別府岳則

都内ワインショップバイヤー、オーストリアワイン大使、International Per…

別府岳則

都内ワインショップバイヤー、オーストリアワイン大使、International Personality of the Year 2018(ViniPortugal)、WSET Level3、ソムリエ(JSA)など。ワインについて考えることが好きで部屋の片付けが苦手。

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A Hungarian Pinot Noir

今一番気になるワイン産地はハンガリーだ。 お隣のオーストリアの視点から見ると、東にあるハンガリーといえば「パノニア気候で暑い」国である。オーストリアの産地は国の東部に固まっているが、これは西側にアルプス山脈がありぶどう栽培には標高が高すぎることと、東のパノニア気候の影響を受けるため温暖な影響を受けることが理由だ。 冷戦時代に西側だったオーストリアと比べると、ハンガリーは東側だったために経済的にも立ち遅れた。ワインの生産においても、洗練された世界観を確立させたオーストリアな

    • Wine is our blood

      僕がこの地域のことを「東欧」ではなく「中欧」と呼ぶのは簡単な理由で、当地に行った時に叱られたからだ。迂闊にも「Eastern Europe」と言ってしまった僕に、間髪入れずに「Central!」と。 だから帰ってきてからも、「東欧」と言われるたびに、「中欧!」と訂正するようになった。この呼び方についての拘りは、彼らの誇りの問題なのかなと思う。「西欧 / Western Europe」と対比しての「東欧」という言葉は、旧共産圏で、貧しく、暗いイメージがつきまとう。対して「中欧

      • オーストリアワインは進化する

        フレッド・ロイマーのワインを飲むといつでも、よくわからないなあと思う。 ロイマーさんのワインはシンプルでスタイリッシュなボトルに入った、とてもオーストリアらしい美しさのあるワインだ。本拠地のカンプタールと少し離れたウィーンの近くの産地グンポルツキルフェンにも畑を持ち、オーガニックとビオディナミで栽培を行っている。彼はヴァン・ナチュールが個人的に好きだと言うが、とはいえ彼のワインはよくある「自然な」ワインに見られる濁りやオフフレーヴァーはなく、極めてクリーンな、オーストリアら

        • あんことワインと人

          始めに断っておきますが、あんことワインが合います、みたいな話ではありません。悪しからず。 本屋で「あんこの本」が目に入った時、あ、そういえばあんこのこと好きだけど何も知らないな、あんこもきっと深めたらいろんな多様性が見えてくるんだろうな、とブワッと頭の中を駆け巡り思わず手に取りました。 美味しい美味しくないくらいは意識していたもののあんこのディテールについて考えたのは初めて。どうやって作るのかすら何となくしか知らない有様です。しかしあんこを巡る人たちへの取材を通したあんこ

        A Hungarian Pinot Noir

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        • Wine Tasting Comments
          6本

        記事

          チリらしいワイン

          エラスリスが、こんなに寒くてはよいブドウなど育たない、と言われていたアコンカグア・ヴァレーの海沿いの地域に植樹してからほんの15年ほどだという。そこから作られたラス・ピサーラス シャルドネ 2017はパーカーポイントでチリ史上過去最高の98点を獲得。赤も含めて、98点は初めてだったそうだ。 15年と聞くとかなり最近の話だと感じるが、例えばアルマヴィーヴァやセーニャがリリースされたのは90年代中盤以降。エラスリスがチリのプレミアムワインのクオリティをヴィニェド・チャドウィック

          チリらしいワイン

          A wine like the sun

          醸造担当のキャトリーヌによると、一般的な品種の場合、ワインは Alcohol アルコール Arôme 香り Acidité. 酸味 が評価軸になるのだという。しかしシャスラにはそれが当てはまらない。 スイスを代表する品種「シャスラ」。5000年前からナイル川流域で栽培されていたともいわれる歴史ある品種だが、それほど口にする機会は多くない。なぜか。スイスのワイン産地は合計14,800ヘクタール。そこから生まれるワインのうち輸出されているのは僅かに1%〜2%。そもそもほぼ

          A wine like the sun

          ここに地終わり海始まる

          ポルトガルを代表する詩人カモンイスの詩集「ウシュ・ルジアダシュ」の中でも最も有名な一節であり、ユーラシア大陸の西の果て ロカ岬の石碑に刻まれていることでも知られる言葉が呼び起こされる。果実も花の香りもないワイン。石を舐めたような、と比喩されるワインはあるが、これはポルトガルの潮の味わいだ。きつい潮風というよりは、優しく柔らかい海の香り。ポルトガルの塩田の甘味のある塩の花の味わいだ。リスボンの南には今でも昔ながらの塩田が沢山あって、そこからとびきり美味しい塩がとれる。それをFl

          ここに地終わり海始まる