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【「嗜む」のすすめ】あらたな意味の発見に焦がれ本を嗜む

小山一成さん撮影

私達が密かに大切にしているものたち。

確かにあるのに。

指差すことができない。

それらは、目に見えるものばかりではなくて。

それらを、ひとつずつ読み解き。

それらを、丁寧に表わしていく。

そうして出来た言葉の集積を嗜む。




■テキスト

「[増補版]知の編集工学」(朝日文庫)松岡正剛(著)

本書刊行時の時代背景と執筆時の思い、そして、今回、増補した制作経緯を明かし、あらためて「知の編集工学」で問おうとしたメッセージを、以下の5つの視点で解説しています。

1.「世界」と「自己」をつなげる

2.さまざまな編集技法を駆使する

3.編集的世界観をもちつづける

4.世の中の価値観を相対的に編み直す

5.物語編集力を活用する

これらの視点の大元には、「生命に学ぶ」「歴史を展く」「文化と遊ぶ」という基本姿勢があることも、AI時代の今こそ見直すべきかもしれません。

■あらたな意味の発見に向かおう

人生において大切なのは、 新しい視点を持つことですね。

「泉の湧きいずるところ

人が集い

風景が生まれる

さあ

あらたな意味の発見に向かおう」

かつてパリを歩いたベンヤミンは、都市の街路(パサージュ)を、人々の多様なつながりと創造性を育む場と考えました。

その役目を引き継いだはずのインターネットは、過密なムラ社会と化しつつあると、三宅陽一郎さんは指摘します。

街から人影が消えたいま。

改めて、インターネットを、新しいパサージュとして再生させるには?

ミシェル・セール「五感」も援用しながら、

「五感〈新装版〉」(叢書・ウニベルシタス)ミッシェル・セール(著)米山親能(訳)

また、いままでしてこなかった、どんな見方ができそうですか?考えてみる。

「私は浜辺で美しい貝殻を見つけて喜んでいる少年にすぎない。

しかし、真理の大洋は、すべて未発見のまま私の前に横たわっている。」アイザック・ニュートン(科学者)

自分の過去の経験だけを基準に考えていたら、目に入ってくる範囲も限られるから、いつだって、自分が知らないだけで、もっと可能性のある世界があることを認識することから再スタート。

「時計より出(い)で来て踊る人形の目線は遠き夏木立かも」
(中川佐和子『海に向く椅子』より)

「紙パックたたんだことでたたまれた紙パックから礼を言われる」
(島楓果『すべてのものは優しさをもつ』より)

いままでしてこなかった目線で、違う視点で、いろんなものを見てみることで、知の遊歩者になるべく、あらたな意味を掬ってみせる。

「パサージュとは移行者であって街路者であり通過者である。

境界をまたぐ者になることである。

パサージュの積み重ね、それをぼくは「編集」とよんでいる。」(ヴァルター・ベンヤミン『パッサージュ論』より)

<参考記事>
『パッサージュ論』
著者:ヴァルター・ベンヤミン
翻訳:今村仁司・三島憲一 他

■13夜130冊目

2024年4月18日から、適宜、1夜10冊の本を選別して、その本達に肖り、倣うことで、知文(考えや事柄を他に知らせるための書面)を実践するための参考図書として、紹介させて頂きますね(^^)

みなさんにとっても、それぞれが恋い焦がれ、貪り、血肉とした夜があると思います。

どんな夜を持ち込んで、その中から、どんな夜を選んだのか。

そして、私達は、何に、肖り、倣おうととしているのか。

その様な稽古の稽古たる所以となり得る本に出会うことは、とても面白い夜を体験させてくれると、そう考えています。

さてと、今日は、どれを読もうかなんて。

武道や茶道の稽古のように装いを整えて。

振る舞いを変え。

居ずまいから見直して。

好きなことに没入する「読書の稽古」。

稽古の字義は、古に稽えること。

古典に還れという意味ではなくて、「古」そのものに学び、そのプロセスを習熟することを指す。

西平直著「世阿弥の稽古哲学」

自分と向き合う時間に浸る「ヒタ活」(^^)

さて、今宵のお稽古で、嗜む本のお品書きは・・・

【「嗜む」のすすめ】あらたな意味の発見に焦がれ本を嗜む

「帝国ホテル 厨房物語 私の履歴書」(日経ビジネス人文庫)村上信夫(著)

「日本画の巨匠 私の履歴書」(日経ビジネス人文庫)上村松篁(著)

「最強の横綱 私の履歴書」(日経ビジネス人文庫)時津風定次(著)

「女優の運命 私の履歴書」(日経ビジネス人文庫)東山千栄子(著)

「中間小説の黄金時代 私の履歴書」(日経ビジネス人文庫)井伏鱒二(著)

「北の出土刀を科学する ー最新考古学からみた刀剣文化史への道程」佐藤矩康(編著)

「とらとほしがき」パク ジェヒョン(著)おおたけ きよみ(訳)

「小袖」長崎巌(著)

「生き物がいるかもしれない星の図鑑 太陽系や系外惑星、億兆の中に生命はあるか」(サイエンス・アイ新書)荒舩良孝(著)

「狂骨の夢」京極夏彦(著)

■(参考記事)松岡正剛の千夜千冊

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