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アメリカの戦略はダブルスタンダードで諸刃の剣?

最近の国際ニュースを観て誰もが思うのではないでしょうか、「ロシアがなんか勢いづきそうな報道が多くなる一方、アメリカは・・・大丈夫か?」と。

なぜならば、ここ最近のアメリカは迷走しているのか?と思うような内容を報道しているニュースが多く目立ってきたからです。

力でねじ伏せて新しい世界秩序を実現させようとするロシアに対して、ウクライナ戦争が終わり見えない中、さらに、イスラエル・パレスチナ情勢の緊迫度が増す中で、ロシアと中東に対して二正面作戦をとらざるを得なくなってしまったアメリカが、世界の人たちから「もしかして今の世界情勢が誤算だったの?」という印象を与えるほどのアメリカの混乱ぶりが、みんなには見えているのではないでしょうか。



アメリカの”ダブルスタンダード”とは


今回の中東情勢の悪化前のアメリカ外交では、中国の急速な軍事力の増強や台湾情勢を念頭に、外交政策の重きを中国にシフトさせる中、中東でのアメリカの影響力を低下させていた点が、いまのアメリカが”ダブルスタンダード化”してしまった大きな要因であると言われています。

なぜなら、この間、中国はサウジアラビアとイランの国交正常化にむけた交渉を仲介するなど、中東における中国の存在感を高めていた半面、アメリカは影響力を低下させていたことによって、今の中東情勢悪化をアメリカはコントロールできないでいるのではないかと指摘されているからです。


今回のパレスチナ問題の悪化となった今の情勢においてアメリカが取った行動は・・・

イスラエルを全面的に支持する。

ガザ地区への民間人の犠牲を最小限にするために、人道回廊の設置に奔走。
バイデン大統領がイスラエル訪問によって、イラン・シリアをけん制できる一方、イスラエル軍によるガザ地区への地上侵攻にお墨付きを与えてしまった。

しかし、ガザ地区の民間人犠牲が多数に上っており、世界的にイスラエルへの非難が増すなかで、その批判の一部はアメリカにも向けられることになる。

そのため、反米感情の高まりを受けて、イスラエルに自制を促している。

つまり、イスラエル・パレスチナ情勢の悪化によって、アメリカは”ダブルスタンダード”を取らざるを得なくなってしまった。

アメリカの”ダブルスタンダード”
●ウクライナ侵攻⇒ロシア避難
●ガザ地区攻撃⇒イスラエル擁護

NHK番組『キャッチ!世界のトップニュース』「アメリカのダブルスタンダード」(23/10/24放送分より)


アメリカの戦略は”諸刃の剣”


ウクライナ支援、イスラエル支援の二正面作戦が必要となったアメリカ国内では対立が表面化しています。

野党共和党が多数派を占める下院議会では、下院議長であるジョンソン議長がウクライナ支援を外し、イスラエル支援だけを盛り込んだ修正案を提案しました。


これに対して、バイデン大統領がウクライナ支援を続けるメリットをアメリカ国民に分かってもらおうとあるメッセージを発したことが物議を呼んでいます。

バイデン大統領
「アメリカは備蓄の装備品をウクライナに送って新しい装備品と入れ替えている。装備品は米国製だ。防空のパトリオットミサイルはアリゾナ州で製造され、砲弾は全米の12の州で製造されている。」

「第二次世界大戦のときと同様、愛国的なアメリカの労働者は今も民主主義の兵器庫を築き、自由の大義に貢献している。」

NHK番組『国際報道2023』「ウクライナ支援、米国内で対立表面化」(23/10/31放送分より)
NHK番組『国際報道2023』「ウクライナ支援、米国内で対立表面化」(23/10/31放送分より)

これにともなって、アメリカ国防総省は発表文にも今月からこのような内容も記載されている。

アメリカ国防総省
「(ウクライナへの軍事支援は)防衛産業基盤を強化し、アメリカ国民に高度な技術を要する雇用の創出を提供する」

NHK番組『国際報道2023』「ウクライナ支援、米国内で対立表面化」(23/10/31放送分より)
NHK番組『国際報道2023』「ウクライナ支援、米国内で対立表面化」(23/10/31放送分より)


実はこのバイデン大統領や国防総省によるメッセージは、アメリカにとって”諸刃の剣”となる恐れもあるのです。

なぜならば、ウクライナ侵攻によってアメリカがウクライナを支援することに対して中露が言い続けてきたこと「ウクライナの戦闘で一番得をしているのはアメリカの軍産複合体だ」という主張を、アメリカが認めたことになるからです。

NHK番組『国際報道2023』「ウクライナ支援、米国内で対立表面化」(23/10/31放送分より)

つまり、アメリカ主導の世界秩序は不公正でアメリカだけが利益を得る仕組みだと、そうではなく公正で公平な新しい国際秩序を創るんだという、ロシアが目指していることに賛同する国々が増えることになりかねない状況にもなったことを意味しています。

ウクライナ支援をアメリカ国内で承認してもらうためのメッセージが、実は国際情勢としては反米感情を高めさせアメリカの弱体化につながる恐れもあるメッセージになるかもしれない、アメリカの戦略は”諸刃の剣”と言われる理由がよくわかると思います。

「ロシアがなんか勢いづきそうな報道が多くなる一方、アメリカは・・・大丈夫か?」

そう思わざるを得ない世界市民が少なからずいるかもしれません。

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