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山の幸(夏~初秋)

 食レポシリーズ第2弾。実家の周囲で採れた山の幸の記録をまとめました。夏の物が少ないので秋も一部含みます。

 皆さんご存知の梅。早春に花を咲かせ、初夏に実を結びます。熟れると枝から実を落とすのですが、その前に手摘みしたものを食します。

 梅干しを漬けるのが常でしたが、同時に梅酒梅シロップも漬けました。シロップは梅酒と同じように角砂糖と一緒に瓶詰めしますが、リキュールを加えません。漬ける期間はどちらも同じで、4ヶ月~お好みです。
 シロップは梅の香りと酸味、サッパリした後味が特徴ですが、そのままだと”シロップ”の名の通り、蜂蜜のような粘度をしているので、100エーカーの某熊の如く糖分中毒な方でないとそのまま食することは困難です。肌寒くなる時期から飲み始められるので、お湯割りにすることが多かったです。他にも水割りソーダ割りなどで飲む他、煮物の隠し味に投下することもありました。

 どれも美味しいですよ!

茗荷

 ミョウガ。繁殖力が強いので家庭菜園でもお手軽に続けられる香辛野菜です。ただあんまりにも強いので、無計画に敷井の無い場所に植えるのはおススメしません。ミントほどではありませんが。
 冬を除き年中取れますが、晩夏~秋が旬です。

 ジャキジャキとした繊維の歯応えが心地良く、ツンとした独特の香りと苦味・酸味を含む味が食卓の名脇役となります。刻みネギと一緒に薬味として、冷奴、茄子の揚げびたし、蕎麦・うどん・そうめんなどに添えてもGood!酢の物は酸味と酸味が合わさるので私はあまり得意ではありませんでしたが、焼酎のアテでに良いです。渋いチョイスで味噌汁なんかは、シンプルで良いです。
 味と香りの癖が強いので、好き嫌いが激しく分かれる食材ですが、栽培難度と適応料理の幅はとてもお手軽です。

野蒜

 ノビル。某カメさんの活躍により一躍認知度の上がった植物です。初夏に花を咲かす前が一番美味しいです。ネギやニラのような見た目の葉と、タマネギやラッキョウのような球根が食べられます。

 洗ってそのまま、お味噌を添えて食べるのが好きです。野菜スティック的な。スティックではないのですが。球根部分の味は、小さなタマネギから辛味を弱めた感じです。歯応えのある新玉ねぎみたいな。ただ、採取から時が経つと辛味が増し、生で食べるのに胆力が必要になるので、取った日の晩には食しましょう。
 葉はそのまま万能ネギやニラの仲間なので、刻んで薬味にするも良し、そのままモグモグするも良し!

 見つけるのと採取するのにコツが必要ですが、とても美味しい山菜です。

枇杷

 ビワ。あのオレンジ色したフルーツです。6~7月に実をつけます。

 未熟な実は渋味があり、酷いものだと3時間ほど舌がジワジワします。熟した傍から野鳥がついばんでいくので、人と鳥との争奪戦が始まるのです。
 熟した実は水分豊富で瑞々しく、ちゅるんと喉を通っていきます。爽やかな甘さと香り豊かな後味が特徴です。

 言われなくても知ってる方も多いでしょうが大変美味です。

赤紫蘇

 家庭菜園のような、庭にいつの間にか毎年生える赤紫蘇。梅干しの仕込みに用いますが、他の使い方もあります。
 これを夏に収穫し、水と砂糖で漬けてジュースにします。梅シロップと似た感じですが、こちらは漬ける期間はありません。葉を洗って煮出して砂糖入れて冷やしておしまい!好みで割って飲みましょう。
 香りは青紫蘇ドレッシングなどでお馴染みの紫蘇のものが強烈に香ります。味は酸味がブワッと突き抜けてから砂糖の甘みがやって来る波状攻撃タイプ。一口の内にどんどん感じる味が変化するので、少しずつ味わいたくなります。

 祖母がよく作っていたのですが、加減をせず濃く大量に作って保存しておくので、「この量が入ったボトルはさすがに薄めてあるやろ」と思って飲んだら原液で、むせて死にそうになったことがあります。作る人はご注意ください。

夏野菜

 クソ田舎だったので家庭菜園という名の自給自足型農業をやっていました。定番はだいたい作って食べました。

トウモロコシの茎

 実ではなくです。

 竹のような形状をしていますので、採取後に鉈や厚手の包丁などで縦に裂きましょう。4~6つに割ったら、内部の白い繊維に噛み付いて樹液(?)を吸います。甘ぁぁあああい!!植物の繊維が傷付いた際の青臭さはありますが、サラサラの液体がオリゴ糖シロップみたいに甘いのです。
 沖縄の観光地などで見かけるサトウキビジュース(サトウキビの枝を絞ることで出した樹液)と同質の物ですが、甘さが後を引かずスッキリ。欲を出して吸い過ぎると繊維が口に入ってゴワゴワしますが、良いおやつでした。

謎野菜

 大規模家庭菜園で収穫された謎野菜。虫媒の病気か連作障害の一種なのかは不明ですが、栽培していたナスとトマトの境界株に見られた謎の実です。
 形状は平ためのトマトか、小さなカボチャのようで、サイズは直径5~8cm、高さ3~4cmほど。色はハロウィンで飾られるカボチャのような、鮮やかなオレンジ色でした。ナスの株にもトマトの株にも、同株の他の実は通常のものが成っているのに、1つか2つだけそんな実が成りました。
 トマトがナス科であることは関係していそうなのですが、結局直接的な原因は分かりませんでした。

 味は、分かりません!食べることができませんでした。まず固いです。どれくらい固いかと言うと包丁が入らないくらいです。斧を振り下ろしたら実に刺さりましたが、割ることはできませんでした。最終的に食べることを諦めてノコギリでどうにか切ってみると、中はナスのよう。皮は薄く、実は小さな種をミッチミチに繊維が詰まった実が覆っているという状態でした。

 なんで食レポのコーナーで食べれなかった物を書いているのか。それはこれも貴重な記録だと考えたからです。類似するものを見た方は是非教えてください。

桑の実

 かつて養蚕を行っていた我が家では、その飼育用に桑の木を植えていました。養蚕から撤退し、桑の木も寿命に任せて数を減らしていきましたが、まだ数本だけ残っています。
 桑は秋口に、小さな実を付けます。形はブドウのように、ごくごく小さな実が密集した房を成します。最小単位の粒は直径1mm弱。それが集まった房は長さ1~1.5cm、幅4~6mmほどです。色は赤から、赤紫、紺と熟すにつれて黒に近付いていきます。

 味は甘酸っぱいです。マルベリーとも言われるその実の味は、まさしくベリー系。イチゴもそうですが、熟すほど酸味を甘味が圧倒していきます。水分を減らし香りを薄めた代わりに甘味を強めたブルーベリーのような味です。
 1本の木に多くの実が成るので、良い子どものおやつでした。その甘味を求めてアリなどの昆虫も木を登るので、水で洗うついでに冷やして食べると、洗浄ついでに味が冴えるでしょう。
 ヘタを除くのが大変ですが、ジャムも美味しいです。
 あの頃には作りませんでしたが、桑の実で果実酒を作っても間違いなく美味しいでしょう。

アケビ

 アケビは秋、鬱蒼とした藪の中で隠れるように実を付けます。熟れると厚い皮が自然と裂け、果肉を露わにします。
 果肉は白みがかった半透明で、内部に大量の黒い種子を抱えています。種子はポップコーンの実やBB弾程度のサイズで、これがぎっしり入っている上に食べられないので、可食部は少ない果実です。皮を除いた可食率は20%ほどでしょうか。

 食べる際は、カブリとダイレクトに実を頬張り、歯で漉すようにして果肉を味わい、種子はスイカの種の要領で吐き出します。
 香りは無く、歯触りは固い種子を含んだバナナのような感じ。甘味が非常に強く、また味に癖が少ないのが特徴です。ここまでの糖度を示す果実はそうありません。氷砂糖のようなマイルドな甘さのムースをイメージしてもらえたら近いでしょうか。ただ、食べ頃を逃がすとやや渋味が出てくるので注意が必要です。

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