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中国武術の長拳が割と前面に押し出されている稀有な児童向け読み物、「天下無敵のお嬢さま!」の話。

こんばんは。「腱引き」と「つるた療法」の別府湯けむり道場です。

今回はわたしが昔、

 天下無敵のお嬢さま!

という本を購入した、そんな話です。

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この本、内容としては児童向けの読み物(たとえば往年の名作、ズッコケ三人組あたりをイメージしてもらえれば分かるかと思います)で、小・中学校の図書室なんかにも置いてありそうな本です。

すでに中年真っ盛りの男が、なぜ今更この本を購入したのか? 

今になって己が人生を悔恨し、戻ってもこない青春に浸りたくなったのか? そうではありません。

簡潔に申せば衝動買いです。

大の男が児童向けの読み物を衝動買い、これまた穏やかではありません。

しかしそこには確かにそうさせてしまうような事由が存在したのでした。

そもそもこの本を購入するに至ったきっかけは、別の本(中国武術関連)を買おうと本屋の検索機を使っていたことが、その発端です。

結果的に目的の書籍は無事入手できたのですが、ここで「ん?」と思いました。検索結果に中国武術らしからぬタイトルの本があり、興味本位でタイトルをクリックしてみたのです。

表示された本のあらすじには、このように書いておりました。

「わたくし、沢崎菜奈と申します。ここ、花月町に暮らし、花月小学校に通う六年生。はっきりいって美少女です。それに、運動神経抜群で成績優秀。中国武術・長拳とバイオリンをたしなんでおります。人はわたくしを、天下無敵のお嬢さまといいます―。菜奈と芽衣、そしてメリーさんとの出会いからはじまるすてきな物語。シリーズ第一作!小学校高学年・中学生向。 」

「はっきり言って美少女です」という文言が自称美少女戦士達を彷彿とさせますが、それはともかく、

(中国武術、それも長拳をたしなむお嬢さま!? それ一体どんな本よ!? 買うよ、買うしかないじゃん!!)

そう思ったわたしは児童向けコーナーに行ってこの本を探したものの、あいにく在庫切れ。仕方なく帰宅し、amazonで注文するに至りました。正直今は、当初の目的であった本よりもこっちの方が楽しみだったりします……なんとまあ、本末転倒なことですが。

キャラクターの特徴づけとして長拳が存在するので、この作品全体における長拳のウエイトはそれほど大きくはありません。長拳がメインの話ではないということは、あらすじを読んでも明らかです。

ただ、長拳を使ってピンチを切り抜ける場面もあり、きちんと作中で活かされているので、そこは中国武術経験者として思わずニヤニヤしてしまいました(児童向けの読み物にニヤニヤする男、あまり見た目が良いものではありませんが、ご勘弁を)。

……むしろ表演(演武)の拳として有名な拳法を実戦で使えるあたり、すごい腕前ですよね??

この作品が児童向けという性質からも、これを読んだ子供が「長拳ってなんだろう?」と少しでも思ってくれたのなら、それはとても素晴らしいことなのではないかと思います。

そして外してはならないポイント、それは表紙や挿絵があの「この世界の片隅に」を生み出したこうの史代さんであること。ファンなら要チェックでしょう!

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