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「おひとり様2個まで」に隠されたワナ

おはようございます。つちいじりです。

今日は知らず知らずのうちにだまされている「アンカリング効果」について書きます。

「アンカリング効果」とは

「アンカリング効果」をうまく活用することで、誰かの意思決定や行動を少し操ることができると言われている。

「アンカリング効果」とは行動経済学や心理学でよく知られた認知バイアスの一つです。

最初に提示されたものの特徴や数字によって、あとに提示されたものの特徴や数値の判断が引きずられてしまうという傾向のことです。

ん?どういうこと?

行動経済学の大家でノーベル経済学者のダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』よりその例を引用してみます。

この著書の中で、彼は共同研究者で同じく行動経済学の始祖と呼ばれているエイモス・トヴェルスキーとの議論とその後の教え子や教え孫の研究と合わせてこの現象を説明しています。

たとえば、
「ガンジーが亡くなったとき、114歳以上だったか」と質問されたら、「ガンジーが亡くなったとき、35歳以上だったか」と訊かれたときよりも、あなたははるかに高い年齢を答えることになるだろう。

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)より

しかもこの最初の質問の「114歳以上」の部分を「144歳より上でしたか、下でしたか?」ときいても、わたしたちはガンジーが高齢で亡くなったと思い込んでしまうそうです。

さすがに誰も144歳まで生きたとは思わないから、144歳を基準として考えるはずもないのに、わたしたちの連想マシンは無意識にエラーを起こすそうです。

※ちなみにガンジーの享年は78歳だそうです。

ビジネスで利用される「アンカリング効果」

この「アンカリング効果」はマーケティング手法として様々な場面で活用されています。

例えば、
住宅価格は最初に高い価格を提示された方が、「立派な住宅」に見えてしまう。

家電量販店でメーカー希望小売価格98,000円とあえて書いた上で、売り出し価格「78,000円」というのもアンカリング効果を狙ったものです。
78,000円という値札だけよりも、直感的に安いと感じてしまいます。

スーパーなどでよく見かける「おひとり様○○個まで」というのもアンカリング効果を発動させる魔法の言葉です。

わたしたちはだまされまい、と思っていてもこの錯覚からはなかなか逃れられません。
脳の認知エラー、暗示の一種なのです。

「アンカリング効果」から解放されるには?

そんな巧妙なアンカリング効果から逃れられる方法はあるのでしょうか。
結論から言うと、無くはないが、かない難しいということのようです。

前述のダニエル・カーネマンは著書でいくつかの対策を提示しています。

先手を打たれることでアンカリング効果は自然と発動してしまうということを認識すること。
・交渉において相手が高い要求をしてきた場合は、「大げさに文句を言い、憤然と席を立つ」ことで、取り合わない。
意図的に「反対のことを考える」戦略

この中でカーネマンが提示した防衛策は、2番目の取り合わないというものです。
行動経済学の権威が効果的な方法が「え?それ?」というところで笑ってしまいます。
それだけ、アンカリング効果は絶大だということです。

いかがでしょうか。
日常生活やビジネスの場でアンカリング効果を狙ったワナはたくさん仕掛けられています。
すべてを避けることは難しいですが、もしかしたら自分は今「アンカリング効果」がかかっているかもしれないと一度立ち止まってみましょう。

そうすることで無駄遣いを減らせたり、少し得した気分になるかもしれません。

ではまた。

都会で実践できる農ライフ、読書、ドイツ語、家族などについて「なぜかちょっと気になる」駄文・散文を書いています。お読みいただき、あなたの中に新しい何かが芽生えたら、その芽に水をやるつもりでスキ、コメント、ほんの少しのサポートいただけると嬉しいです。