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ラーマーヤナ (三)マーリーチャとスバーフを倒す

(三)マーリーチャとスバーフを倒す

ラーマとラクシュマナの二人の王子は、母や兄弟たちに別れを告げ、ヴィシュヴァーミトラにひきつられて出発しました。
やがて都の外のサラユ河のほとりに来たとき、ヴィシュヴァーミトラはラーマとラクシュマナに沐浴をさせ、秘法を授けました。それによって彼らは、疲労することなく、またいかなるものの害を受けることもない身体を得ました。
河のほとりでラーマとラクシュマナは、ヴィシュヴァーミトラに、弟子としてのあらゆる奉仕を行ない、またヴィシュヴァーミトラは二人に、夜が更けるまで、さまざまな教えを説き明かしたのでした。

夜が明けると三人は、沐浴と礼拝を済ませた後、再び歩き出しました。
サラユ河がガンジス河に合流する地点に来たとき、そこの岸辺には、多くの苦行者や聖者たちが、数千年にわたる修行をするための庵を結んでいるのが見られました。
苦行者や聖者たちは、そのヨーガの力によって、ヴィシュヴァーミトラとラーマとラクシュマナが来たことを知り、寄り集ってきて、聖者ヴィシュヴァーミトラに供物を捧げました。ヴィシュヴァーミトラは彼らと語らい、その夜はそこに泊まったのでした。

あくる日、三人は船を作って、ガンジス河を渡り、さらに進んでいきました。

ヴィシュヴァーミトラは、ラーマに神の武器を与えるため、東方に向かって念を凝らしました。すると天の武器が姿をあらわし、ヴィシュヴァーミトラはその武器を使うための秘法をラーマに授けました。

そうして三人は、目的の森へと到着しました。そこでヴィシュヴァーミトラは祭典をおこなったのち、六日間の無言の行に入りました。
六日目、ついに悪魔のマーリーチャとスバーフがあらわれました。悪魔たちは激しく襲いかかってきて、祭壇に血を振りこぼし始めました。
ラーマとラクシュマナはただちに悪魔との戦闘に入り、あっという間にこの二人の悪魔を倒してしまいました。

ヴィシュヴァーミトラは、大喜びで言いました。
「どうか私の庵へおいでなさい。私の弟子たちは喜んで、あなた方にお仕えするでしょう。」

王子たちはその日一日中、ヴィシュヴァーミトラの一団と共に過ごしました。翌朝、夜が明けると、ラーマとラクシュマナは、ガーヤトリー・マントラを唱え、朝の祈りを済ませました。するとヴィシュヴァーミトラがこう言いました。
「勇士たちよ。お二人は、王者にふさわしいつとめを立派に果たされた。まことに見上げたものだ。私は今こそ、兵法の極意を伝授することにしよう。
しかしそれには、その前に、己を制することについて知らねばならぬ。己を制する者こそ、全世界を制することができるのだ。まず最初に、言葉を慎むことから始めなさい。」

ラーマとラクシュマナは、言葉を慎み、己を制すると誓いました。

そこでヴィシュヴァーミトラは、「復讐の矢」の極意を二人に授けました。この矢は、まるで稲妻のように強力なものなのです。
次に、「裁判の投げ縄」という極意を授けました。それは、どんな悪人も、この投げ縄を持っている王様の前に出ると、すべての罪を白状してしまうというものでした。
ヴィシュヴァーミトラはそのほかにも、さまざまな極意を二人に授けたのでした。

そのとき、ヴィシュヴァーミトラの弟子の一人がやってきて言いました。
「ミティラーのジャナカ王が、王女シーターの花婿を選ぶために、ハラダヌという巨大な神の弓を曲げさせる催しを開くとのことです。」

これを聞くと、ヴィシュヴァーミトラは、ラーマとラクシュマナを伴って、ジャナカ王のもとへと向かいました。

ジャナカ王は、ヴィシュヴァーミトラを喜んで出迎えました。そして一緒にいる二人の若者を見て、尋ねました。
「剣と弓矢を携えたこの神々しい若者たちは、何者ですか? まさに神のようではありませんか。」

ヴィシュヴァーミトラは答えました。
「おお、王よ。彼らは、ダシャラタ王の王子たちであります。」



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