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ノムクラフト(和歌山)

 有田みかんの産地として知られる和歌山県・有田川町。この街で2019年から醸造をスタートしたのが、NOMCRAFT BREWINGです。
 発起人は、大阪で英会話スクールの講師をやっていたポートランド出身のベン・エムリックさんで(※現在は移籍)、梅田の百貨店の催事に有田川町が出展していたのがご縁の始まりとか。

 ポートランドといえば、かつては工業化による環境汚染で人口が流出していた地域ですが、官民一体の取り組みによって再生し、現在は多くのマイクロブルワリー(小規模醸造所)が密集するクラフトビールの聖地として知られています。
 そんな聖地で育ったベンさんが有田川町に目をつけたのは、「水質に恵まれ、おまけに柑橘類の生産が盛んなことから、ポートランドに負けず劣らずビールづくりにはうってつけの土地と直感したから」なのだそう。

 有田川町もまた、人口減少が進み、消滅可能性都市に指定されるほど先行きが不安視されていた地域ですが、ベンさんの提案に反応し、ポートランドの事例に倣った地域おこしプロジェクトを発足。これがNOMCRAFT BREWING誕生の契機となりました。

 果たして、町内の旧保育所施設をリニューアルした醸造所は、地域のコミュニティスペースを兼ねており、今では町民の憩いの場として賑わっています。さらに、みかんや葡萄、デコポンなど、地域の名産品で仕込んだビールが全国に発信されると、一躍、人気ブルワリーになりました。

 「ビビビ。」でもNOMCRAFT BREWINGはすっかり人気ブランド。こうしたポートランドとのご縁を知ったうえで味わうと、いっそう美味しく感じられるのでは?

〈Text By Satoshi Tomokiyo〉

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