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母の体験した感情をそのまま引き継いでいた。~トラウマからの脱却~

なぜ生きているんだろう。
私は何も持っていない。
誰も信じられない。
そんな空虚感。

それを友人に話したら、
「あなたが優しいから、お母さんの傷を引き継いでしまったんだね。」
と言われた。

ほんと、その通りだと思った。
私が体験したわけではないのに、ありありと母の10歳頃の感情に手が届く。
母が幼い頃に両親を亡くし、親戚をたらいまわしにされていた頃。
窓から夜空を眺めて、亡くなった育ての祖母を想って、天涯孤独の中で泣いていたあの風景。

私があの時を生きてしまっている。
まるで私自身の人生のように、そこを生きてしまっている。

子どもの頃、母の苦労話を聞き、母から愛されることを諦めて生きてきた。
「母は愛し方を知らないんだ」
と悟っていた。

私って何だろう。
私ってどんな人?
もう訳が分からなくなっている。
無力で、家族は1人もいなくて、何も持っていない。
それが母だった。

「あの頃のお母さんにこう言ってみて!」
と友人に勧められて試しに言ってみた。

「将来、大事な人達を手に入れられるからね。」

母は今90歳。
父と2人暮らしで、毎日おしゃべりをして父に見守られて暮らしている。
穏やかに暮らしている。

10歳の母に教えてあげたい。

泣いている母に教えてあげたい。

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