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A Hungarian Pinot Noir

A Hungarian Pinot Noir

今一番気になるワイン産地はハンガリーだ。

お隣のオーストリアの視点から見ると、東にあるハンガリーといえば「パノニア気候で暑い」国である。オーストリアの産地は国の東部に固まっているが、これは西側にアルプス山脈がありぶどう栽培には標高が高すぎることと、東のパノニア気候の影響を受けるため温暖な影響を受けることが理由だ。

冷戦時代に西側だったオーストリアと比べると、ハンガリーは東側だったために経済的に

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Wine is our blood

Wine is our blood

僕がこの地域のことを「東欧」ではなく「中欧」と呼ぶのは簡単な理由で、当地に行った時に叱られたからだ。迂闊にも「Eastern Europe」と言ってしまった僕に、間髪入れずに「Central!」と。

だから帰ってきてからも、「東欧」と言われるたびに、「中欧!」と訂正するようになった。この呼び方についての拘りは、彼らの誇りの問題なのかなと思う。「西欧 / Western Europe」と対比しての

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オーストリアワインは進化する

オーストリアワインは進化する

フレッド・ロイマーのワインを飲むといつでも、よくわからないなあと思う。

ロイマーさんのワインはシンプルでスタイリッシュなボトルに入った、とてもオーストリアらしい美しさのあるワインだ。本拠地のカンプタールと少し離れたウィーンの近くの産地グンポルツキルフェンにも畑を持ち、オーガニックとビオディナミで栽培を行っている。彼はヴァン・ナチュールが個人的に好きだと言うが、とはいえ彼のワインはよくある「自然な

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チリらしいワイン

チリらしいワイン

エラスリスが、こんなに寒くてはよいブドウなど育たない、と言われていたアコンカグア・ヴァレーの海沿いの地域に植樹してからほんの15年ほどだという。そこから作られたラス・ピサーラス シャルドネ 2017はパーカーポイントでチリ史上過去最高の98点を獲得。赤も含めて、98点は初めてだったそうだ。

15年と聞くとかなり最近の話だと感じるが、例えばアルマヴィーヴァやセーニャがリリースされたのは90年代中盤

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ここに地終わり海始まる

ここに地終わり海始まる

ポルトガルを代表する詩人カモンイスの詩集「ウシュ・ルジアダシュ」の中でも最も有名な一節であり、ユーラシア大陸の西の果て ロカ岬の石碑に刻まれていることでも知られる言葉が呼び起こされる。果実も花の香りもないワイン。石を舐めたような、と比喩されるワインはあるが、これはポルトガルの潮の味わいだ。きつい潮風というよりは、優しく柔らかい海の香り。ポルトガルの塩田の甘味のある塩の花の味わいだ。リスボンの南には

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A wine like the sun

A wine like the sun

醸造担当のキャトリーヌによると、一般的な品種の場合、ワインは

Alcohol アルコール
Arôme 香り
Acidité. 酸味

が評価軸になるのだという。しかしシャスラにはそれが当てはまらない。

スイスを代表する品種「シャスラ」。5000年前からナイル川流域で栽培されていたともいわれる歴史ある品種だが、それほど口にする機会は多くない。なぜか。スイスのワイン産地は合計14,800ヘクター

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