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だから私は映画館では絶対腕時計をはずす

今はNetflixやら、Amazonプライムやら、良質な映像作品を楽しむハードルがかなり下がった感じがある。それにともなって、映画館で映画を見るというのは、すっかり上級な趣味に成り上がった。でも、映画館でわざわざ映画を見るという行為はよいものだ。スマートフォンとの心中を無意識に覚悟するような時代において、映画館は今では特異な空間として機能していると私は思っている。

映画館ではスマートフォンの電源をOFFにすることがマナーであり、それは通知音や、画面の光、盗撮などの迷惑な行為を防止するためだからだ。しかし、それは運営者や、周りのお客さんのためだけではなく、鑑賞者にも大きなメリットがある。通知を気にしなくて済む時間になるからだ。むしろそれが映画館最大の利点だと私は思う。作品を見る以上に、何かに没入することへの価値は今、とても高騰している。

その価値を享受したいため、私は映画を見るときにいくつか必ずやることがある。リラックスできる洋服を着ていく、上映前に水を飲んでお手洗いにいく...、そして腕時計をはずす、だ。

映画において時間を意識したら途端につまらなくなってしまうと思う。まだ終了まで時間が残っているから、何かもう一段階あるな、なんて思ってしまったら終わりだ。そんなもの感情のジェットコースターを観覧車から眺めているようなもんだ。せっかく映画館に来るのなら、安全装置の外れたジェットコースターを一番前で乗っていたいタイプなのだ。左腕に重みを感じただけで意識に時間がよぎる。だから私は映画館では絶対腕時計をはずす。


実はこれは前置きで、本題は別の話がしたかった。

読書において、紙で読むべきか、Kindle(電子書籍)で読むべきか、といった論争がある。

一人暮らしをしていて、たいそうな本棚を置けていない私は(あとKindleの方が安いため)、なるべくKindleで本を買っている。でも、文庫の小説は紙で持っておきたいなとか思っている。理由は2つあって、表紙に惹かれて買うパターンがあるからと、旅行中の高速バスや、電車で読む文庫の没入感がたまらなく好きだからだ。家では普段実用書ばかり読むので、小説はあまり買わないことも理由に入るかもしれない。

しかし、ふと、紙の利点でもある、今どのくらいまで読んでいるかページの厚みで感覚的にわかるという点が、映画館での腕時計にあたるのではないかと思い始めた。ページ数を意識した瞬間から展開を想像してしまうのではないか。だったらKindleで読んだ方が没入できるのではないだろうか、と。

じゃあさっそくKindleで、といってiPhoneやiPadで読むのは罠だ。通知をおやすみモードでOFFったところで、Twitterを開いてしまうのが目に見える。以前、AmazonのセールでなんとなくKindle paper whiteを買った私は、バスで読む読書が最高なのと一緒で、バス(風呂)で読む読書も最高なのを知っていた。

私の作戦はこうだ。真っ暗な風呂場で、BALMUDA The Lanternの薄明かりに照らされながら、Kindle paper whiteで小説を読む。

これはちょっと人生楽しくなりそうだ。そんな感じでKindle派にどっぷり浸かっていこう。ピンと来なかったら紙に戻そうという気持ちは忘れずに。

逆に実用書系は紙の本も活用したい感じがある。小説は物語が記憶に残っていくのに対し、実用書は内容が記憶に残りづらい。紙だと前の方のページにこういうことが書いてあって、と立体的に関連付けて覚えられるが、Kindleだとそういう情報は皆無なので、なおさら記憶に定着しづらい。使えるようになって初めて意味があるものなのでそこは不便でも紙に頼るべきかもしれない。Kindleでも読んだ内容を構造化してまとめるなどすれば、問題なさそうに思えるが、めんどくささが強い。初学のジャンルは似たような書籍を複数買って抽出しながら読みたいので、なおさらめんどい。良書にあたれば丁寧にまとめる。それ以外は手間を省くために紙で読もうかな。そうなると、次は本棚の上手い整理術を考えなくてはいけないな。

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