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3月9日という涙

2024.3.9(土曜日) the 9th of March


薄ら寒い朝である。
単なる寒いではなく、裏すらと付くのは、曇っているせいであろう。
灰色のフィルムを街全体にかけたような風貌になっている。

朝ごはんに、初めて行ったパン屋で買った葡萄パンを食べた。
これがすごぶる旨い。
夫婦で「美味しい、美味しい」を連発しながら食べる。
たとえ葡萄パンであっても、ただの食パンであっても、この年になって
美味しいと言いながら食べれるのは幸せである。それも夫婦揃ってである。
ふたりして「私たちって単純」と笑い合った。

さて、3月9日といえば、レミオロメンの3月9日の歌が欠かせない。
ベランダに出て、ひとりでスマホからその歌を聴く。
2番がすきだ。

砂ぼこり運ぶ つむじ風
洗濯物に絡まりますが
昼前の空の白い月は
なんだかきれいで 見とれました
上手くはいかぬこともあるけれど
天を仰げば それさえ小さくて
青い空は凛と澄んで
羊雲は静かに揺れる
花咲くを待つ喜びを
分かち合えるのであれば それは幸せ

歌詞一部抜粋

涙が出る。
と、情緒に浸っていたら、寒くて本当に凍えそうになり部屋に戻る。
今日はあと何回この歌を聴くだろう。

朝は美味しい葡萄パンで幸せだったのだが、お昼ごはんになるようなものが冷蔵庫になくて、夫を誘って梅田にお昼ごはんを食べに行く。
街はもう…もう…人の頭しか見えない。鼠色のアスファルトが見えない。
これは、レストランにたどり着くまでに気力が萎えてしまうかもしれないと思う。
近くを歩いていた知らないおじさんが「花火大会みたいやな」と言った。
私は花火大会が嫌いだから行ったことはないが、テレビで見る花火大会に向かって歩く人並みにそっくりだった。
少しずつ、少しずつ前に進むが、その横から入ってくる人もいて、実際はなかなか進んでいかない。
やっと目的の店に着いて、店の人が申し訳なさそうに「カウンターしか空いてないんですけど…」と言うので、カウンターの方がいいですと言って座る。私も夫もカウンター好きだ。
カウンターの両隣りとも外国の方だった。
こういう時、なんだかんだと食べ方なんかを聞かれて、いつの間にか通訳と化してしまっておちつかないのだが、店のスタッフで英語ができる人がいて対応してらした。ほっとした。

帰りに無印良品に寄って、トイレットペーパー、キッチンスポンジ、猫草キットなどを買う。それからユニクロに寄って花を買う。
今朝食べた葡萄パンも忘れずに買う
どこかでお茶でも?と思ったが、お茶を飲むのにも大行列。
あるカフェでは待ち時間60分となっていた。
それでも健気に並んでいる人たちがいる。
変な街である。
お茶を飲むのは諦めて、荷物を全部夫に持たせて、またあの花火大会のような道を通って帰ってきた。

一泊旅行に行ってきたかのような疲れぶりだった。
街中に住むってことの不都合さをひしひしと感じた1日だった。


今日は寒かったね。


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読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。