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ある日、ふと軽くなる瞬間

2023.6.5(月曜日)  nimble

だるい。
ものすごくだるい。

トイレ掃除をしては…はぁ〜。
洗濯をしては...はぁ〜。
お化粧をしながら…はぁ〜。
何をするにも「はぁ〜」という倦怠感の塊が口から吐き出される。何が原因がわからないから「チッ!もう何なのさ」と自分自身に悪態をつく。
勇気を振り絞ってクリーニング屋に洗濯物を出しに行く。
私より一歩先に到着していた若い男性がいた。その人、掛け布団を2枚を袋にも入れず持ってきていた。ご近所さんだとは思うが、よくこれで落とさず歩いてこれなたなとびっくりする。
店内に入るのにうまく入れずあたふたしていたので「手伝いましょうか」と声をかけたら「それじゃ、ここを押さえておいてもらえますか」と、落っこちそうになっている布団を押さえるように指示された。ようやく店内に入って「ありがとう、ありがとう」と何度も言われた。
「布団入れる袋、100均に売ってるよ」と教えてあげたら「えっ、そんなのあるの?次からはそれにします」と言って笑っていた。
なんか憎めないやつだった。

家に帰って「死ぬまで生きる日記・土門蘭」を読む。
あと10ページほどで読み終わるのだけど、読み終えるのが嫌になるくらい素晴らしい本だった。
著者である土門蘭さんが子供の頃から「死にたい」という思いに駆られる原因をカウンセラーとの対話を通じてそれを解明していく様子を綴った実話。
「死にたい」と思っているのだけど、何か不幸なことが著者を取り巻いているわけではない。「死にたい」けど「自殺願望」ではない。そこのところがなかなか難しい。
この中に出てくるカウンセラーの本田さん(仮名)とzoomで対話をするのだけど、私もカウンセリングを受けているような気持ちになる。
それは私と土門さんには少なからず共通点があり、私自身もこれはどういうことなのかなぁと思いながら生きてきたからだ。100%の解決には至らなくてもすこしずつ固まった糸がほぐれていく様子が手にとるようにわかる。

この本の中でカウンセラーの本田さんが言う。
「問題ってね『解決しよう』と思わなかったら問題じゃなくなるんですよ」
これには参った。
目から鱗だった。

この本は大切に持っておこう。
そして何かあった時にまた読み返してみよう。
土門さんに本田さんというお守りがあったように、この本は私のお守りになった。




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