのかパーパスなのかという言葉自体もそんなに問題ではないんですよね。BASEがどんな社会に向けて時間を使っている組織なのかを知ってもらうことが大事だと思っています。だから目的としてはなぜ「Payment to the People, Power to the People.」を実現するのかを共通言語で伝えられればそれでOKでした。一般的にはFoundationという概念があまりないので、もしかすると最初はメンバーが理解しづらい部分はあるかもしれないのですが、パーパスを表現したいわけではなかったので、パーパスでは無いんだよという背景も含めて浸透させていきたいと思いますね。

僕たちは、顕在化してる課題があったりとか予測できる落とし穴を埋めるために必要になるものがあるなら、それに対して必要なことを考えていくチームでありたいので、他の会社が持っているからBASEも作ろうという考え方はしないでいいかなと思っています。その考えも含めてコミュニケーションできたらいいなと思います。

Foundationに限らず事業作りをもっともっと長期的に考えたり、社会の問題と向き合ったりしていますが、それぞれの部署からもそういう観点での提案が増えてきているので、全員が共通言語として意思疎通できる価値観を、このタイミングで出せてよかったです。

自社の利益を作ることと同じくらい良い社会に貢献することを大切に。

昨今の時代に存在する企業にとって、自社の利益を上げることと同じくらい、良い社会に貢献していくことは大切です。今回策定した「Foundation」は自社だけで実現できない規模のことではあるけれど、そういう世の中になるべきだよねという企業としての考え方であり、作りたい社会のゴールだと思っています。

僕たちはインターネットという手段で、決済を民主化し、あらゆる人々をエンパワーメントする道を選んでこの10年間プロダクトを開発していて、「Payment to the People, Power to the People.」というミッションの実現を目指していますが、その実現に近づくにつれて、在ってほしいのは「We are All Owners」という考えが当たり前に存在する社会です。

「We are All Owners」には多様性の尊重ももちろん含まれます。住む場所や、生まれた環境、育った環境、触れてきた文化や身近な人々の考え方からの影響など、人の生き方って必ずしも同じわけではありません。今回表現したものそのものですが、あらゆる人が環境やその他の制約条件に左右されず、自分の人生にオーナーシップを持って生きていけるよう、顕在・潜在する社会の不平等を是正することが僕たちが生きてる責任だと思うので、近い未来に「We are All Owners」と誰もが言える社会が在るように、社会全体で解決していきたいと思います。

ー  最後に、今回のFoundation策定の取り組みを経て、鶴岡さんの感想を聞かせてください。

今回「Foundation」を策定するにあたり、表現したかったことの事例があまり世の中にはなくて、新しい価値観を作ることの大変さにも向き合う時間だったのですが、経営戦略室のメンバーが一緒に考えて向き合ってくれたことが自分としても良かったですし、これまで以上に周りに助けてもらって策定していくプロセスを経て、取り組めたことが個人的には嬉しかったです。

今ほど組織ができていなかった頃は一人で考えることも多かったけれど、多角的な意見をもらいながら、より良い社会につながる取り組みを今日もみんなと考えていきたいと思います。

<関連リンク>
BASE株式会社 ミッション&行動指針


プロフィール

鶴岡 裕太(つるおか ゆうた)/ BASE株式会社 代表取締役CEO
1989年大分県生まれ。大学在学中から複数のインターネットサービスのバックエンドのプログラミングやディレクションを経験し、 2012年12月に22歳でBASE株式会社を設立。 「Payment to the People, Power to the People.」を企業ミッションに、決済の簡易化を主軸にした事業を展開し、国内最大級のネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」、購入者向けショッピングサービス「Pay ID(ペイ アイディー)」等を運営。 2018年にForbes JAPANの日本の起業家 BEST3位に選出。2019年10月に東証マザーズに上場。

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