[漫画]イサック10巻の気になった背景を解説

こんにちは。今月21日にヨーロッパ30年戦争を題材にした漫画、イサック最新刊が発売されました。


年始にまとめ読みした身としては、ナイスタイミングということで発売日に買って読みました。もちろん。

この記事では10巻の舞台と登場する要素について調べたことをまとめています。


ライデン

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イサクの次なる目的地はオランダのライデンでした。
ライデンはオランダに実在する街です。首都アムステルダムから36kmほどの距離。

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ライデンは15世紀には繊維業でオランダ最大の都市となりました。また、オランダ独立戦争で独立側として戦い、都市の住民の3分の1が殺害される惨劇の舞台となりました。しかしその後、繊維業を中心に再度経済が活性化し、イサックの時代(1620年)にはアムステルダムに次ぐ都市となります。
 ちなみにシーボルトが日本からの帰国後に住んでおり、現在はシーボルト博物館があります。

産業としては繊維業が中心で鍛冶産業が進んでいるという事実は見つけられませんでした。ここの部分はフィクションなのでしょうね。


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ユーリヒ要塞(ユーリッヒ城塞)

 ユーリヒ要塞は現在もドイツ北西部、オランダとの国境近くに現存する城です。保存状態がかなり良く、現在は高校として活用されているとのこと。

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地図のピンの位置です。ライデンからは256km。
イサックを連れに来た隊長曰く「歩いて5日かかる距離」らしい。この時代の人の感覚はやっぱりすごい。。。

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オランダ式射撃術

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 イサックがユーリヒ要塞に入ったあとに目にした5列による連続射撃は史実ではナッサウ公マウリッツという人が作り上げたものです。
マウリッツはスペイン-オランダ80年戦争でオランダの領土奪還・拡大を進めた軍人です。マウリッツは知識人であり、過去の文献を読みつつ様々な軍
事組織の改革を進めました。

その一つが常備軍の創設です。当時のヨーロッパの軍隊は金銭で雇用する傭兵が中心の「雇われ兵」が中心でした。一方で常備軍は軍務についてお金を得ることは傭兵と変わりませんが、君主によって派兵された自国民であることが違いです。

そしてその常備軍を活用し、マウリッツはオランダは兵士の規律を高め、練度を上げました。また、オランダ兵は教育と装備を標準化し、誰もが同じ装備を同じように扱えるようになりました。
これによってマウリッツは「オランダ式射撃術」を作り出します。これは部隊は5列の隊列を組み、まず第1列目が射撃すると最後尾に移動し、射撃準備を行う。次に第2列目が射撃し、背後に回る…を繰り返す連続射撃になります。


漫画を起点に深堀をしていくと学びがありますね。中世ー近代ヨーロッパを起点に色々調べようと思います。

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