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ロンドン大学通信制を受講する際のアドバイス

こんにちは。べえたです。

前回までの記事では、ロンドン大学の通信制プログラムであるMSc Professional Accountancyの内容について、ご説明してきました。

今回は、個別のプログラムやコースに関わらず、ロンドン大学を通信制で受講する上でのアドバイスについて、記載したいと思います。

ロンドン大学だけではなく、海外大学の通信制の講座を受講される方にも参考になると思いますので、ぜひご覧いただけると幸いです。


論文テーマの事前検討

まず意識したいのは、卒業・修了論文を何のテーマで書くのかを受講開始前に考えておくということです。

イギリスの大学で学位を得る場合、Capstone projectという卒業・終了論文を書く講義が必須となるケースがほとんどです。

Capstone projectでは、論文を書く際の理論・論証法(帰納法/演繹法、質的研究/量的研究など)を学び、最終的に、英語で数千words以上の論文を提出します。

このように、テーマに沿って記入するノウハウは学べるのですが、テーマ選定については、学生側に委ねられる形になるため、講義開始後に授業をこなしながらテーマ探索を開始すると、かなりスケジュールが厳しくなってしまいます。

このため、受講開始前に、論文のテーマとして何が候補を検討しておくと、受講期間中の参考文献の検索も捗ると思います。

この時点では、詳細な調査は不要ですが、特に社会人の方の場合、仕事のスケジュール等で学習に割ける時間が少なくなってしまう可能性もあるので、できればテーマは複数案持ち、以下のように負荷のレベルを調整できるように準備できるとベストです。

①高負荷:ヒアリング等、質的な調査が必要な研究テーマ
②中負荷:アンケート等、量的な調査が必要な研究テーマ
③低負荷:文献や公開データを収集し、まとめたデータで研究可能なテーマ

上記はあくまで一例であり、もちろん、アンケートを広範囲で実施すると、ヒアリングよりも負荷が高くなるケースもありますので、あくまでイメージとして活用いただければと思います。
(上記は、学生が個人として個別の研究対象に深くヒアリングする許可や場所を確保することの難しさを考慮しました)

具体的な文献探索などを通じて、各テーマの実際の負荷が当初の想定と異なることがわかるケースも多くあるので、受講期間中に完結できるレベルのテーマを選定することが重要です。

研究範囲の絞り込み

論文テーマを決定する際、注意したい点として、研究範囲を絞り込むことです。

例えば、「国際的な会計基準の変遷」など、大きな枠組みで研究を行おうとすると、通信制大学の限られた学習期間では研究を完結させることが難しく、また論文の新規性を確保することも難しくなってしまいます。

特に、学士・修士課程においては、論文テーマ自体の質以上に、「定められたルールの中で、適切に学術的文章を書くことができるか」が問われていると考えた方が良いでしょう。

このため、「会計基準の○○の変更が日本の○○業界の○○に与えた影響」など、研究対象として取り組む範囲を絞り込み、それに関するデータや情報をしっかりと探索する戦略を取ることをおすすめします。

文献調査

特に、論述系の科目を受講する場合には、文献調査の重要性が極めて高くなります。

ロンドン大学のCapstone projectでは、採点基準の10~20%程度の配点が文献調査に割り当てられており、この部分でしっかりと得点することが重要になります。

学士・修士課程の場合、先行研究に則って自分の研究を進める能力を証明することが期待されているため、参考文献については、20~30本程度は引用できるよう、イメージするとよいと思います。

もちろん、調査した論文全てが自分の研究に使えるわけではないので、実際に引用する論文の3~5倍ほどは、ストックとして取っておく必要があると思います。
その意味でも、文献調査にはできる限り早めに着手し、ストックを増やしておくことが望ましいです。

講師・チューターへの相談

ロンドン大学の通信制では、授業は録画で公開されており、いつでもどこでも好きな時間に授業を受けることができます。

【講義画面イメージ】

反面、普段の授業の中で講師やチューターと関わることがないため、学習は独力で進めなければなりません。
(学費が低く抑えられている理由でもありますが)

しかし、ロンドン大学では、各講義にTutor forumというページが設けられており、学習や課題についての疑問点をいつでも質問することができます。

ロンドン大学は、事務局への質問の回答はかなり時間がかかっていたのですが、講師やチューターの方々は、とても丁寧な印象を受けました。

私が受講したMSc Professional Accountancyプログラムでは、どの講義でも質問には数日で回答がされていました。

もちろん、実際の課題の答えなどは教えてくれませんが、可能な範囲で最大限の回答はしてくれていたので、疑問に思った点は、どんどん質問するとよいと思います。

また、課題が出た後には、出題意図や設問内容の解説などをウェビナーで行ってくれることもあるので、実施された場合には、直接参加もしくは録画の視聴はぜひ行ってください。

WhatsAppでの情報交換

講師やチューターへの質問とは別に、学生同士でもコミュニケーションを取ることが重要です。

多くの場合、各講義のTutor forumのページの中で、同じ講義を受講しているメンバー同士でWhatsAppグループの作成が呼びかけられます。

WhatsAppは、Meta社(旧Facebook)が運営するメッセンジャーアプリで、イメージで言うと、英語で運営されるLINEのようなものです。

特に、課題が出た後には、活発に情報交換がなされるので、グループが無い場合には、Tutor forumのページで呼びかけてみてもいいかもしれません。

なお、学生間での課題解答の作業分担や、解答のシェアなどは認められていないので、その点には留意が必要です。
参照した教科書のページや、参考となるウェブサイトの共有などがメインになります。

また、あくまで学生同士のグループなので、発信されている情報が正しいかどうかは保証されていません。
あくまで、参考情報を交換し合うグループというイメージです。

剽窃チェック

学術論文を書く場合、避けられないのが剽窃(ひょうせつ)チェックです。

剽窃とは、他人が書いた文章をあたかも自分が書いたかのように偽ることであり、アカデミックの場では、禁忌とされる行為です。

いわゆる、コピペ論文と呼ばれる問題が、これに該当しますね。

ロンドン大学でも、剽窃チェックは厳しく実施されており、Turnitinと呼ばれるソフトを使って、チェックがなされます。

このソフトを通じて課題や論文をアップロードするのですが、他の文献と同様の記述がある部分をハイライトし、類似する文言がある範囲の比率が表示されます。

「○○%以上なら即失格!」とはならないのですが、あまりに高い比率になると、かなり厳しくチェックされる可能性があります。

私の実体験では、参考文献からの引用など(引用が明記されていれば、問題はありません)がほぼ全て検出されており、かなり正確なチェックがなされているようです。

一例として、私が提出した課題には、引用部分も含めて20%ほどのSimilarityが検出されたものもありましたが、引用・出典を明記していたため、問題なく単位を得ることができました。
このように、Similarityの%で一概に評価されるのではなく、剽窃とならないよう、しっかりと引用することが重要です。

データベースの活用

ロンドン大学に入学すると、オンライン図書館が利用できます。

様々な情報にアクセスすることができるので、学習する上で非常に便利なのですが、論文や書籍のタイトルから検索することになるので、テーマ検索自体から始めたい場合には、ConsensusやGoogle Scholarといった、外部のサイトも利用して、あたりをつけてからオンライン図書館を利用すると、効果的です。

また、全てのコースで利用可能かは不明ですが、MSc Professional Accountancyでは、Statistaというデータベースへのアクセス権も付与されていました。
これは、様々な国や産業、企業に関するデータやレポートが掲載されており、分析用のデータ収集にとても役立つサイトでした。

このように、ロンドン大学では様々な情報に触れることができますので、ぜひ、学習に役立ててみてください。

まとめ

今回は、ロンドン大学を通信制で受講する上でのアドバイスについて、お話しました。
かなり幅広い内容を記載してしまいましたが、少しでも参考になる情報があったなら幸いです。

今回ご紹介しきれなかった、私が学習時に活用したアプリやサイト、書籍などについても、別の機会に改めてご紹介したいと思います。

さて、これまでこのnoteでは、ロンドン大学のMSc Professional Accountancyについてご説明してきました。
次回以降の記事では、そのプログラムの出願要件である、USCPAや関連する会計資格について、ご説明したいと思います。

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