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「答えのない問題」に自分の意見を持とう。〜自分の意見を言い続けた人が評価される時代に〜

最近、信じがたい問題ばかりが日々ニュースに上がる。芸能事務所の性加害問題を長年隠蔽していた問題や、警察の相次ぐ不祥事。ロシアウクライナの戦争、核問題、例にない異常気象、物価高、、「答えのない問題」ばかり。。そんな中、自分の「意見」を考えたことありますか。
ブログやTwitter (X )、音声配信voicyなどで、さまざまな社会問題について発信活動をしている「ちきりん」さんの本を4冊読んで、特に心に残った1冊を紹介します。かつて、自分の意見を持つことに臆病になって悶々と考えていた時に「自分の意見で生きていいんだ」と背中を押してもらった一冊です。生きづらさを感じている人にもおすすめの1冊です。

「自分の意見で生きていこう/ちきりん 2022年1月11日発行 ダイヤモンド社」


1、「問題」は2つに分けられる。

世界のあらゆる問題には『正解のある問題』と『正解のない問題』とがある。
『正解のある問題』とは、2+2=4と言うように正解か誤答かしかない。
正解がある問題の正解を知りたければ、「調べる」ことで正解が見つかる問題のこと。

『正解のない問題』とは、「転職するべきか」「結婚するべきか」「離婚するべきか」「消費税をあげるべきか」など正解も誤答もない問題です。
正解のない問題には「私の意見」「Aさんの意見」「Bさんの意見」とそれぞれ異なる意見が発生しますが、「正しい意見」なんて存在しません。
自分とは異なる意見を述べていても「あなたの意見は間違っている!」などと問い詰める必要はありません。「自分の意見と異なる」だけ。

✳️正解のない問題をいくら調べ続けてもいくら時間をかけても答えは見つからない。
✳️正解のある問題をいくら考え続けいくら時間をかけても答えは出ない。

まずあらゆる問題には「正解のある問題」と「正解のない問題」があること。そして「人生の大切なことはいっさい正解をつくらない」ことで社会にはさまざまな人がいて、多様で豊かな社会を作り上げている、このことをまず理解する。そして、正解のない問題はとことん「考える」ことが必要であります。


2、「意見」と「反応」の違い

テレビやSNSの普及によって、
テレビの作り手「意見をいう人」、テレビを観る人「反応する人」とに分かれます。ネット上で発信する人も「意見する人」になります。
SNSの普及によってだれでも「発信する人」になれます。しかし現実は、「発信する人」の比率は1%にも満たない。
最近では「いいね」など反応することが極めて簡単にできます。
考えることが必要な「意見」より、他者のアタマで考えたことや他者の意見に対して「反応するだけ」ならば、自分の頭で考える必要はありません。

◎インフルエンサーになるのも意見を言える人だけ

ネット上のやりとりの多くは少数の「自分の意見を表明する人」に多数の「反応しかしない人」がリプライやスタンプを送るという形で成立されています。

自分の意見で生きていこうから

少数の「自分の意見を表明する人」には多くのフォロワーがいる一方、「反応だけする人」にはフォロワーがつきません。

ポジションをとって自分の意見を言う→継続して様々なことに意見を表明することで、人格(キャラ)が伝わり、ファンができます。
自分がどういう人か=どこのポジションに立っている人かを明確にする。


3、意見の束が人格を創る

「自分で自分を理解し、承認する」
自分で自分を承認できないことが、根本的な問題であり、外部からの承認が得られず焦りを感じてします。
自分で自分という人間についてしっかり理解することで、自分の意見が明確になる。自分で自分をしっかり理解する。
「自我の確立」が生きづらさからの「脱却」。


4、リーダーシップの最初の一歩

チームワークにおいて仲間に求められるものは、「いい意見」でも「摩擦を起こさせない」ことでもない。しっかり考えて自分の意見を明確にすること。
日常生活においてのリーダーシップ、夫婦ふたりとも仕事が忙しく日常生活がまわらない。一度しっかりと「自分たちで求めているもの」「仕事のあり方」について考えようと提案し、パートナーと解決策のひとつとなる具体的なアイディアを出し合い、議論を進める。
「誰かが決めてくれれば自分はそれに従う」という態度では、仲間は認められません。
自分が所属するコミュニティの問題を自分ゴトとして捉え、だからこそ自分の意見を明確にし、それぞれのメンバーに伝え、議論することこそ「仲間」として認められる条件である。
関係ないことこそ、考える価値がある。


5、反応だけの会議

会社の会議の中で「次の打ち手として新規事業についての案が出ている。みんなの意見を聞かせてほしい」という問いに、1人のメンバーが「ボクは賛成です。なぜならば〜」と意見を述べる。
その意見に対して、「賛成」か「反対」かポジションを明確にせず、「責任はどこにあるのか?」「リスクが高い」「他社はどう出てくるだろうか」などの質問形式な発言を繰り返すのは無意味。
一見「賢そうに見える」ネガティブな反応が繰り返し続ければ、勇気をもって自分の意見を表明した発言者はどう思うか。

「わからない」と答えるのは、思考放棄
「知識がないから…新人社員だから…意見が言えない」それは、外からみれば「正解が言えないのは知識がないからだが、意見が言えないのは思考していないから」と解釈されてしまう。
また、自分の意見が表明しない癖がつくと
「自分の意見がなにであるか、考えもしなくなってしまう」まさしく思考が止まってしまうのである。

必ず評価されるのは「意見を言う人」

意見を言う人の多くは、「反応しかしない人にイチャモンばかりつけられて消耗しがちです。でもめげずに意見を出し続けていれば、必ず評価は高まります。しっかりと思考し、自分の意見に基づいて進めた仕事なら、失敗しても、必ずなんらかの学びは得られ、繰り返していけば、どんどん成長でき、より深い洞察に基づいた意見が出せるようになります。
反応しかできない人にネガティブな反応ばかりぶつけられても、めげず、落ち込まず、頑張って意見を言い続けましょう。


6、リアルな社会で議論しよう

SNSは「意見表明の場所」としては優れていますが「議論の場」としてはうまく機能しません。
議論はリアルな社会で行うべきもの。
本来、そういう訓練の場となるような期待がされるのが学校なのです。
しかしながら、日本の学校では「答えを覚える」「知識を増やす」ことに重点を置いてしまって、「自分の意見を明確にする」「それぞれの意見に基づいて議論をする」ことに重点が置かれていないため、学校を卒業してしまうと社会問題や生き方についてマジメに議論する場がなかなか見つからないと言う人が多くいます。議論の訓練をするためには「意見を言い合え、議論できる仲間」を持つことが不可欠。
自分が起点となって動かなければ、自分が欲しいものは手に入りません。
身近なところから「議論できる仲間」を拡げ、訓練を通じ、「答えのない問題」についても「自分の意見」が言える人になっていきましょう。
そうして、「自分の意見にそって選んできた、自分だけの人生」「自分でしっかりと考えてこの道を選んできた」という自覚こそ、人生の誇りと自信を与えてくれます。


7、オリジナルな人生へ

日本社会は他国に比べ、同調圧力の強い社会だと言われています。常に「みなと同じ」であることを求められる社会であり、他者と異なる意見をもつ人は“出る杭”として叩かれます。
ところが、近年あらゆる分野で急速なグローバル化が進み、「それぞれが自分の意見を表明することこそ、相互理解に不可欠な最初の一歩である」と考えられ、「意見を言わない」ことの方が、「和を乱す」行為とみなされ、「波風を立てたくないか皆と同じ意見でいいや」などの考えは、価値のない人間として取り残されてしまいます。
インターネットの出現により、多様な生き方が可能になり「正解のない問題」も急増しています。
「自分はどこで働くべきか」という正解のない問題についても、自分の意見が持てる人には大きなチャンスが拡がる時代となった。

オリジナルな人生のキーワードは「自己決定」

親の期待を満たすためでもなく、世間の成功した人生のイメージに引きづられることもなく、自分自身がしっかりと考え選んできた道を歩んできたという自覚こそ、人生に誇りと自身を与えてくれます。


この本なかで、私が一番気になったのが、「リアルな議論する場」。
そのなかで訓練の場となるのが『学校』。
ただ「答えを覚える」「知識を増やす」だけが学校の役割ではありません。
「自分の意見を明確にする」「それぞれの意見に基づいて議論をする」その
ことを子どもの頃から繰り返し練習することで、「自分」という人格が確立していきます。なかなか、現実問題、学校教育に求めることは難しい(やろうとはしてくれている)ことかもしれません。しかしながら、日頃の日常生活の中で、子ども達に投げかけ、「賛成」「反対」それぞれの立場を一緒に考えてみる。子ども達の考えている世界は、実は大人たちが考える世界よりはるかに広い世界の中で考えています。
その世界を知る(壊さない)ためにも、子どもと一緒に考え、親自身の考えも子どもたちに伝えることが大事だと思います。

そしてもう1つ。「リーダーシップ」
実は、6月に木下斉さんとちきりんさんと新潟へのシークレットツアーに参加させていただいた時に言われたのが「リーダーシップ」でした。
日本で「リーダーシップ」というと、リーダーが1人先頭に立ち、他の仲間はリーダーの指示に従ってついていくというイメージを描きますが、求められたのは、「それぞれが自分の意見を言う」こと。「行きたい場所があれば事前に調べて提案すること」。メンバーそれぞれが「自分自身の強みを生かしてチームに貢献すること」。当日は、3日間、緊張しっぱなしで、忘れ物はするし、迷惑をかけてばかり。ただ、この本を読むと、当日何をしなくてはいけなかったのか、そもそも「自分の意見を持つ」ことの原理原則が書かれていました。今思うと自分がとっていた行動(思考)がいかに依存体質だったのかに気付かされました。

この本は、例題をわかりやすく、さらにイラストも用いて、思考のプロセス、問題への向き合い方を書いてくれています。
一つでも、勇気が持てるメッセージが伝われば、ぜひご一読ください。


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